松本市は工芸に力を入れているらしく工芸関係の施設やらお店を見かけます。そんな松本で「クラフトフェスまつもと2022」というイベントが開催されるとのことで見に行きました。今年で38回目と長きにわたり行われているイベントとのことですが初めて存在を知りました。どのくらいの規模感なのかよくわからないまま行きましたが想定以上に大規模なイベントで驚きました。
*記事内の作品写真下に分野名・作家名or工房名を記載しております。工房名がある場合はそちらを記載しております。
「クラフトフェスまつもと」というイベント
このイベントは2022年5月28日・5月29日の2日間開催であがたの森公園がメイン会場となります。また、イオンモールでも「クラフトスクエア」というイベントが同時開催されています。冒頭で触れた通りクラフトフェアとしては長きにわたり実施されており工芸イベントの草分け的なイベントだそうです。公式サイトで出展リストを見るとわかりますが出展数が非常に多く県外からの参加も多いです。
車での来訪は厳しく感染症・熱中症対策は必須!!
当日はあがたの森公園前の交差点は信号機ではなく誘導スタッフによって交通整理が行われていました。信号機を使用すると歩行者がいつまで経っても移動できないのが理由でしょう。松本駅前など市街地にはだいぶ前から車ではなく公共交通機関の利用を促す告知看板が出ていました。会場に向かう際もどこの駐車場も満車マークが付いていました。もし、29日(日)に行く予定がある方は車はやめておいた方が良いでしょう。
会場に到着する前からお察しでしたが非常に混雑していました。感染症対策や万が一のことも考慮してなのか入口には「連絡先の記入」か「TOLife」というアプリを入れるようになっていました。私は前日にアプリをインストールして向かいました。周りの人と距離を空けるようにアナウンスがありましたが正直な話として不可能なくらいの混雑です。マスクは当然必須で距離は取れずとも接触はしないように動くしかありませんでした。
そのほかにも私が行った日と翌日は夏日の予報でしたので熱中症対策も必須になります。あがたの森公園は木々が多い公園ですがそれでも日差しが直撃するところがあるので帽子やUVパーカーなどは用意した方が良いです。ちなみに「日傘」を持っている人がいましたが周囲に対して危険なので使用はご法度だと言えます。
イベントの様子などあれこれ
イベント会場の様子は非常に混雑しているということだけ書いておきます。画像を入れたいのですが人が写りまくってしまうので掲載できません。とにかくどこも混雑し食事系ブースにも行列ができていたという状況です。
行く前は工芸関係のイベントに行って面白いものか自分でも疑問に思っていました。しかし、実際に行ってみると調度品から実用的な道具まで幅広いものがあり非常に楽しめました。各出展ブースを一通り回りましたが当然紹介し切れないので個人的に目を引いたものをメインに触れます。
工芸品と聞くと木工・金属製品・陶器が浮かびますが布織物関係のブースも多かったです。その中で「天蚕」という緑色の繭玉を見かけました。蚕の繭玉は白をイメージしますがこちらの天蚕は緑色の繭玉を作ります。今だとわかりませんが昔は小学校で天蚕をクラスで飼育していました。最後はその繭玉でコサージュを作成しました。思わず懐かしいものと再会しました。
色とりどりの麻布や涼しげなストールなど多種多様。手作りでないと出せない色や表現を多くみることができました。
手織りの布片や茜染めの布を置いているところを見つけました。茜染については最近でも松本市美術館の正倉院宝物の展示の中で見ました。
茜染めのバッグがサンプルとしておいてありましたが発色が美しい赤色でした。オーダーで色々なカラーで作れるようです。
布織物ではありませんが対照的に「藍染」の作品を扱っているブース。1年以上経過した作品も置かれていましたが使い込まれて月日を経た藍色も味があって魅力的でした。
ブースに立っていた作家さんの両手は薄く藍色に染まっていました。チャプチャプと染色作業をする場面の動画も流れていましたが手があんなに染まるのかとまじまじと見てしまいました。
こちらも布製品でてぬぐいではなく「きぬぐい」と書いてありました。可愛らしい文様、イラストで染められており目を引きました。
そのほか個人的に面白いと思ったのが「カラトリー」関係です。多くのブースで取り扱いのあるカテゴリーでしたが同じスプーンやフォークでも同じものはありませんでした。どれも各出展者の作家性が如実に現れており、その違いが一番わかりやすく現れているように感じられる内容でした。
素材が違えば受ける印象は当然変わります。しかし、同じ素材でも形になるまでの工程が違うとここまで変わるものなのかと新鮮な気持ちで見ていました。
私が見つけたのは2ブースですが革製品の中には「鹿の皮」を使用しているところもありました。どちらも共通しているのは害獣駆除された鹿の皮を使用している点です。鹿肉についてはジビエ料理の定番になっていますが皮についてもこういうところで使用されているようです。
表現するモチーフは動物だったり花だったり様々。
鹿の皮は柔らかいので「花びら」など柔らかいモチーフの表現にとても向いている皮とのことでした。
分散する形で飲食物を扱うブースも出ていましたがどこも列になって並んでいる状況でした。中には普段あまり見かけないようなものを扱うブースがあったので見ていて面白かったです。ちらっと見かけた「煎茶ミントクッキー」はどんな味なのでしょう?
県外からの出展ですが燻製商品を扱っているブースでオイル調味料の燻製商品を見かけました。燻製と聞くとナッツや肉、ドライフルーツ、チーズあたりが思い浮かびますがオイルもあるんですね。
どこのブースも基本は現金決済ですが中にはクレジットカードや交通系ICカードに対応しているところもありました。同人誌即売会でも見たことのある「Square」を使用していました。私もですが基本的に現金を持ち歩かない人間には助かります。特に工芸作品は1作品あたりの単価が高いので販売機会を逃さないようにする上で有用だと思います。また、今回は少数と思われますが海外からの旅行客も来るようなイベントでは準備していた方が良いのかもしれません。
ガラス系の出展作品に吸い寄せられる
これは完全な私の趣味嗜好ですがガラスや宝石といった透明感のあるキラキラした光り物は自然と吸い寄せられてしまいます。
それはアクセサリーも例外ではなく見ているだけでも癒されるものがあります。(金銀など金属系はあまりときめかない)
そんなこともあり美しいガラス工芸品を扱うブースが多く非常に楽しめました。
カワイイ作品も多かったです
ほかにも木材や革を使用したカワイイ工芸作品もたくさん見受けられました。特にこちらのクマさんや下の雷鳥さんはとくに可愛かったです。
色の違う木材による断面で魅せるあたりは先日観に行った松本市美術館の正倉院宝物の展示物に通ずるものがありました。
工芸関係のコミケのようなイベントでした
初めてクラフトフェスまつもとに行きましたが私が受けた印象は「工芸作品版コミケ」です。アマチュア多めの同人誌即売会の色が強いコミケと実際にそれでご飯を食べている方々のフェスを一緒にするのは失礼かもしれません。しかしながら、工芸品と言っても素材・製作方法・製品どれをとっても多種多様で同じカテゴリーでも作家性が色濃く出ているあたりは相通ずるものを感じました。
出展者側としてフェスがどういった位置づけなのか不明ですが見て回ったり購入する来場者側としてはとても楽しいイベントでした。感染症対策の面については当日の混雑具合からかなり無理があると思ったのが正直な感想です。それでも来年以降も中止にならずに続いていくと世の中が楽しくなるなと思えるイベントでした。