ミニベロの振動対策について思うこと

 ミニベロの宿命の一つに「走行時の振動を拾いやすい」というものがあります。ミニベロははシティサイクルやロードバイクと比べてホイール径が20インチ前後と小さいのでどうしても路面からの振動を多く拾います。

 自分の経験から例を挙げると、取り付けていたライトやアクションカムがお辞儀して下を向いてしまったり、車体に付いていた折りたたみ用のアタッチメントパーツ(ビス留めされていた)が消えていたりしました。他にも速度抑制のための「段差舗装」の上を走るのに神経質になるなど振動の脅威が付き纏います。もちろん各々のモデルによって仕様も異なるので振動の強さも変わりますが小径車というカテゴリ内で極端に違うことはないと思います。

 そういったことからミニベロを購入すると振動対策込みでカスタム欲が湧いてくることがままあります。私自身もミニベロ購入当初は振動に悩まされたのでそれについて思いつくまま挙げてみます。

「そういう乗り物」と割り切る(結論)

 先に結論ですが「ミニベロはそういう乗り物と割り切る」のが自分なりの答えです。ミニベロという乗り物は冒頭にも触れたように小さいホイール径から衝撃がほぼそのまま乗り手側に伝わります。何の解決にもなっていませんがミニベロの仕様上やむをえないと思っています。

 一応、後述する対処方法はありますがモデルによってそれができないケースが多々あります。また、どれも費用がそこそこかかる上、効果も気休め程度でしかないなど決め手にも欠けます。そのようなことから気になる走行時の衝撃・振動も「ミニベロの個性」と思って受け入れ、折り合いをつけるのが現実的な選択だと思います。

タイヤ・空気圧で調整

 ここから対処方法を挙げていくのですが、一番実行しやすいの手段の一つがタイヤと空気圧での調整です。私が乗っているグレイシアがまさにそれですが、太いタイヤを履いて空気圧もあまり上げずにクッション性を確保するというもの。空気圧はチューブレスでない限りはそこまで落とせないので実質、タイヤ交換での対応になると思います。

 他の方法に比べればかかる費用もだいぶ抑えられます。ただし、この方法すらモデルによってはタイヤクリアランスの関係で装着が難しいケースがほとんど。特に2種類ある20インチホイールのうちの「451サイズ」は太いタイヤの選択肢がほぼありません。どちらかと言えば451サイズは細めのレーシーなタイヤの方が主流な気がします。

 なお肝心の効果については確かに乗り心地改善になりますが「気休め程度」です。期待しすぎない方が良いでしょう。グレイシアにはサーファスの「トラッカー 20×2.3(ETRTO406)」というタイヤを履かせていますが「他のミニベロに比べたら多少マイルド」くらいのものです。同じ道をロードやグラベルロードで走るとやはり越えられない壁があります。

ハンドルグリップ・バーテープの交換

 こちらもタイヤ同様にそこまで費用をかけずにできる内容です。ハンドル周りは手に衝撃を感じやすいこともあり効果を実感しやすいと思います。具体的には掌にフィットした平べったいエルゴ形状のハンドルグリップ、ブルホーンハンドルなどバーテープを巻いているものであればクッション製の高いものに交換するといったところです。

 過去に「ブルホーンハンドル」についての記事を投稿していますが、昨今のグラベルロードブーム?のおかげかクッション製の高いバーテープの選択肢が増えているようです。ただ、バーテープを自分で購入・交換したことがないのでどう言うものがあるのか不明。自分が持っているRENEGADE S2のバーテープはハンドルにクッション性のあるゲルシート?が貼られているようで若干モチモチです。そういうバーテープを巻けばだいぶ違うのではないでしょうか。

 ハンドルグリップについては軽量化を謳ったモデルには「スポンジ状の丸いグリップ」が付いていることがあります。ダホンの某モデルとか。こういったグリップは長い時間握っていると振動で手・腕に疲労が蓄積します。さらにグリップがグルグルと動いてストレス。もしもそういうグリップが付いているなら上に挙げたものにするとだいぶ変化があるでしょう。

サスペンション付きモデルを選ぶ

 これは一番効果的な手だと思います。なお、お値段……。

 最初から自転車本体にマウンテンバイクの如くサスペンションが付いているので衝撃・振動対策にはもってこいです。他モデル・対処方法よりは効果が期待できます。具体的に挙げるなら「birdy」が真っ先に思い浮かぶでしょうか。ホイール径が20インチより小さい18インチですが、前後にサスペンションが付いているのでなかなかに快適だった記憶があります(試乗時の記憶)。他にどのくらいサスペンション付きモデルがあるか把握しきれていませんが、そういうモデルを選んでおくと良いかもしれません。

 ただし、サスペンションのような「可動部分」があるモデルはそれだけ調整・整備などが求められます。この辺りは「折り畳み自転車」と同じようなものです。また、こういったモデルは車体価格も高いので運用コスト含めてあらかじめ金銭的な覚悟も必要です。とにもかくにも購入するなら「信頼できるショップ」を見つけておくことが大事です。

サスペンション機能付きのパーツに交換

 前項と同じような話になりますがシートポストやハンドルステムでサスペンションのようなクッション機能が付いたパーツがあります。特に最近ではグラベルロードの影響なのかその手のパーツが増えている気がします。

 お値段が高い方のJAMIS「RENEGADE S2」にも付いていますがレッドシフト ShockStop サスペンション ステムというステムパーツは効果がありそうです。ほかにもシートポストだと以前より「SR SUNTOUR(エスアールサンツアー) ピラー NCX SP12」のようなものがあるので身体と接するパーツに手を加えるのは十分効果的だと思います。 ただし、こちらもお値段が高いことと取り付けが可能なのかを調べる必要があります。ステムパーツについてはそもそもステムが無いモデルもありますし……。

 ところでAmazonを眺めていたらこんなもの見つけたのですがどうなんでしょう? シートポスト径も27.2と30.9と31.6mmの3種類あって価格も3000円台か……。

 グレイシアで今度試してみるか。

カーボンの導入

 ロードバイクの世界ではお馴染みの「カーボン」も一応の効果はあります。使う箇所によりますが特にフロントフォークだけでもカーボン製のものに交換するだけで効果を実感できます。もっと贅沢を言えばカーボンフレームモデルの「CARACLE-COZ」のように丸ごとカーボンにすればもっと効果はあります。なお、こちらもお値段……。(これが買えるならロードバイクで良いんじゃないかという気もする)

 ロードバイクくらいのサイズだとカーボン・クロモリ・アルミなど素材の違いで「極端に差が出る」ということはありません。差はありますがそれよりもタイヤ・ホイールを変えた方が実感しやすいです。ところがミニベロになると話は別です。ロードと比較してこれらの違いが実感しやすいです。もともと振動を拾いやすいという特性があるのでフレーム素材の違いも拾いやすいのだと思います。何か機械で計測したわけでもなく、体感でしか感じたことがないので説明しにくいですが、カーボンフォークに交換する方もいるくらいなのでやはり違いが出るのでしょう。実際に「カラクル」はミニベロというよりもカーボンロードのような乗り心地でしたし。

 カーボンフォークなどカーボンパーツの導入は一定の効果が見込めますが難点はやはり「価格」です。ロードと異なりサイズや仕様(Vブレーキorキャリパーorディスクetc)の絡み、生産量の関係から高価格になりがちです。あとは仕様の関係から「適合するもの」を探すところから苦労すると思われます。

 カーボンと言えばグレイシアのシートポストはAmazonで見つけた安価なカーボン製シートポストに交換しています。ただ、効果はあるのかもしれませんが実感できるものではないです。ハンドルバーやフロントフォークに比べると使用する箇所によって体感上の違いがあるのだと思います。

 余談ですが「折りたたみ自転車」についてはカーボンとの相性はよろしくないと思います。特にダホンなどの折りたたみ自転車で使える「カーボン製シートポスト」が代表例と言えます。シートクランプで何度も締めて緩めてを繰り返すのでトルク管理が非常にシビアなカーボンとは相性は良くないと言えます。下手すれば割れますしズリ落ちてくる恐れもあります。

何はともあれ乗り比べることをオススメします

 思いつくものを挙げたましたができることには限界があります。また、走行時の衝撃・振動への許容度も個人差があります。そういう意味でもショップやサイクルイベントなどで試乗してみることを強くオススメします。雑誌やネットの情報からはある程度の「知識」は手に入りますが、「体感知」を得ることは不可能です。動画ですら昨今のアクションカムに付いている「手振れ補正」のおかげで実態を得るには用をなしません。こればかりは実際に乗って体験するしか方法はありません。

実際に試乗してみて「聞いた話ほど大したことないじゃん」となれば購入すれば良いですし、どうしても気になるなら乗り心地に振ったクロスバイク、ロード・グラベルなりを検討すれば良い話です。私は諸々含めてミニベロが好きで今はグレイシアに乗っていますが、そうじゃなければニカシオSEあたりを選んでいたかも(仕様がミニベロではないグレイシアな感じ)。ミニベロはつくづく業の深い乗り物です。