JAMISのRENEGADE(レネゲード)ってどうなの?RENEGADE S2を2年間使ってみてのあれこれ

 外で自分が乗っている自転車と同じメーカーの自転車を見かけることがあります。そうするとじっくりと眺めてしまうのですが(傍目からはただの不審者)JAMISのRENEGADEはよく見かけます。東京でも見かけることはありましたが明らかに母数が減るはずの長野県に移ってきてからはそれ以上によく遭遇します。2年間RENEGADE S2に乗ってみて感想も交えて「RENEGADEってどうなの?」という部分を書いてみようと思います。ちょうど東京でサイクルモード開催中でJAMISの試乗ブースもあるようなので良いタイミングなのかも。

本当によくRENEGADEを見かけます

 JAMISというメーカーが出しているアドベンチャーロード、いわゆるグラベルロード枠シリーズが「RENEGADE」です。カーボンフレームの「C」、クロモリフレームの「S」、アルミフレームの「A」と3系統あります。

 冒頭で触れた通り街中や出先でよくRENEGADEを見かけます。見かけるのはRENEGADEの「S」の方です。特にRENEGADE S3およびS4クラスをよく見かけます。年式でカラーリングが異なりますがコンポでだいたい判断がつきます。長野県だと地元民か遠方からなのかは不明ですがこれらの自転車に乗った人を行く先々でよく見かけます。

 ちなみに自分が乗っているS2相当のモデルはほとんど見たはありません。今までに直接遭遇したのはTwitterのフォロワーさんのS2だけです。

私がRENEGADE S2を買えたのはタイミングが良かっただけ

 私がRENEGADE S2を買えたのは本当に「タイミングが良かった」に尽きます。もしも今購入するとしたら価格の問題でS2は手が出せません。

 私のS2は2020年モデルで価格は税込25万円ほどでした。ショップによっては多少の値引きが入ることがあり私もそれよりは安く買えました(それでも多少無理しましたが)。しかし、次の2021年モデルからホイールとステムが良いものに変更され約40万円のモデルとなりました。2020年モデルと同等仕様で日本限定モデル「RENEGADE S2 LTD」も出ていますがこちらも約30万円となかなかのお値段。前に試乗会などでメーカーの方に聞いた話としてはクロモリ・アルミといった素材の値段が高騰しているのが大きいらしいです。新型コロナの影響で納品が遅れたりしましたがギリギリ何とかなるタイミングで入手できたのです。

RENEGADEシリーズ全般の印象

 RENEGADEシリーズ全般に言えることですがグラベルロードの中では「走行性能に振ったモデル」だと思います。これは自分が使用しているS2や試乗した他のRENEGADE、KONA「ROVE ST」などの他メーカーモデルを比較してそう感じました。

 特にスチールフレームモデルはクロモリで言われるような「しなり」・「柔らかさ」などの特徴をあまり感じません。割とアルミっぽい硬さがあるように思います。逆にアルミの「A」シリーズの方が柔い印象があったように記憶。このアルミっぽい硬さは登り坂の時に顕著です。踏んだ時の足裏に帰ってくる衝撃がカッチリした感触です。力の伝導率が高めなのでロードバイクっぽいキビキビした反応が帰ってくると言えば伝わるでしょうか。誤解を恐れず表現するなら良い意味で「マイルドなアルミのロードバイク」みたいな感じです。

*タイヤの影響の方が大きいのであくまでもフレームに関しては誤差レベルです

RENEGADE S2を使ってみての感想

 以前にも納品時、試乗時のレビュー記事を書いていますがその時とほぼ評価は変わりません。

 私が乗っているRENEGADE S2はマンガンモリブデンを多く含んだレイノルズ631製フレームです。スチール系モデルですが先述したキビキビした感がさらに強調された走り心地。もし、フロントダブルにして35Cなど細いタイヤに変えたらロードバイクと判別がつかないかもしれません。グラベル・アドベンチャーバイクですがそれだけ走行性能に振ったようなモデルだということです。現状、フロントシングルで40Cタイヤを履いていますがロングライドも問題なくこなせます。

 他に似た感じのものを探すとまさにアルミフレームでFUJI「JARI」あたりが近いかもしれません(同じくアルミのキャノンデールもそうなのかもしれませんが乗ったことないので不明)。フレーム素材とコンポが違うだけで特徴がすごい似通っていました。あとはYouTubeの紹介動画で見て存在を知りましたがBASSO 「TERRA(テラ)」も全体的なシルエットなどRENEGADEと似通っています(相当ロードバイク寄りらしいです)。いや、似ているというよりほぼ瓜二つ。

今買うならRENEGADE S4(予算許せばS3)

 もし今買うとしたら先述の価格の問題から「RENEGADE S4(税込143,000円)」を買っていると思います。もう少し予算が許せば「RENEGADE S3」ですが20万円になるので厳しいかも。自分にとってあまり高過ぎる自転車は「趣味の継続性」で問題が出てきます。最低限の仕様を満たしつつ予算との兼ね合いでこのあたりになるかと。

*記事最後の余談を参照

画像はRENEGADE S3の2020年モデル

 どちらもフレームはレイノルズ520製の同一フレームを採用しています。S3はGRX400系(ティアグラ10速相当)・油圧ブレーキ搭載です。S4はシマノSORA(9速)・機械式ディスクブレーキという仕様。ナンバリングの通り使用されているコンポでグレード分けがされていますが試乗した経験から言うとそこまで気にする所ではないと思います。正直なところ予算と見た目の好みで選んでしまっても良いと思っています。そのほかSシリーズはS5に至るまで前後スルーアクスルになっている点も買いだと思っています(昔のモデルのように前後バラバラは不便だと思います)。

 ただ、S4の場合は予算次第ですがブレーキを油圧式に交換したいところ。また、S4はロードバイクコンポ(SORA9速)なのでスプロケかチェーンリング交換でギア比を軽くしたいです。実際には交換するパーツ代によって最初からS3やS2にしておいた方がトータルコストが安い可能性も出てきます。このあたりは試算してみてどちらにするか決めると思います。でも、一番重要なのはカラー・デザインといった「見た目」です。これは乗り続けるモチベーションに関わるので蔑ろにはできないです。

*過去に試乗した時の記事でも書いていますが公式サイトの写真は色味が信用できません。実物をちゃんと確認することをオススメします。

総評:RENEGADEはしっかり走れるグラベルロード

 RENEGADEは他メーカーモデルよりロードバイク寄りでグラベルロード・ロードバイクの境界がさらに曖昧な感があります。他の記事でも同じことを書いていますが良く言えば「汎用性がある」、悪く言えば「中途半端・器用貧乏」と言ったところ。ロードのような高速巡航は難しいですが長距離も不足なく快適に走れます。舗装率が高くて坂が多い日本の道路環境においてはRENEGADEの仕様がバランス良くマッチしていると思います。長距離や未舗装の脇道を走りたい、荷物を積載したいという多様なニーズをちゃんと満たせるモデルというのがRENEGADEの個人的な総評。冒頭に触れたように行く先々でよく見かけるのもそれだけ選ばれているということで納得と言えます。

余談:自転車本体にお金をかけすぎない方が良いと思う

 スポーツ自転車に乗り始めて数年経っていますが自転車本体にお金をかけすぎない方が良いと思っています。もちろん「気に入った1台」を入手するのがベストです。しかし、車体以外にヘルメットや保険、前後ライト、バッグなどオプションも必要になります。さらにチェーンなど消耗部品の維持費も後々かかってきます。特に部品についてはハイグレード品ほど高くなり耐用年数は短い傾向にあります。対してシマノ8速〜10速あたりは価格と入手性の面でアドバンテージがあると思います。

 他にもグラベルなど荒れた道を走ればどうしても傷が付きます。傷は勲章のようなものですがやはり傷が付いたら付いたで多少は落ち込みます。これが超高価格モデルだった場合の精神的ダメージは計り知れません。自分の経験としてカーボンのロードバイクがそうでしたが扱う上で神経質になり過ぎて楽しめなくなるケースもありました(ただの貧乏性)。

 過去にあるグラベルロード(アルテグラ搭載)が日本では販売されないことについてショップの方が「需要が無いからだと思う」とおっしゃっていたことがあります。まだグラベルロードが本格的に出始める前の時期ですが運用する場所・車体の仕様・価格のことからそういう発言だったのかな推察。

 グラベルなりキャンプ、ツーリングなど走る以外の楽しみ方もするのであればオプション類にも予算を割けるようにした方がトータルでの満足度は高いように思います。(このあたりは初めての購入なのか買い足しなのかで変わってくるとは思いますが)