海外メーカーの液晶ペンタブレット侮るなかれ!? コスパ抜群の「HUION Kamvas 16 (2021)」 レビュー

Mac

 「2021年現在において液晶ペンタブレットはどれを選ぶのが正解なのか?」といろいろ比較検討した結果、HUIONという中国のグラフィック関係企業が出している「Kamvas 16(2021) 」を購入しました。

 実際に使ってしばらく経ちますが性能はワコムの「Cintiq16」とほぼ同等で比較しても遜色ない使い心地で満足しています。「ほぼ」と付けるのは表示可能な色域など液晶パネルのスペックはKamvasが若干上であるなど違いがあるため。海外メーカーペンタブについては一昔前に試用した際の微妙なイメージがあったので心配でしたが杞憂に終わりました。昨今のPC環境で動かすには性能・価格のバランスが取れている製品だと感じました。

描き味・使用感はワコムのCintiq16と同等

 この手の製品で一番知りたいのは「描き味」に関することだと思うので購入理由などをすっ飛ばし先に触れます。肝心の描き味・使用感はワコムのCintiq16や13とほぼ同等だと思います。細かい技術的な違いがあるかもしれませんが体感上ではわかりません。この手の製品は実際に使用しないと使用感が分かりませんが本製品は家電量販店で置かれていることは無いと思います。ただ、Cintiq16は家電量販店にサンプルとして置いているケースがあります。その時の試用感覚をほぼそのまま当てはめて問題ないと思います。

 上の画像のように納品時の保護シートを剥がすとアンチグレアフィルムらしきものが既に貼られています。ただ、ツルツル滑る感じがあったのでエレコムからCintiq16用で出ている「ペーパーライクフィルム (ケント紙 ) TB-WC16FLAPLL」を貼っています。使用には特に支障が出ておらず紙に書いているようなザラザラ感が得られたので貼って正解だと思います。欠点としてはペン先がどんどん削れていくことですね・・・。しかし、描き味には代えがたいのでやむなし。

 Cintiq16と違いを強いて挙げるなら液晶の「表示色域」です。Kamvas16(2021)はsRGBカバー率120%、Cintiq16はsRGBカバー率96%という違いがあります。実際にKamvas16でブラウザなど表示させてみましたが明らかにCintioq13 や16よりは色表示は良くなっていると感じました。それどころか下手なノートパソコンの液晶よりスペックが上です。

 ただしこれは「比較」しての話です。写真・イラスト問わず「肌色」など扱いが繊細になる色に関しては「色確認用ディスプレイ」が別で必要だと思います。液タブは作業によって明度を落としたりするので本製品のみで色確認までこなすのは無理があります。いずれにしてもモニターのキャリブレーションをしているのが前提の話ですが。

*直近で載せて良いもの載せられるようなものが無いのでプロフ用のものを。

 サイドボタン類は機能の割り当てができるので使う人にとってはありがたい存在だと言えます。ただ、この製品はボタン式しか搭載していないのでその点で気になる人は気になるでしょう。私はサイドボタンは一切使用しないので特に問題ありません。キーボードショートカットのみです。

購入理由

 Kamvas 16を購入したのはCintiq16同等のスペックで価格が安かったというのが理由です。iPad Proを「液晶ペンタブレット」としても使用していたのですがPC作業ではやはり無理があったので新調することにしました(特に筆圧感知)。そこで悩んだのが「値段」です。ちょうど物入りだったのでワコムの液晶ペンタブを調達するのが厳しい状況。そこで候補に上がったのがワコム以外の海外メーカー製品です。Cintiq16はAmazonで6万円台ですが同等のスペックの液晶ペンタブであれば5万円いかない値段で購入できます。今回購入した「Kamvas 16」はセール期間だったので約34,000円ほどで購入できました。セール無しでも約4万円みたいなので液晶ペンタブレットにしては安価です(13インチの場合は約25,000円)。

 昔からワコム製品を使用してきた身としてはワコム製品を選んでおいた方が無難かつ安全だと思っています。ただ、上記の経緯で比較検討しCintiq16の発売時期、スペック、価格を考えると「2021年のタイミングで買うのは違う」という結論に達しました。Cintiq16「Pro」ならいざ知らず無印Cintiqに関しては現在のPC関係の技術水準と製品仕様が明らかにかけ離れており割高感は否めません。

 もう一つ決め手だったのが「USB-typeC1本で接続可能」という点です。これはThunderbolt3以降の「オルタネートモード」に対応しているかなどが関係していますが映像出力と電力供給がケーブル1本で可能です。そのため従来のように映像用とペンタブ用でUSBポートが2つ埋まるということがありません。配線がスッキリしますし多少無理をすればPCと一緒に持ち運ぶことも可能です。本当はこれをワコムのCintiqでやって欲しかったところです。

 ちなみに昨今流行の「4K」や24インチなど「大型液晶ペンタブ」については最初から選択肢に入っていません。「4Kは」ワコムの「Cintiq Pro16」がそうでしたが接続の安定性に欠けて運用上、非常にストレスを感じました。今現在は改善されているかもしれませんが安定性・信頼性を優先したかったので見送り。家電量販店などで実際に触った感触としてCintiq16のフルHDで特に不便を感じなかったということもあります。

数年前まで使用していたCintiq24HDはこの大きさで設置含めて大変でした・・・。

 24インチなど「大型液晶ペンタブ」は作業エリアが大きく便利に思えますがそうとも限りません。私はアナログでA4〜B5サイズに描いていることが多いのであまり大きいと描くのに疲れます。また、故障による修理や廃棄の際に大型液晶ペンタブは取り回しに非常に苦労します。両者共通の問題としては高コストになりがちということも挙げておきます。万が一の故障による修理や買い替えを考えるとやはり安いに越したことはないのです。

 以上のことは個人差がある話ですが液晶サイズ(描画エリア)と画面解像度のバランスが大事なのだと思います。

液晶ペンタブ本体と内容物

 パッケージを開封し中を確認。開封時点で多めに写真を残しています。これは納品直後使いにくかったら速攻でドナドナしようと思っていたため。

 液晶ペンタブ本体。背面カラーの違いで「コスモブラック」、「トワイライトブルー」の2種類があります。今回は「トワイライトブルー」を購入。手元にあるワコムのインテュオス4と比較するとこんな感じです。写真だと伝わりにくいですがブルーといっても紺に近いブルーです。ブラックとブルーのどちらもペンタブとしてはスタンダードなカラーなので選びやすいと思います。

 専用ペンとペン立て。ペン立ての中には替え芯が入っています。

 専用ペンはワコムのペンとソックリ。手元にないのですがワコムの現行モデルのプロペン2だとボタンの縁がシルバーなのでもっと似ています。唯一の違いとして「消しゴム」にあたるパーツがありません。私は使わないので問題なし。

 ちなみにワコムのペンで「ステンレス芯」がサードパーティー・個人から出ていますがこちらの製品で使用できるものがあるかは不明。芯の形状はワコムのプロペン2などとそっくりですが詳細は検証できないので不明です。先述のペーパーライクフィルムの関係から対応するものがあれば欲しいです。

 電源プラグとUSB・HDMIの各種ケーブル。電源プラグは各国の規格に合わせて交換できるようになっています。ケーブルは私の場合はUSB-typeC1本で接続できたので他のケーブルは不要でした。それが不可の場合は従来通り付属の各種ケーブルで接続となります。

 スタンドも付属していますが過去のCintiq13HDのスタンド並みに簡素です。簡単な図説付き。

 非常に単純な構造ですがこれが有るか無いかで使いやすさが変わるので付いてくるのはありがたいです。

 マニュアルや液晶クリーニングクロス、手袋なども付属。痒いところに手が届くような付属品です。

MacBook Proと「USB-typeC」1本で接続可能!!

 早速、MacBook Pro16インチ(2019)と接続してみました。こうしてみるとサイズ感が伝わるのではないでしょうか。画面の写り込みの関係でPCの画面は閉じています。

 先述の通りUSB-typeCケーブル1本で接続できます。Cintiq12WXを使っていた頃からこういうシンプルな接続を求めていたのでこれには感動しました。これによって他の端子類が埋まることもなくケーブル周りはスッキリします。ワコムでもこれを早くやってほしい。というか何故いまだにそういう製品が出ていないのかが本当に不思議です。

 そのほかに接続に関しては「板タブレットモード」で使用できる機能が備わっています。本体の電源をOFFにしてからケーブルを刺し直すことで板タブレットモードとして使用できます。この機能をどれほど必要とされるかは分かりませんが私はたまに使用しています。色の調整や液晶ペンタブを必要としない作業ではメインディスプレイで作業するのでわりと重宝しています。

 液晶は面積広めのベゼルに囲われていますが手が置くスペースが必要なので液晶ペンタブの場合はこれで正解だと思います。右手側にケーブルがきますが段落ちしているので接触することは無さそうです。

 ドライバソフトで液晶やペンの設定ができます。最優先で設定したのはペンのサイドボタンに「マッピング切り替え機能」を割り振ること。こうしておくとペンだけで液晶ペンタブとPC画面の切り替えが楽になります。

 ちなみに最初はこの項目が見つからず焦りました。よく見ると「画面」の漢字が「畫面」という表記に。海外メーカーなのでこういう細かい部分はやむなしでしょうか・・・。

ラインナップが分かりづらい

 本製品というよりこのメーカーの製品群の良くないところになりますが「ラインナップのわかりにくさ」が挙げられます。比較検討していて似たような製品が多くて困りました。

 結論としては16インチモデル(非4K)なら「Kamvas16(2021)」が最新であり買うべきモデルです。見分け方は「専用ペンの型番」。「Kamvas16(2021)」のペンは旧型の「PW507」です。ペンの型番で判別するのが分かりやすいでしょう。

 今回購入した16インチモデルには「Kamvas16(2021)」と「Kamvas16」があり、他にも「Kamvas Pro16」もあります。Amazonで取り扱われていませんが「Kanvas16 4K」という製品もあるようです。Proと4Kは値段も違うのでまだ判別がつきやすいですが「Kamvas16(2021)」と「Kamvas16」は混乱します。さらに「Kamvas16(2021)」の中にも「スタンド無しモデル」なんてものもあります。ここまで書いていて字面だけで混乱してきます・・・。

 ちなみにペン(PW517)に関しては旧型よりペンストロークなどを改良しているとのこと。値段もほとんど変わらないのでペンがアップデートされた「Kamvas16(2021)」を買うべきです。ワコムの無印かProラインでの区別と異なり、海外メーカーは発売年の新しい方がスペックが最新というケースが多いようです。公式サイトでも各モデルを比較できるようになっているので並べて比較するのが分かりやすいと思います。

まとめ

 初の「ワコム以外の液晶ペンタブ」ということで使用するまでヒヤヒヤしましたが無印のCintiqと遜色ない描き味で安心しました。むしろ液晶のスペックや接続に関しては上を行っていたので今や海外メーカーでも馬鹿にできないクオリティーです。それどころか2021年後半というタイミングでワコムを選ぶ理由は無くなっているのが正直な感想。

 Kamvas 16(2021)は価格が高すぎず適度なサイズで液晶ペンタブレットを探している方には特にオススメできる製品だと思います(*)。一昔前の価格を知っている身からするとこのクオリティの液晶ペンタブレットが5万円しないで手に入るとは恵まれた時代だと思います。

*液晶ペンタブについてはスペックも大事ですが自分に合った液晶サイズ(描画エリア)を選ぶのが一番重要かも。「肘」を動かして描くのか「手首」を動かして描くのかの違いで最適なサイズが変わってきます。