POLAR (ポラール) V650 レビュー

 サイクリングをしているうちにだんだんとリアルタイムで速度・距離・ケイデンス・心拍数・現在位置・消費カロリー等々を知りたくなります。そんな時に必要なのが「サイクルコンピューター」。これがあると「ただ走る」よりも楽しくなります。

 私は当初CAT EYEの入門機を使用していましたが「GPS機能」や「斜度計測機能」も欲しくなりPOLAR(ポラール) というメーカーの「V650」を購入しました。

 ちなみに高性能なサイコンと聞いて真っ先に出てくるのが「GARMIN」です。いかにもローディーな人たちが使っているのはだいたいGARMINです。サイクルイベントや近くにいるローディーから「ビーッ」とか電子音がするアレです。知らなくても検索して最初に出てくるのがこのメーカー。そのほかにはwiggleでも取り扱いのある「Lezyne」等もあります。

 私も当初はGARMINを検討しましたが主に「価格」の部分でV650です。選ぶ際に困ったことはGARMINよりも圧倒的にレビュー情報が少なかったことです。情報収集に困りましたが清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入したわけです。前フリが長くなりましたがPOLAR(ポラール)の「V650」を購入してからほぼ2年経過したので使用しての感想等をまとめようと思います。

*発売当時から色々と機能がアップデートされているのであくまで現状のV650のレビューと思って読んでください。

本体

 大きいです。ロードバイクに取り付けると写真のような感じです。サイコンというよりもスマホの感覚です。CAT EYE等々と比較すると雲泥の差です。ただ、このあたりは液晶サイズとトレードオフではあります。私はこのあたりは織り込み済みで購入しているので気になりません。サイズを気にする場合はモノクロ液晶ですが「M460」という機種もあります。

液晶

 私が値段を気にしつつもM460にしなかったのはカラー液晶ではなかったからです。後述の活動量計A370にも同じことが言えますが心拍ゾーン等がカラー表示だとチラリと見て把握できます。ライド中にまじまじと数字を確認するなど事故の元です。肝心のライド中の視認性ですが、液晶が大きく文字サイズも大きいのでとても見やすいです。カスタマイズ性も優秀で速度・距離・時間・ケイデンス等表示する項目を編集できるので、表示画面を切り替えなくても常時把握しておきたい項目を1画面で多めに表示できます。優先度の低い項目は本体サイドボタンで切り替えられます。また、マップや心拍数表示ではカラー液晶の恩恵を感じます。映り込みがあるのでどうしても気になる場合は液晶フィルムをAmazonで調達するのも手です。

タッチ操作

 V650は赤い大きなボタンやサイドスイッチが付いていますがタッチ操作が可能です。AppleのiPhoneのようなタッチ精度を期待するとガッカリしますが酷くはないです。サイクル用グローブでも感知します。走りながらの地図拡大等の操作は危険なので殆ど行いませんが不可でない操作感です。ただ、どうしても地図を確認したい場合は停車してGoogleマップで確認します。その方が安全ですし精度も高いです。

マップとルートナビ機能

 先にとても重要な注意点を挙げますが日本版GPS衛星「みちびき」に対応していません。後述のマップとルートナビ機能も本来は優秀で精度の高いGPS衛星との連携があったればこそですが日本上空を飛んでいる「みちびき」に対応していないので精度はイマイチでマップ系機能の全てを台無しにしていると言っても過言ではありません。

 まず「マップ」についてオフライン用のマップとして「Open Street Map」をダウンロードして読み込みを行うと表示できます。マップ表示に関してはGoogle マップとの大きな差としてコンビニなどの目印になりそうな情報が載っていないこと。場所によってはどこで曲がるかなどの分岐点がわかりにくいです。

 「ルートナビ機能」はアップデートで追加された機能です。ナビで使用するルートはルートラボ等で作成したルートを後述のポラールフロー経由でインストールすると表示できます。読み込んだ地図を元にルートナビ機能でガイドさせるわけです。

 実際にナビ機能は数回使用しましたが現在では殆ど出番はありません。理由は以下の3点。

・サイドボタンで表示項目を切り替えてもすぐにルートナビ画面に戻ってしまう

・現在位置をよくロストする

・GPS通信で「現在位置を検出しました!!」メッセージが頻繁に出てきて鬱陶しい

 現在位置のロストや現在位置の把握が頻繁に行われるのは「みちびき」に対応していないことが原因だと思います。ログデータを確認してもマップ上の軌跡がガタガタで酷い場合は一本線で表示されるなどデータが取れていないケースもあります。

 私は輪行での遠征時は入念に調べてから行くことと山や田舎はそこまでルートが分岐していないので幸いにも使い所が殆どありません。決めているルートを外れて寄り道することも多いので私の旅スタイルにはマッチしにくいのです。

 どうしても地図確認が必要なら停車してスマホでGoogleマップを見た方が安全にお店などの情報も確認できるので便利です。このナビ機能はサイクルイベントやレースで「決まったルートをとにかくひた走る」という場面でしか使いどころが無いと思います。

センサー

腕時計型活動量計「A370」とペアリング(お世辞にもペアリングがすんなりとはいかない・・・)

 センサー通信規格についてはGARMINで使用される「ANT+」ではなく「Bluetooth」を採用しています。パソコンでもおなじみの通信規格で汎用性があり、センサーとリンクしてしまえば計測は特に問題ないと思います。ただ、センサーとリンクするまでが厄介で「センサーを検索」しても見つけられないことがあります。これは後述のウェアラブルウォッチの「V370」とのペアリングも同様。自転車屋さんで聞いた話ですが、ANT+と比較して繋がるまでの時間がかかるのもBluetoothの欠点のようです。ちなみにセンサーとのリンク以外にも本体の起動時間も遅いと感じます。

 センサーは同社から「ケイデンスセンサーBluetooth Smart」というセンサーが出ており、自転車に装着することで車輪の動きや位置情報を計測し各データを取得することができます。ロードバイクについてはTREKを使用している関係で「Duotrap S」、DAHON Dash Altena はキャットアイの「スピードケイデンスセンサー ISC-12 」というセンサーを使用していますがBluetooth規格対応なので特に問題なく使えています。ただ、繋がるまでが遅い・・・。

 心拍数については胸バンド形式のセンサーがセットになったパッケージも発売されていますが、取り回しとサイクリング以外でも活動量を測りたかったので同社の「A370」を使用しています。A370は一般的な活動量計と同じ機能を搭載しつつV650にBluetoothで心拍数データを送信することができ心拍数や消費カロリー計測が可能になります。

Polar Flow

参考でAACR時の白馬エリアのログデータ

 「Polar Flow」というクラウドサービス経由で本体のアップデートやアクティビティデータの同期・管理を行います。ちなみにアップデートでローディー御用達の「STRAVA」に同期することも可能になっているようです(アカウントはあるけど使っていないです)。

 他と比べてショボいという評価があるクラウドサービスですが機能面よりはユーザーの少なさによるデータ取得に難があるんだろうなという印象です。個人的にはカレンダー表示や各アクティビティデータなどは見やすいと感じます。

どういう人にオススメか?

 

「サイコン欲しいけどGARMIN買うお金が出せない人向け」

・・・というのは投げすぎなので補足。サイコンについては単純に距離・速度・時間を把握するだけならCAT EYEの5千円前後の製品で十分です。そこから踏み込んで斜度・ケイデンス・心拍数等々の計測やトレーニングの実施、マップ・ナビ機能が欲しいけどGARMINは高くて手が出ないという人に向いていると思います。ただし、ハッキリ言って機能面等あらゆる部分でGARMINが優れています。頑張ってお金が出せるなら無難にGARMINを買うべきです。V650についてはとにかく「みちびき 」に対応していないことが致命的です。「V650買ったけどイマイチなので結局ガーミンを買いました・・・」となったらトータルの金額で損です。また、ガーミンの方がサードパーティー製含めてマウントアダプター等オプション類が充実しています。

 私の場合はGARMINどころかV650も全機能をフルで使う場面は無いのでV650で充分だったと思います。事足りてはいるのでガーミンに買い換えるほど問題になってはいないです。大型カラー液晶に拘らなければもっとお手頃価格で「M460」があります(後から発売されたせいかこっちの方が高機能でみちびき対応・・・)。GARMINほど高機能・高価格は必要ないという方にはPolar のサイコンで良いと思います。でも、「みちびき」に対応していない時点でこれをわざわざ選ぶ理由がないわけでキャットアイで良いじゃん・・・となります。

 他人様に高いサイクルコンピューターを勧めるならガーミンです。