DAHON D-Zero レビュー クラシカルな見た目の割に機能性抜群 

 前から輪行を想定しない用途での自転車が欲しいと思っており、ダホンの「D-Zero」というセミフォールディングバイクを納車しました。セミフォールディングという言葉通り、一般的な折りたたみ自転車と異なり、ハンドルポストとシートポストのみ畳めるというモデルです。乗ってみた感想としてはダホン創業時モデルを踏襲した見た目に反して割とよく走りますし、実用性に富んだミニベロです。

※納車時点でブレーキ本体とチェーン交換済みなので純粋な意味での吊るしレビューではありません。

D-Zeroについて

 D-Zeroはダホン創業時に出していたモデル、現在では「OLD DAHON」と呼称されるモデルをオマージュしたセミフォールディング仕様のミニベロです。ホイールサイズは16インチ(305)です。

 当時のフレームデザインを踏襲したクロモリフレームを採用。各パーツもシルバー基調なので、どことなくクラシカルな佇まいです。当時品を知る人は懐かしさを覚えるのでしょう。まぁ、私からすると表現を選ばなければ昔のロゴデザインを採用しているところを含めて「骨董品」に感じる向きがあります。

 特にこのレッドカラーはオレンジ寄りのレッド、ロゴのホワイトという組み合わせが昭和レトロな看板類を想起させます。クロームというシルバーカラーも存在しますが、ネット通販含めて品切れのようです。(品切れなのか生産予定が無いのかは不明)

 このD-Zeroにはフレームの折り畳み機構が付いておらず、シートポストとハンドルポストを折り畳む「セミフォールディング仕様」です。ダホンの折り畳み自転車を知る人からすると折り畳み途中に見えることでしょう。中途半端な折り畳み構造に見えますが、ハンドルバーが出っ張らず、薄くすることができます。輪行を想定していない、家の壁際や物置の隙間などに保管するという使い方なら理にかなっていると思います。特にハンバルバーが横に突き出ていないだけでも利便性が段違いです。ちなみに輪行はできないことはないですが制約は多いです。

 フレームについてもう少し触れると、ダホンから出ている同じく16インチホイールサイズを採用した「K9X」と比較するとホイールベース(前輪中心と後輪中心の長さ)が長く取られています。数字としてはK9Xの93cmに対してD-Zeroは99.7cmと6cmの差があります。さらにフレームのダウンチューブとトップチューブが低い位置に来ているので走行安定性はあります。見た目はさながらダックスフンド。

 変速関係はシマノ7速を採用。8速以上との互換性・拡張性がない孤高のコンポです。要は同じダホンから出ているボードウォークD7と同じ構成です。スポーツライディングとしては物足りない仕様ですが、街乗りでは十分と言えます。後述しますが実際に走ってみてもそこまで気にすることもないと感じました。

 タイヤは「Kenda K-841 16×1.75」。このサイズとしては割と太めのタイヤ幅です。タイヤ重量は約280gと軽いです。走行感は路面にへばり付く感じでシュワルベ「ビリーボンカーズ」に似た感触。舗装路を走る場合にはグリップ力が強すぎる気がしますが、本モデルの想定用途・ユーザー層を考えると滑ったりしなくて良いのかもしれません。

 足回りに関してついでに触れておくと、サイクルショップさんのブログでシュワルベ「ビッグアップル(16×2.0)」が履けるようです。ただし、フェンダーとタイヤの個体差によるところがあり、私のだと試しにあてた「スマートサム(16×1.85)」でブロックパターンがフェンダーに接触しました。フェンダーを外すか位置調整、無理やり曲げて形状を整えるなどしないと個体によって難しいです。

 また、フェンダーを外すことが前提ですがフレームクリアランス的にブロンプトンに採用されている16インチ(349)ホイールも履けます。ただし、リムブレーキモデルなのでディスクブレーキと異なり、Vブレーキ本体をショートアーチモデルにする必要がありそう。それをやるくらいなら、その内に出てきそうなジェネリックブロンプトンを待つとか?

 ハンドルグリップは最初からエルゴ形状の手のひらに優しいグリップが採用されています。同グレードのボードウォークやKシリーズの丸グリップ・スポンジグリップとは大違い。素晴らしい!!

 街乗りで有ったら嬉しいスタンドと泥除けが標準装備。特にスタンドは低床フレーム形状に合わせたちょこんと短いタイプなので最初から付いてくるのは良いと思います。K3はじめKシリーズは見習って欲しい。

購入理由

 D-Zeroを買ったのは「輪行しないサイクリング(ポタリング)で折り畳み自転車を使い潰したくなかった」というのが最大の理由。

 すでに所有しているK9XとVergeP10は「輪行前提の旅チャリ」の位置付けで使用しています。さらには目的エリアのライド環境や想定走行距離で使い分けています。そういう想定で購入しているので輪行しないサイクリングで折り畳み自転車を使い潰す乗り方をしたくないという想いがあります。

 かと言ってロードバイクや高価格モデルはコストとサイズによる取り回しの面で過剰と言いますか支障があります。また、畳まないミニベロも宅内保管でハンドルバーが邪魔になります。先代メインミニベロもK9X・VergeP10導入時に保管場所で支障となり、泣く泣く手放しているので……。

 そして、色々なモデルの情報を漁り、上記の問題をクリアできるモデルとして行き着いたのがD-Zeroだったわけです。セミフォールディング仕様でハンドルバーだけ畳めるので薄くして保管できます。よくサイクルショップなどでクロスバイクのフラットハンドルだけステムごと向きを変えて展示しているのを見かけます。それと似たようなことができると言うことです。これだとフェンダー込みで約140cmの長さがありますが、薄くすることはできるので廊下の壁際に寄せておく、物置の隙間や建物との隙間などに差し込むように保管する……といったことができます。輪行前提でないならフレームまで折れる必要はありませんし、可動部分が減ることで故障・損耗を減らすこともできます。ハンドルポストなら取り扱い店経由で交換品を取り寄せてもらうことで対処ができます。

 他にも多少のカスタムを前提としていたので、当初の本体価格が10万円以下であったことも理由に入ります。スペック面も輪行しない近中距離を想定なので、16インチサイズ、シマノ7速、リムブレーキモデルでも問題ないとの見込みもありました。あと、後述しますが低床フレーム形状による取り回しの良さも挙げておきます。

チェーンは交換した方が良い

 今回のD-Zeroも購入後にカスタムしており、細かいカスタム内容は別記事で扱うとして、購入にあたりチェーンとVブレーキ本体を交換済みです。ブレーキはそこまでではないですが、チェーンは交換すべきだと思います。

 購入にあたり情報を集める中で、チェーン落ちや変速が決まりにくいというレビューをいくつか見かけました。例の如く、ベロキッチンさんのYouTube動画も観ましたが同様のことに触れていました。どうやらチェーンが宜しくないようです。そこで購入にあたりシマノの「CN-HG71」に交換しました。ボードウォークも同じチェーンを使用しているようなので、ボードウォークユーザーさんもチェーンを替えた方が良いかもしれません。

 自身の経験則で書いておくと変速関係はチェーンが一番重要なパーツだと思っています。次点でスプロケット、最後にリアディレイラーです。チェーンとスプロケがまともならだいたい支障なく動く印象。

 ブレーキは若干悩みましたが安全に関わるところなのでついでに交換。ディスクブレーキならそこまで心配しないのですが、リムブレーキ規格だとシマノとそれ以外で制動力・片効き・音鳴りの面で差が出てくるので交換して損はありません。Vブレーキはシマノ「BR-T4000」にしました。この手のリムブレーキでは定番のカスタム。近・中距離ライドで速度も出さない使い方なので必要十分です。

標準ペダルはどちらかと言えば交換推奨

 標準ペダルは古くから存在するダホン純正折り畳みペダルが付属します。ただ、このペダルは回転が非常に渋く、雨などで濡れると滑りやすいです。指で回してみた時も指先にかかる抵抗が尋常ではない……。

 さらに折り畳めはするものの特別コンパクトになるわけでもなく、左右で480gあるのでさっさと別製品に交換することをオススメします。三ヶ島ペダルでも折り畳みペダルが出ていますし、畳む必要がなければ安価ながら良く回ってくれるペダルもあります。

割とよく走ります

 ダホンのラインナップ上の位置付け、車体価格、シマノ7速という仕様の割にはよく走るモデルだと思います。

 変速関係はフロントチェーンリングが52T、リア7速12-28Tという歯数構成。フロントのチェーンリングが52Tあるので見た目以上にはそこそこの速度が出せます。トップが11Tでないことが気になるかもしれませんが、街乗りや短距離~中距離サイクリングなら十分対応できます。特にD-Zeroを買うであろう街乗り需要の場合はストップアンドゴーが多いので影響は無いでしょう。また、私の使用環境だと速度よりそこそこの登坂能力は必須なので、このくらい軽めのギア構成の方が助かります。

 ただし、ホイールのハブは要調整です。前述のペダルと同じくハブの回りが良くありません。メンテスタンドに懸架してペダルを手回ししてみたところ惰性での回転が10秒で止まりました。比較するのは酷ですがK9XやVergeP10は1分以上は回っていたので落差が激しいです。

 ショップで調整してもらいましたがそれでも13秒で止まります。玉あたりをさらに緩くすると横ブレが発生しそうなのでこれが限度のようです。ホイールハブの仕様上そういうものだそうで。このホイールハブについてはボードウォークも同じ事情のようです。先ほどのチェーン同様そんなところまでそっくりでなくても……とは思います。

 通常の走行で抵抗感が極端に気になるということはありませんが、登坂時には足を引っ張っている感じがします(※)。巷で言われるミニベロのデメリットに「惰性での回転がすぐ止まる」、「速度の維持が苦手」というものがありますが、こういうホイールハブでそれが大きく言われているのかもしれません。

※標準タイヤのグリップ力が高めなことも重なっているとは思います。

 気になる部分がありつつも、とりあえずホイールはこのまま使っていくつもりです。リムの消耗や故障のタイミングで安価な中華ホイールに替えるという方向性で良いのかも。ただ、7速対応ホイールは探しても無さそうです。費用的にもそのタイミングでシマノ8速(もしくは10速)に換えしまった方が現実的な気がします。

乗り心地も悪くない

 体感と言いますか印象レベルですが、16インチサイズのミニベロにしては乗り心地が良い方だと思います。踏み込んで言うと同じダホンの16インチモデル「K9X」よりも乗り心地が良いと思います。16×1.75幅のタイヤ、トップチューブ・ダウンチューブの2本構成のクロモリフレームが理由なのでしょうか。標準ハンドルグリップの状態でも手のひらに伝わってくる路面からの振動は角が取れたようなマイルドさでした。

 小径車特有のハンドリングのクイックさはありますが、ホイールサイズの割に走行安定性も悪くありません。独特の低床フレーム形状で重心が下方に寄ることと、先述の長めのホイールベースが寄与しているのかもしれません。

 また、乗り心地・走行安定性とは違う話になりますが、低床フレームで「跨ぎやすい」ので街乗りなどカジュアルライドでの取り回しにも優れています。これは先代メインミニベロのライトウェイ「グレイシア」とも共通する部分で、個人的にとても良くブッ刺さった要素です。

 シートポストとハンドルポストである程度の高さ調整も可能なので、乗車ポジションを突き詰めていくことでさらに快適化できそうです。

車体重量

 車体重量はメーカー公称で11.3kgです。ブレーキ本体とチェーンを別のものに交換しているので参考にならないかと思いますが、実測だと約12.3kgでした。公称重量はペダル・フェンダー抜きなのでしょうか?

 16インチミニベロにしては重いと思いますが、クロモリフレームと折り畳み式ハンドルポストの採用、安価なパーツ構成であることを踏まえればこんなものとも評価できます。

そのうち消えるモデル……かも

 勝手な推測ですがD-Zeroはラインナップからそのうち消える気がします。刺さる人には刺さると思いますが、セミフォールディング仕様というのが足を引っ張っているのか売れている感じがしません。私が買ったものもサイクルショップに数年在庫していたという代物。各種通販サイトを見ると人気があったと思われるクロームカラーは売り切れてから再生産された様子がありません。また、モデル名に〇〇年モデルといった年式表記もありません。確認できても2023年という表記。ダホン公式サイトに掲載こそされていますが、2027年モデル発表時にカタログ落してもおかしくなさそう。

 現状、レッドカラーは一部実店舗、ネット通販で入手できますし、すぐ無くなることはなさそう(失礼)ですが、検討している人は在庫があるうちに買ってしまった方が良いかもしれません。本格的にラインナップ落ちしたら予備で追加購入するかも。

見た目に反して実用性・機能性があるミニベロ

 以上、D-Zero本体や使用感、気になる点など書きました。価格と仕様のこともあり、「輪行しないちょっとしたサイクリングで使えれば良い」くらいで納車しましたが、思ったよりも走るので50kmくらいの中距離はこなせます。また、セミフォールディングで横に突き出るフラットハンドルを畳めるので保管の問題もクリアできました。セミフォールディング仕様という部分が足を引っ張っているのか売れている気配がないのが惜しいところです。見た目に反してそれなりの走行性能と取り回しの良さなど実用性はあるので刺さる人には刺さるミニベロだと思います。