ミニベロ「グレイシア」を451ホイール化 揃えた部品や組み付け作業、トラブル、走行感など

 前に別記事で書いたことのあるミニベロ「グレイシア」の451ホイール化をお遊びでやってみることにしました。私の場合は451ホイール化したところであまり使い所がないこと、あくまでお遊びでやってみるということから可能な限り値段を抑えて451ホイール化することにしました。(それでも27,000円ほどかかりましたが)

406と451は別物

 20インチホイールを履いたミニベロはエトルト表記で言うところの406と451の2種類が存在します。大雑把に言えばホイール直径が406mmなのか451mmなのかという違い。451に関しては厳密には22インチのはずですがミニベロ界では20インチという括りで扱われています。一般的に世に多く出回っている20インチミニベロは406がほとんどです。451は406よりホイールが若干大きく、加速性能・速度維持に優れているので走行性能に振ったミニベロに多い傾向です。

 この両者はサイズが違うのでタイヤ・チューブに互換性はありません。サイズを変える場合は丸々すべてを調達する必要があります。また、ホイール・タイヤ直径が変わるのでフレームのクリアランスが十分にあるのかもあらかじめ確認しておく必要があります。

 今回のライトウェイ「グレイシア」に関しては後でも触れますが、基本的には451ホイール化が可能なモデルです。元々、ボリュームのあるタイヤを履いていることもあり、フレームのクリアランスは十分に余裕があります。(2.3までの太さは履けます)

用意したパーツ

 451ホイールセットを作成すべく、ホイール・タイヤ・チューブなどのパーツを一から揃えます。これから出てくるパーツ類は全てAmazonで調達しましたが約27,000円で揃えることができました。ただし、コンポやパーツのグレードによって変わるので参考にはならないかも。

 まずホイールですがAmazonで見つけたLitepro AERO S42 20インチ451V /ディスクブレーキ11スピードホイールセット (黒, 451 100-135 disc brake)を購入しました。お値段はなんと前後セット12,800円でした。451サイズ・ディスクブレーキ対応・安価の条件で探すと選択肢はこれくらいでした。LiteProはミニベロ界隈ではよく見かけるメーカー名です。ただ、ホイールにしては安すぎるのでポチるのを若干躊躇しました。なお、Vブレーキモデルもあるのでリムブレーキモデルも対応可能です。

 届いたホイールを素人目ながら入念にチェックしましたが特に問題は無さそうです。ただ、値段相応の造りだなと感じる点は細々とあります。

 ホイールに貼られているシールははっきりと端っこがはみ出ています。貼り方が雑なのかと思いましたが、406サイズ用のシールを無理やり451サイズに貼っているので曲線が合わずにはみ出ているようです。

 ほかにもホイール接合部の微妙な隙間も気になるかな……。スポークもしっかり組まれており問題はなさそうですが精神衛生上良くないですね。

 ホイールはスプロケットを取り付けるフリーボディの長さが36.85mmで8速〜11速に対応しています。8速と9速のスプロケットを取り付ける場合は1.85mmスペーサーが必要です。

 このホイールには1.85mmスペーサーとクイックリリースが付属。10速だと1mmスペーサーが必要なので別途購入が必要。

 スペーサーが付いてくるのを知らずにシマノの1.85mmスペーサーを買っていました。比べると厚みは同じですが、ホイール付属のものは掘り込みのディテールがボテっとした感じ。今回はシマノのスペーサーを使うことにします。

 パナレーサーのリムテープも買っていましたが、ホイールには赤いリムテープがすでに装着されていました。ダホンのミニベロなど大体のホイールでこの手の薄手で硬めのテープが巻いてあります。今回はこのまま使用することにします。

 ちなみにパナレーサーのリムテープを当ててみましたがテープ幅は問題なさそうです。交換する機会があれば使うことにしましょう。

 タイヤは451サイズでは無難かつ安定なシュワルベワン。価格と性能からこの辺がちょうど良いと思います。451サイズのタイヤは数年前に比べて選択肢が増えてきましたが相変わらず太いタイヤは少ないようです。

 タイヤチューブはいつものクセでシュワルベのチューブを購入しましたがこれは間違い。凡ミスというにはお粗末な話ですが、ホイールが40mmのディープリムなのにバルブ長40mmのタイヤチューブなんか入れたら空気を入れられません。

 というわけで改めてタイオガのタイヤチューブを準備。こちらはバルブ長が60mmなので問題ありません。

 シュワルベの40mmと並べると全然違いますね。チューブの重さはシュワルベより10g軽い88gでした。初めて使用するので耐久性は不明。

 ギア比は変えないのでチェーンはそのまま。スプロケも現在406に付いているものと同じ「シマノカセットスプロケット CS-HG41 8S ACERA(アセラ) 」を新規購入。

 ディスクブレーキのディスクローターはグレイシアに元々付いているものと同じ「シマノ SM-RT56 S ディスクローター 160mm」。ただし、今回のホイールのローター取り付け方式は「6穴」タイプです。間違ってセンターロックタイプを買わないよう注意。

組み付け作業と不具合

 揃えた部品を組み付けていきます。後輪についてはタイヤ・チューブ→スプロケ→ディスクローターの順序で組みます。これは作業中に油・汚れがローターに付着するのを防止するためです。

 空気を入れる際に確認しやすいようにタイヤの空気圧表記部分はバルブ口に近い位置ではめます。シュワルベワンの対応空気圧は6〜8ber(85〜115psi)と406タイヤで使用しているものよりかなりの高圧。過去にダホンの折りたたみ自転車で運用していた数字ですが久々に手にするとその差に驚きます。今回は6.5berで空気を入れました。それでも硬い。

 スプロケは前項の通り、シマノの1.85mmスペーサーをフリーボディ使用。

 スプロケ装着完了。特に問題なし。

 ディスクローターは説明書の通り、ネジを決められた順番で規定トルクの4Nmで締めました。

 各パーツの組み付けは問題なく完了。

 元から使用している406ホイールとも並べてみました。406にはトラッカーというタイヤ幅2.3のボリュームのあるものを付けているのでほぼ同じサイズに見えます。ホイールのリムとタイヤの比率が違います。実測では406は51cm、451は50cmと406の方がわずかに大きかったです。

 タイヤの太さも全然違いますね。

 実際に組んだ451サイズをグレイシアに装着しましたがここで問題が発生。後輪のディスクブレーキでローターとパッドが当たってしまいます。普段よりもわずかに緩めにクイックリリースを締めたところギリギリで接触を回避。

 とりあえずサイクルショップに相談しましたが、ブレーキキャリパーを横にずらす調整が必要とのこと。ホイールハブによってローターの取り付け位置が微妙に異なるのが原因とのことで、同じハブを使用していれば回避できる問題のようです。今回は幸いなことに前輪と変速は問題がないのでブレーキキャリパーの位置調整だけで済むとのこと。まだこれくらいなら楽な方だと思います。もし、今回のように406と451を使い分ける運用をしたい場合はこの辺だけは要注意ということでしょう。

各部のクリアランス

 グレイシアに取り付けた状態でのフレームとのクリアランスの確認。2.3幅までの太いタイヤを履けるモデルなので前後ともにクリアランスに余裕があります。それよりもスカスカ感のある見た目の方が気になるかも。

 フロントフォークは上部が1.5cm、横が2.2cmの隙間が残っています。

 リアはスタンド台座が1.5cm、横が2.5cmでした。451サイズでブロックが付いていたり、もう少し太いタイヤを付けると想定してもフレームとのクリアランスは問題なさそうです。

重量について

※表の数値はg表記

 重量についても表から抜粋したものを載せておきます。今回使用したパーツの重量とそこから出した前後の重量です。ホイールはフロント905g、リア1022gと値段を思えば相応の重量です。ただ、ロードバイクと異なり、ミニベロは走行安定性・慣性モーメントの観点から「軽量ホイールが良い」という単純な世界ではないので評価は難しいところ。

 ちなみに現在使用中の406ホイール+トラッカーはフロント1713g、リア2243gの計3956gです。今回組んだ451は前後で3437gなので重量差は519gでした。車体を持ち上げてハッキリと体感できるかと言われれば微妙。知らなければ気づかないレベル。

走行感について

 走行性能については見た目通り「451タイヤを履いた8速コンポのフラットバーミニベロ」な走りです。406と比較して走行性能は向上しており、特に「巡航性能」で差を感じます。ある程度長い距離を通しで走る場合は失速までの時間にだいぶ余裕があり、ミニベロで問題になる巡航速度の維持が楽になります。信号の少ないエリアやロングライドだとこの強みが活きてくるので、舗装がきれいな都市部や荒川河川敷のような場所を走るなら451サイズが良いと思います。

 逆に信号や交差点などのストップアンドゴーが多い街乗りではこの強みが実感できないかもしれません。特に「乗り心地」にも絡んできますが歩道などの段差やひび割れを前にすると神経質にならざるを得ません。

 以上で書いたことは過去にダホンのミニベロで体験済みなのもの。新たな発見・体験というよりは総じて「懐かしい乗り心地」に再会した気分です。あと、補足しておくと値段の安さに不安を感じたホイールは思った以上によく回転して問題はなさそうです。耐久性などは様子見ですね。

 あと、走行性能や乗り心地と直接関係ないですがラチェット音がうるさいです。ペダルを回すのをやめるとギュインギュインけたたましい音がするので夜間の住宅街だと気を使うかも。

451ホイール化はそこまで難しくない

 今回は妄想レベルで451ホイール化もできそうだなと思っていたものを実際にやってみました。車体の仕様やどこまでいじるかによりますが、ホイール込み27,000円で451ホイール化ができたのはすごいことだと思います。今回と同じようにライトウェイのグレイシアで、もしくは同じようなディスクブレーキ搭載ミニベロを451ホイール化したいならそこまで難易度は高くないということです。リムブレーキモデルならもっと難易度は下がるでしょう。もう少し走行性能に振りたい、ミニベロロード的な仕様にしたいという場合には有効策と言えそうです。

 ……と、こんな感じで451ホイールセットが出来上がったわけですが、私の場合は走る場所やライドスタイル的に使いどころが無いんですよね……。当面は部屋の収納で眠らすとして、どこかのタイミングでドナドナか……? 長距離を走るにしても今更この細いタイヤでまともに走り通せる気がしない。