「ビリヤニ」はバスマティライスさえ手に入れば家庭でも美味しく作れます!!  自炊ビリヤニのすすめと作ってみてのあれこれ

 以前にバスマティライスとレトルトのインドカレーを使用してビリヤニを作った記事を上げました。お店で食べるとそこそこ値が張り、作るのも大変なビリヤニですが、やりようによっては家庭でも調理可能です。幸いなことに現在ではバスマティライスもレシピ情報も簡単に手に入ります。一昔前と違ってバスマティライスが入手しやすくなったこともあり、私もよく日本ビリヤニ協会のブログなどで情報を得て自炊したりします。そこで自分で何度か作ってみて気付いたことなどをあれこれ書いていこうと思います。

ビリヤニは「カレー味の炊き込みご飯」 

均一に色と味が回ったものもあります。こちらは横浜駅で食べたビリヤニ。

 今更ながら「ビリヤニ」とは何なのかという話。大雑把に言えば「カレー味の炊き込みご飯」です。地域によって具材や調理方法が異なりますが、カレーソース(グレービーソースとも)とバスマティライスを鍋で一緒に炊き込んだ料理です。ソースとライスを段々に重ねたり、日本の炊き込みご飯同様に全体が均一に混ざったものなどがあります。一緒に炊き込むのでカレーの香りと味わいが一体となった深みのある味わいが楽しめます。

 実際に食べるとわかりますがお米の白い部分もほんのりとスパイスの香りを感じることができ、カレーライスとは全く異なる食べ物です。飲食店の中には中にはビリヤニと言いつつ、フライパンで炒めたカレー炒飯、カレーと別炊きのライスを混ぜただけの代物を出すところがあります。「一緒に炊き込んでいる」ことが肝なのでそれだとビリヤニとは言えません。

屋台のビリヤニ(だったと思う)

 私が初めて食べたビリヤニは池袋駅西口で行われていたネパール・パキスタン系イベントの屋台で売られていたもの。今思うとビリヤニだったのかプラオだったのか怪しいところですが、カレーライスとは違ったあっさりしつつもスパイスの芳醇な香りと味わいに衝撃を覚えた記憶があります。屋台によって見た目も味も違っていましたがどれも美味しかった。

SNS内での「ほんとビリヤニ」のワードで有名な「サラムナマステ」さんのビリヤニ。

 ここからビリヤニが食べられるお店を探したりなんだりと沼にハマっていったのです。日本ビリヤニ協会の情報は本当に大助かりでした。

自宅でもビリヤニは作れる

 今やクックパッドやレシピ本、YouTube動画などで多少のアレンジを加えつつビリヤニの作り方の情報が出回っています。お店の本格的ビリヤニに及ばないまでも、材料さえ揃えれば自宅でも美味しいビリヤニが作れます。また、最初の材料費がかかるにしても外の飲食店でいただく場合よりもコストを抑えることができます。

 最近発売されたビリヤニ太郎氏のビリヤニ本。先に触れた日本ビリヤニ協会のブログで書かれていることなどがまとまったような内容。基本のレシピなどを掲載しつつ、「ビリヤニ」自体の研究書の如く詳しく書かれているので全体的な理解を深めるにはオススメの書籍です。

バスマティライスは必須!!

 自炊でビリヤニを作る時に絶対に押さえて欲しいのが「バスマティライス」を必ず使うことです。日本米を使ったらカレーピラフになってしまいます。YouTubeなどで日本米を使用したレシピを見かけましたが流石に無理があります。それならカレーライスで食べた方が美味しいです。

 一昔前はバスマティライスの入手に難儀したものですが、現在は通販・業務用スーパーでも入手できます。極端に高い食材ではないので必ずバスマティライスを使用するようにしてください。

ビリヤニキットを使うと簡単

 前述の通り、ビリヤニは地域によって使用食材や調理法が異なりますが「カレーソースとバスマティライスを同じ鍋で炊き込む」というのが肝となる料理です。

※こちらは松本市「BABAじぃ」さんのビリヤニ

 お店で見かけるムラになった混ざり方をしたビリヤニはカレーソースにライスを乗せて炊くという調理方法です。炊き上がり後に仕上げとしてざっくりと混ぜるとこのビジュアルになります。他にも具材と調味料、浸水したライスを混ぜ合わせてから炊くという方法もあります。日本の炊き込みご飯をイメージすればわかりやすいでしょう。

※お店によっては別炊きの白いバスマティライスを混ぜ込んでムラのあるビジュアルを作り出すところもあるようです。

 カレーソースについては「カレー味の炊き込みご飯の素」を作るイメージです。ビリヤニがどういうものかわからない、難しそうだということならカルディなどで販売されている「ビリヤニキット」を使うと良いでしょう。こういった調理キットだとバスマティライスもセットになっているので初めてでも手が出しやすいです。

 調理方法も親切に記載されています。ちなみにAmazonなどで「ビリヤニマサラ」などスパイスセットも売っていますが、あちらは塩分や辛さなどで好みが分かれやすく、調理の難易度が上がる印象。

 カルディのビリヤニキットはスパイスの調合など難しいことを考えなくて良いのでとても簡単です。写真のようにソースができたら茹でて水を切ったバスマティライスを乗せて加熱するだけです。

 こういった調理キットを使うだけでもかなりクオリティの高いビリヤニができます。最近話題になっていたセブンイレブンのビリヤニ弁当がありました。引き合いに出して申し訳ないですが、あれよりも各段に美味しいビリヤニが楽しめます(味付けの問題なのかあちらはカレーピラフっぽさが拭えなかった)。セブンのビリヤニを食べて「ビリヤニってこういうものなのかぁ」と思った人ほどこちらを試して欲しい。

自分でカレーソースから作るのがオススメ!!

 調理キットを使用すると簡単にできると紹介しましたが、個人的にはカレーソースから作ることをオススメします。もともと、自分が辛いものが苦手ということもありますが、飲食店のビリヤニ・調理キットだとどうしても辛すぎるのです。一から作るのは大変そうに思いますが、要は「炊き込みご飯の素」ばりに濃いめのカレーを作れば良いのです。今ではレシピ本、クックパッド、YouTubeなどでたくさん情報が出ていますし、高等な調理技術・機材は求められないのでやりようはあります。

自分で作れば辛さが調整できる

 カレーソースも一から作れば辛さの調整が可能です。他にも塩分濃度、油の量、使用する具材も思いのままです。特にお子様のいる家庭だとこの点は大きなメリットだと思います。また、本来のビリヤニは地域柄、宗教上の理由でチキン・マトンがメイン具材ですが、家庭で作るならポークビリヤニだってOKなわけです。日本だと豚肉の入ったカレーは一般的なわけで味付けと合わせて「自分が食べやすいビリヤニ」にできます。

赤缶カレー粉を使うと楽

 大雑把ですが一般的なレシピだと「玉ねぎ、トマト、鶏肉などの具材を炒めてからパウダースパイス(クミン・カルダモン・ターメリック・カイエンペッパー・黒胡椒など)、塩を混ぜてさらに炒める。そこに具材とソースが1:1の水分量になるように水を加えて一煮立ちして完成……」というものです。それでも良いのですがスパイスなどの調達や分量が面倒だと思うのでSBの赤缶カレー粉を使うのが簡単でオススメです。

 具材を炒めたら赤缶カレー粉と塩で味付けするだけです。カレー粉の力もありますが炒めた具材からの旨みもあるので塩分量を加減するだけでまとまった味になります。塩分については先に触れましたが「カレー味の炊き込みご飯の素」を作るイメージなので「通常のカレーより若干しょっぱい」くらいの味付けがベストです。辛さの調節はスパイスの分量で行いますが、スパイス感を損いたくなければヨーグルト・ハチミツを加えるのも手です。この辺は通常のカレーを作る時とそう変わりません。

 もし余裕があれば具材を炒める際にホールスパイス(クミン・カルダモン・シナモン・クローブ)を加えるのもオススメです。最初に油でじっくりと加熱してから肉などの具材を炒めて使用します。これを加えるだけでも香りと味に深みが出ます。(食べる前に取り除いておきましょう)

家庭だとバスマティライス150g〜200gが作りやすい

 ビリヤニは一度に多めの量を炊くと美味しくできます。ただ、家庭で作る場合は鍋の大きさと火力の問題から多くてもバスマティライス150g〜200gが限度のように思います。

 お米は炊くと約2.3倍ほどかさが増えます。前項のように作ったカレーソースにライスを乗せて炊くことを考えるとそこそこ大きめの鍋が必要です。さらに量が多すぎたりすれば家庭用ガスコンロだと加熱ムラも発生します。自分で何回か作ってみた経験則からも安定して美味しく炊けるのがバスマティライス150g〜200gでした。前述のカルディのビリヤニキットはバスマティライス150gがセットになっていましたがあれはよく考えられていた内容量なのかもしれません。

 ちなみにこちらはバスマティライス150gで作った時のもの。具材の量にもよりますが鍋サイズは深型18cmの小さめのもの。一人暮らし用でそんなに大きな鍋の持ち合わせがないのです。ギッチリ詰まっています……。

 仕上げに混ぜる時は一部ボールに移すなど非常に難儀しました。これに懲りてビリヤニ用にイオンで投げ売りになっていた24cmの鍋を買いました。

バスマティライスは塩多め、水分をよく切ること

 バスマティライスを茹でる工程だけでブログ1記事が書けてしまうのですが、ここではざっくり簡単にふれるだけにします。とにかく「塩多めのタップリのお湯で茹でる」「水分をよく切る」ことを意識します。

 ビリヤニの場合は上記のことを意識しつつ、バスマティライスを8割くらいの硬さまで茹で、ザルでよく水分を切ってからカレーソースに乗せて炊きます。また、カレーソースに接する部分はもう少し硬めの茹で加減のライスを薄く乗せておくと米がグズグズにならずちょうど良い炊き上がりになります。

 塩については完全に日本ビリヤニ協会のブログからの受け売りです。作りはじめの頃は「塩少々」でやっていましたが、どことなく決め手に欠ける味でした。ブログ記事の情報で塩を多めにしてみたところカッチリとした味わいに改善できました。パスタを茹でる時よりも多めに、「塩で味付けする」くらいのイメージで入れると良さそうです。

 また、茹でたバスマティライスは「しっかり水分を切る」ことも重要です。水分が残りすぎているとカレーソースと一緒に炊き上げた際にベチャッとした仕上がりになってしまいます。特にバスマティライスは崩れやすい繊細なお米なので下手をすればお粥のようにグズグズになってしまうので要注意です。

水分量が難しい

 茹でたバスマティライスの水分をよく切ることに絡んでですが、何度か作ってみて難しいと感じたのが水分量のコントロールです。出来上がりはパラっとした仕上がりがベストです。パサパサになってもいけませんが、ベチャベチャのグズグズになるのは最悪です。水分が少なすぎる場合はリカバーできますが、ベチャッとなった場合はほぼ詰みです。水分を飛ばすべく加熱時間を長くすると今度はバスマティライスがグズグズに溶けてしまうのです。ひどいとお粥みたいになります。

 何度か作ると水分量はだいたい掴めると思いますが、不安であればカレーソースの水分量も「少なめ」を意識すると良いでしょう。

中火5分、弱火10分、蒸らし10分でじっくり加熱

 作ったカレーソースによく水分を切ったバスマティライスを乗せてさらに加熱します。レシピや分量などで異なりますが、中火で約5分ほど加熱してから弱火で10分、火を止めてからさらに10分ほど蒸らせば完成です。レシピによっては強火で2、3分と書いているものもまりますが焦がすリスクがあるので中火が安定だと思います。

※カレーソースでマリネした生肉から調理する「カッチ式」という調理方法があります。この場合だとお肉にしっかり火を通す必要があるので中火で10〜15分は加熱が必要です。不安があればあらかじめ加熱してカレーソースを作る方法が無難です。

 一般的な炊き込みご飯同様に炊き上がりは完成してから出ないと確認できませんが、ガラス製の鍋蓋だと中の様子が見えて安心だと思います。

 こちらは前述の赤缶カレー粉で作ったカレーソースにバスマティライス200gを使用して炊き込んだもの。ライスの上に乗っかっているのはフライドオニオンとスーパーで見切り品として売られていたミント。フライドオニオンは是非とも使って欲しい材料です。

 ミントは他所様のレシピで見かけたことがあったので今回試しに使ってみました。ミントをカレーソースとライスの上に少し加えましたがわずかな量で結構な存在感です。個人的にはパクチーよりはミントの方が良いです。後味が爽やか。

 ドキドキの混ぜ混ぜタイム。お米の形が崩れないように優しく下から持ち上げるように混ぜます。ベチャッとなっていないかと不安になる瞬間ですが今回は大成功です。ライスの形も崩れたりせずパラっとしたきれいな仕上がり。

 お皿に盛り付けたビリヤニがこちら。写真の端に写り込んでいますがライタも準備しています。ライタはヨーグルトにクミンパウダーを入れ、お好みのサラサラ具合になるように水を加えるだけです。ライタがあるだけでビリヤニの美味しさに大きな差が出るので用意することをオススメします。

 自画自賛になりますが自炊で作った割には非常に美味しくてクオリティ高いビリヤニになりました。とても美味しいっ!!

 先に触れた通りお試しでミントを入れましたが思った以上に良かったです。パクチーをはじめ好みが分かれやすい食材ですが、使うかどうかも含めて自分の好きにできるのが自炊の良いところ。個人的には刻んだネギを合わせても美味しいと思います。他に何か美味しい付け合わせあるかな?

基本を抑えればアレンジも自由自在

 ビリヤニキットを使用するなりカレーソースから作るなり一度作れば大体の容量は把握できます。水分量にだけ気をつけつつ、あとはトライアンドエラーの繰り返しです。基本の作り方さえ把握できれば使用する具材や味付けなどは如何様にできます。安売りのエビを買ってきてエビビリヤニを作っても良いでしょう。

 変わり種として具材にサバ缶を使用した和風出汁ベースのビリヤニ(もはや別料理)なんてものもできます。ちなみにブラックペッパーを多めに振りかけるのがポイント。

一度に多めに作るのがオススメ

 前項で家庭で美味しく安定して作れるのは150g〜200gと書きましたが、一度に大量に作る方が美味しく作るコツだと思います。これは日本の炊き込みご飯も同じですね。少なくとも1名分の分量だと作れないわけではありませんが、作りやすさや味のまあとまり具合は劣ります。手間もそれなりなので一度に多く作った方が効率的でもあります。

 余ったら冷凍してストックしておけば良いのです!!

不安ならプラオ(ピラフ)式に調理するのもオススメ

 「カレーソースを別で作ったり、ライスと段々に重ねたり、水分量を考えるのは大変だし面倒!!」という場合は日本の炊き込みご飯と同じように具材・調味料・浸水したライスを混ぜ合わせてから炊くという方法もあります。こちらはほぼ日本の炊き込みご飯と同じ容量なので失敗する確率はほぼ0。

 具材とスパイスを炒めたら、30分浸水させたバスマティライス、バスマティライスの2倍の分量の水をよく混ぜ合わせて沸騰するまで加熱。沸騰したら弱火で約7分加熱(水分がなくなるまで)してから10分ほど蒸らせば完成です。こちらもガラス蓋だと中の様子が確認できて安全です。

 お店で見るようなムラのあるビジュアルではありませんが、味も均一に回るので作りやすく安定したビリヤニができます。ビリヤニなのかプラオ(ピラフ)なのか議論が分かれるところですが、この方法で作るビリヤニもあるのでビリヤニで良いでしょう。(セブンイレブンのビリヤニ弁当もこれに近い作り方だと思います)

 ちなみにこちらは完全にプラオ(ピラフ)です。カレー粉以外のスパイスとコンソメで味付けするとカレー味ではないスパイスの効いた炊き込みご飯ができます。これはこれでとても美味しいのでカレー味に飽きたら試してみて欲しいメニューです。よくある炊き込みご飯の調理方法なので応用は効きますね。

自分でビリヤニを作ってみると奥深くて面白い

 東京にいた時からビリヤニを出しているお店を食べ歩いたりしましたが、それがとうとう自分でも作るようになってしまいました。私の場合はただただ表層的なものをなぞっているに過ぎませんが、それでも自分で作れるようになるとあれこれ手を加えてみよう楽しさを覚えます。また、自分でも実際に作ってみたことで外のビリヤニを食した際にも色々と気付きが多く、奥深く面白いものだと再認識しています。そうなると以前に行ったお店を再訪してみたくもなったりするわけで、機会があればそういうことをしてみるのも良さそうです。などと見事に沼にハマっていくのです。