紅葉を目当てに高瀬渓谷と小熊山をミニベロでハシゴライド

 長野県大町市「高瀬渓谷」の紅葉が見頃を迎えているということでサイクリングしてきました。高瀬渓谷は紅葉の美しさが有名なスポットで他にも高瀬ダム、龍神湖、葛温泉などがあります。今回はさらに小熊山もルートに含めて走ることにしました。

 全部自走は自転車的に大変なので信濃常盤駅まで輪行移動します。早朝なのでまだ雲がたなびいていますが昼間には晴れるはず。晴れてくれ……。

ミニベロで走るけど行き倒れるかと思った……。

 信濃常盤駅から輪行解除し出発します。今回も諸事情からグラベルロードを回収できていないため、ミニベロのグレイシアで走ります。乗り手というエンジンが非力なので、これでどのくらい走って登れるか不安はありますが、無理の無いようにペース配分に気を付けていきます。

……が、結果から言うと後述の小熊山を登るあたりで体力的に文字通りヤバいと感じました。本来であれば「大変ではあるけど走り切れましたね」という具合だったはずでしたが、自転車の方で問題が出てしまい予想以上に体力を削られてしまったのです。

 これに先立ってグレイシアのクイックリリースをスキュワーに交換しました。ライドの後半でというか終盤で気付いたのですが、スキュワーが締め過ぎだったらしく、ホイールハブの回転が悪くなっていました。「常に軽くブレーキがかかっているような状態」で走っていたということです。この辺は後日別記事で扱いますが、これのせいでだいぶ要らぬ苦労をさせられたというわけです。ろくにテストもしないで実戦に出すからこうなる……。

美しいグラデーションが楽しめる高瀬渓谷の紅葉

 ペース配分に気を付けつつ高瀬渓谷方面に向かい走り進めます。

 大町ダムの直下まで進みました。この辺りはすでに紅葉が進んでいて赤々とした木々が増えてきます。

 ミニベロでこの坂を登るのかぁ……。少し前に走った長峰山と同じく一番小さなギアで回せば登れないこともないのですが今回は極力押していくことにしました。この後の行程を考えれば体力は温存しておきたいところ。

ダムの威容と紅葉の組み合わせ。もう近くの龍神湖でゴールでも良いのではという想いもよぎります。

 歩いているとお猿さんに遭遇しました。向こうもこちらの存在に気づいていますが、特に気にせずに移動していきます。目の前を堂々と横断するあたり人に慣れていますね。こちらも変に刺激しなければおそらく大丈夫だと思います。今回のライドではとにかくお猿さんとの遭遇率が非常に高かったです。まぁ、シカ・イノシシ・クマと会わなかっただけ幸運と言えるでしょう。

 龍神湖からの大町ダムの眺め。もっと先には大町市街地は見えます。写真ではわかりませんが、朝陽が眩しすぎて写真がどう撮れているのかわからないまま撮影しています。この写真も帰宅後にちゃんと写りを確認できました。

 意を決して龍神湖から七倉山荘に向かうことにします。登れないわけではないのですが、ロードなどと比べるとやはり大変です。さらに先述の自転車の問題から重しを付けて登っているようなものでした。上の写真は「北葛沢」というスポットで橋からの眺めが有名です。ただ、この時は朝陽が強すぎて写真が撮りにくい状況でした。明暗差が強すぎてどちらかが色潰れを起こします……。

 前に走った小谷村の旧道や筑北村の県道と同じく、こういう外の景色が見えるトンネル(スノーシェッド)は走っていて楽しいです。

 このエリアの特徴でもある温泉成分が溶け出したことによる特徴的な川の色。これを見ると高瀬渓谷に来ているのだと実感できます。

 葛温泉区間に到着。昨年とは異なり真っ赤ではありませんが、緑・黄・赤の綺麗なグラデーションが楽しめます。

 このカラフルな紅葉のトンネルを行ったり来たりするだけでも楽しい。

 一面が真っ赤も良いですが、今回のようなカラフルな眺めも見ていて飽きません。

 個人的には高瀬渓谷で一番紅葉が楽しめるのはこの葛温泉区間だと思います。紅葉の進み具合によりますが、この後の七倉山荘まで無理に登らなくても葛温泉区間だけで十分楽しめます。

 局所的に真っ赤になっているところも。

 今回は七倉山荘まで登ることにしました。後のことも考えてキツイ登り坂は押していきます。

 きつい登りやトンネルを抜けて七倉山荘に到着。街中を走るようなミニベロでよくもまぁここまで登って(押して)きたものです。

 七倉山荘の駐車場は車とバスで埋まっていました。人が写っていない写真をあげているのですが山荘周辺は若干混雑していました。おそらく高瀬ダム行きのタクシー待ちか、そこから帰ってきた人たちでしょう。

 今回は先ほどの葛温泉区間から七倉山荘周辺がちょうど見頃のようです。山に目を向ければ美しいパッチワークのような眺めが拝めます。

 ここからさらに向こうの山に登る人もいるのでしょう。

 ここからタクシーか徒歩で高瀬ダムまで行くことができますが、今回も後の行程があるのでパス。

 こちらのゲートから先は一般車両や自転車は侵入不可。許可をもらっているタクシーか徒歩でないと進めません。

 ゲート近くの橋からの眺め。向こうに見えるのが七倉ダムです。

 橋を渡った先のトンネル入り口付近まで散策。

 ここが登山口。

 看板が無ければ登山ルートとは気付きませんね。

 トンネルは歩道敷はありますがあまり歩きたくはないです。タクシーを使った方が無難でしょう。

 ところで紅葉のピークがまだなのにこのタイミングで来たのには理由があります。もう一週間くらいすればもっと色付きますが、天気予報では雲が多めという内容でした。実際にどうなるかはわかりませんが、万が一のことを考えてこの日にしました。他にも高瀬渓谷に関して「平日に走る」という選択肢は無いというのもあります。平日は高瀬ダムから堆積した砂利を運び出すトラックが何台も往復するのです。相当冷や冷やしながら登ることになりますし危険です。

 トンネル入り口で這いつくばるようにして撮影した写真がこちら。私のスマホではこのくらいしないと山が入り切りませんでした。この美しいパッチワークを拝めただけでもここまで登ってきた甲斐はあったというものです。

 正午が近づき車も人もどんどん増えてきたので降りることにします。高瀬ダム行きのタクシー待ちの列もすごいことになっていました。

 眩しすぎる朝陽から落ち着いた日差しになり周囲の景色も見やすくなりました。車で行くなら早朝よりも正午前が良いのかもしれません。車や人が増えますが景色が見やすいのは間違いなくこの時間帯。早朝だと明暗差が強すぎます。

 先ほども触れましたがスノーシェッドから見える景色も美しいと思います。スノーシェッド・トンネルの暗さ・無機色とのコントラストが外の景色をさらに引き立ててくれます。

 龍神湖まで戻ってきました。下り基調ですが路面の舗装がひび割れて荒れているので速度を落としまくって慎重に降りてきました。トンネル付近など所々で路面が水浸しになっている箇所があったのでスピードは出しすぎない方が賢明でしょう。

小熊山を登ります

 高瀬渓谷から引き続き、黒部アルペンルートを経由して爺ヶ岳スキー場・鹿島槍スキー場がある県道325号線を走ります。紅葉で色付く山の向こう側には冠雪の鹿島槍ヶ岳が見えます。

 ゆるい登り基調のルートですが、自転車の問題と高瀬渓谷からの続きということから結構体力を持っていかれます。

 鹿島槍スキー場の駐車場に到着。ここから小熊山の林道を登れるのか不安になってきます。

  こちらの駐車場も紅葉が楽しめます。

 燃えるように赤々として美しい。

 スキー場駐車場も何台か車が来ていました。この景色がお目当てでしょうか。

 ここから「林道小熊黒沢線」に入ります。

 小熊山の林道もすでに木々が色づいています。

 薄暗い林道ですが、色付いた葉に陽の光が通ってほんのり明るい印象。まぁ、あくまでそう見えるだけなので前後のライトは点灯した方が良いです。

 登りの序盤で景色がひらけて鹿島槍ヶ岳が望めます。さきほどのスキー場駐車場も見えます。

 自分が走ってきたのとは反対側の眺め。写真ではわかりづらいですが簗場駅が見えます。簗場駅(中綱湖)方面から登る方が斜度がきついので、私の場合は押して登るのは必至のルートです。

 林道とはいえ舗装されているので走りやすいと思います。ただ、対向車も来るのでライトは必須。さらにクマと遭遇するリスクもあるのでクマ鈴など常時鳴らしておくのが良いでしょう。あと、落石も多かったのでスピードの出し過ぎは危険です。あまりに目立つ大きな石は路肩に避けながら進みましたが、正直きりがないくらいに石が多かったです。

 小熊山のパラグライダー場に到着しました!!

 大町市街地が若干霞んでいますが雲一つない最高の眺めです。

 市街地が霞んでしまっているのが惜しいですが良い眺めです。木崎湖でよく走るところを高いところから俯瞰するのも面白いものです。

 時間としてはまだ早いですが陽の光が「夕陽」と言って差し支えない色をしています。木々の色も相まって秋の夕暮れの様相。

 稲尾駅周辺。山の向こう側にちらりと見える集落は美麻地区でしょうか。

 山の向こう側に見える街は長野市でしょうか?

 長居しすぎて暗くなってもいけないので木崎湖まで降ります。ほぼダウンヒルですが、路面状況や対向車、動物の飛び出しリスクを踏まえて速度を落としまくって降ります。それにしても落石の多いこと……。以前にミニベロで安曇野市明科の長峰山を登りましたが、あれをやっておいて良かったと思います。大変でしたがミニベロでの山道の登り・降りの練習になったと言えます。

木崎湖でライドの締め

 木崎湖まで降りてきてキャンプ場を散策。青空を反射した木崎湖の湖面と相まって美しい風景です。凛とした青です。

 定番の構図で撮影。春先に撮ったものとはまた違った良さがあります。

 パラグライダー場からの眺めも良かったですが、湖面とそれを囲む山々の景色も素晴らしいものがあります。

 さっきまであの山の上にいたんだなぁ……と思うと感慨深いものがあります。鈴をリンリン鳴らしまくって走っていたので情緒も何もありませんでしたが。

力尽きたので輪行で帰宅

 もう脚が売り切れなので帰りも輪行です。信濃大町駅ではちょうど「リゾートビューふるさと」が停車していたので撮影。過去に乗ったことがありますが楽しい電車旅だったのでまた機会があれば乗りたいです。

 外からアルクマを発見。外も向いて欲しいな。公式の身長を知らないのですが、こちらは中々のサイズです。(このぬいぐるみはおいくらなんだろう?)

 昨年と異なり紅葉のピークではありませんでしたが、美しいグラデーションやパッチワークのような風景を楽しむことができました。獣との遭遇に気をつければ楽しめる時期だと思います。山から降りたら大町市街地なので秋の観光には良い場所と言えるでしょう。