自転車を輪行以外の手段で安全に発送する方法について1 ヤマト便のトラウマ

 今回と次の記事でロードバイクなどのスポーツバイクの発送について扱います。まず今回は数年前に「ヤマト便」を利用した際の話となります。結論としては「2度と使わない」という感想です。後述の通り自転車が破損した上に弁償してもらう際の手続きに時間と手間が取られました。他の方にもこれの使用はおすすめしません。次回の記事で「シクロエクスプレス」を扱いますが自転車輸送専門の業者に頼むのが最低限の安全策だと思いました。これから旅行やイベントで輪行以外の手段で運ぶことを考えている方もいると思うので何かしら参考になればと思います。

*数年前にヤマト便を利用しての話になるので現在のサービス内容と状況が異なります。

サイクリングヤマト便とは? *現在はサービス終了

 正確に言うと私が利用していたのは「サイクリングヤマト便」です。「CJ+」という自転車保険に付随していたサービスです。2021年10月にヤマト便自体がサービス終了し現在は「「らくらく家財宅急便CJ+会員用」(旧サイクリングヤマト便)」を暫定的に実施中のようです。

 数年前のことなので具体的な制度の内容はほぼ忘れていますが事前に伝票を用意したり会員割引でヤマト便で自転車を発送できるとかそういう内容です。料金は自転車を発送する場合は家財宅急便でだいたい1万円ほどかかるのですがこのサービスを使うと約3分の1の金額で済みます。これ目当てで保険に入っている人もいるとかいないとか。

帰りの輪行が厳しそうだったのでヤマト便を利用

 ヤマト便を利用したのはスポーツ自転車乗りはじめの頃です。当時加入していた自転車保険に付随してヤマト便による自転車発送が可能でした。行きは特急あずさで輪行しましたが座席後部スペースが狭かったため輪行は無理があると感じたため帰りはヤマト便を使ってみることにしました。こういうことを想定しあらかじめ伝票を用意していたのでした。

 発送自体は簡単で輪行袋に収納してヤマト運輸に取りにきてもらうだけです。その際に保険金もかけるのですがいくらかけるかは任意だったと記憶しています。ただ、「保険をかけておいて良かった」という事態がこの後起こることはまだ知る由もありません……。

*当時は集荷に来てもらえましたが現在は「営業所持ち込みのみ」だそうです。

ガリガリの粉々で自宅に到着

 発送から数日して自宅に到着しましたが輪行袋を開けたら驚きの光景が待っていました。自転車のあちらこちらがガリガリ削れていました……。上の画像はダホンの折り畳み自転車のヒンジ部分です。ブラックの塗装面どころかアルミ地ごと削れています。当時の写真が1枚しか見つからなかったのですがフレームの他の箇所もこんな感じでガリガリに削れていたりえぐられていました。そのほかに輪行袋内には自転車以外のプラスチック片などが粉々の状態で入っていました。つまりは他の方の荷物も粉々になっているということです。どこをどうしたらこうなるのか……。

弁書してもらう際の手続きが非常に手間

 ヤマト便の保険で全部弁償してもらうことになりましたがその手続きがまた大変でした。うろ覚えなので詳細が異なる部分があるかもしれませんが以下の通り。

ヤマト運輸に連絡して自転車を実地確認→弁償してもらう自転車とオプション類をリストアップ→こちらで一旦買い直す→領収書など必要書類を送る→ヤマト運輸に後日振り込んでもらうという流れと記憶しています。

 今思い出して疑問なのが買い直す際にもし自分に手持ち金が無い場合はどうなるのかということ。お店側に相談して支払い保留が可能なのか? ちなみにヤマト運輸側との話の中で「塗り直してもらうにも余計に高くつくみたいですね」という趣旨の発言に「フレームの地も削れているのに安く済むなら塗り直しで済まそうとか考えているのか!?」とさすがに怒りました。 

当時はこんな素の状態だったのがまだ救い

 さらにこの流れの中で壊れた自転車を引き取ってもらうのですが、すでに交換していたタイヤやサドル、ペダルなどは元に戻してから引き渡すという手間も発生しています。さすがにこれらの交換パーツまで持ってかれては困りますがコンポ含めてカスタムしていた場合のことを考えるとゾッとします。その当時もフルカスタムしている自転車の場合はどう弁償されるのか疑問は感じました。まぁ、これは自分で経験したくはないですが。

 これらの一連の手続きで1ヶ月ほどかかりました。これは社会人ゆえに休日くらいしか時間が取れないことが主な要因。冬の時期でしたがこの間は自転車に一切乗れなかったので非常にストレスフルな日々でした。

ヤマト運輸側もサービス内容を把握できていない

 冒頭で他の人にもこれの使用はお勧めできないと述べたのはこれが理由です。本件で自転車が破損した理由は「配送員(もしくは営業所)がヤマト便のことを理解していなかった」ことに尽きます。自転車の破損状況をヤマト運輸の人が確認しに来ましたが「自転車と他の荷物を一緒にしちゃいけないんだけどなぁ……」とこぼしていました。同じトラックに積むにしても横の荷物と接触しないように緩衝剤で仕切るなど必要な対策を取ることになっているのだとか。先ほど紹介した「「らくらく家財宅急便CJ+会員用」(旧サイクリングヤマト便)」のページにも記載がありますが営業所によっては「制度自体について認識していない」ケースもあるようです。

個人的には2度と使用しない

 以上の述べた通り最初で最後のサイクリングヤマト便の利用で大変な目に遭いました。ただ、自分の落ち度としては「自転車発送用のパッケージ」を使わなかったということも挙げられるでしょう。当時はそういうものがあることすら知らなかったのですが。この時の経験はまさに「安物買いの銭失い」と言えるものでした。失ったのは銭よりも「時間」でしたがこれが一番大きなダメージだと思っています。私は帰路でヤマト便を使いましたが何かのイベントの行きで利用してこの事態になっていたら目も当てられないことでしょう。

 発送費用は確かに重要ですがこの時の経験から多少高くついても専門業者に依頼するか輪行を徹底すると自分の中で決めました。現在の「らくらく家財宅急便CJ+会員用」がどうなっているかはわかりませんが「懲りた」というのが正直な感想。特に一番の問題はヤマト運輸側で制度の理解が追いついていないのが致命的です。何かしら新サービスが始まっても2度と使う気にはなれないです。