久々にKONA 「ROVE ST」でサイクリングして感じたことなど

 前の記事で触れましたが1年以上ぶりにKONA「ROVE ST」に乗りました。最近はJAMIS「RENEGADE S2」、ミニベロの「グレイシア」に乗っていたので色々と違いを実感することができました。特に同じグラベルロードというカテゴリで括られがちなRENEGADE S2とは「違うカテゴリの乗り物」と思うくらいに違いを感じます。今回の記事では久々に乗ったROVE STについて比較も交えて気づいた点について触れていこうと思います。

700Cと650Bのホイールサイズの違いは大きい

 久々に乗ったROVE STですがホイール径による走りの違いを真っ先に感じました。グラベルロードでよく見られるホイール径は700C650B(27.5)の2種類です。コンポ・フレーム材質よりも乗り味に一番大きな影響を及ぼすと思っています。

 どちらもタイヤ込みでの直径はほぼ同じですがタイヤのボリュームが違います。一般的な評価として「650Bの方がエアボリュームがありクッション性が高いので荒れた道に向いている」とされています。デメリットとしては「700Cよりは重量増に繋がり軽快さが損なわれる」と言われています。実際に乗り比べると上記の評は大体当たっています。特に「舗装路」や「登り坂」ではこの差を強く感じます。

 650BホイールのROVE STは700CのRENEGADE S2と比べると漕ぎ出しや加速性、軽快さはどうしても劣ります。乗り心地とのトレードオフなのでどちらを優先するかという話ですが、実際に乗り比べてみると結構違うものだと改めて実感した次第です。ただ、私の場合はロードバイクが出せる速度域が怖いことに加え、それを御せるほどの身体能力を持ち合わせていないのでROVE STでも必要十分です。むしろそれでも過剰です・・・。

 ちなみに肝心のグラベルなどの「未舗装路」だと違いはあるのですが正直なところ「誤差の範囲」だと思います。上の動画はRENEGADE S2(700C)で未舗装路を走ったものです。速度は出ていませんが問題なく走れます。さらに荒れた道でもタイヤのチョイスと空気圧調整でなんとかなります。それでも走破できないような道はマウンテンバイクの領域だと思います。

 特にタイヤの違いは走りに大きく影響するのでオンロードとオフロードの割合などでこだわってみると良いかもしれません。

同じグラベルロードカテゴリでもジオメトリ・フレーム材質の違いがある

 ロードバイクなどスポーツ自転車では真っ先に出てくる「フレームサイズ」や「ジオメトリ」というワードですがこれについても差があると感じます。

 自分が乗っているJAMIS「RENEGADE S2(51サイズ)」とKONA「ROVE ST(50サイズ)」の2モデルで比べても乗車姿勢が変わります。サドル高の調整やステムパーツなどの違いも影響しますがROVE STはアップライトな姿勢です。RENEGADEはロードバイクに近い前傾姿勢になります。ロードバイクからの延長線上で走行性能を求める人、坂や峠道を越えることが多いという人はRENEGADEのようなモデルが良いと思います。逆に速度を求めずゆったりした姿勢で走りたい場合はROVE STのようなモデルが向いていると思います。

 そのほかROVE STとRENEGADE S2はフレームの材質が異なります。ROVE STは「クロモリ」、RENEGADE S2は「レイノルズ631(マンガンモリブデン)」です。私は味の違いがわからない「バカ舌」のごとくフレームの細かい違いは正直わかりません。ただ、両者比較するとRENEGADE S2の方がペダルを踏んだ際に「硬さ」・「機敏さ」・「反応の良さ」を感じます。踏み込んだ力がそのまま早くストレートに伝わる感覚です。

 極端な例えですがダホンのMu(ミュー)やVigor(ヴィガー)など「ガチガチの硬いアルミフレームのミニベロロード」に試乗したときと似た感覚。路面から伝わる振動もクロモリでよく言われる「しなる」とは違って「ビーーーン!!ビーーン!!」と響く感じです。このあたりのうまい表現は難しいですね・・・。

 You Tubeで「RENEGADE S2(レイノルズ631)」と「RENEGADE S3(レイノルズ520クロモリ)」の乗り味の違いについて触れた動画がサイクルショップカンザキ吹田店さんから出ているのでそちらが参考になります。他にも比較対象を挙げていくとカーボンフレームやグラベルレース向けモデルなども存在するのでキリがありません。「グラベルロード」もどんどん細分化が進んでいる印象。

*エンデュランス寄りのロードバイクやシクロクロスバイクもあるのに「細分化の必要があるのか?」と個人的には疑問はありますが話しが逸れるので割愛。

 「フレーム材質」によると思われる違いは感じますが正直なところタイヤ・ホイール・ジオメトリに比べたら「誤差」のようなものだと思います。ミニベロだとはっきりと体感できるレベルですがロードバイクくらいのサイズだと本当に誤差の範囲だと思います。RENEGADE S2を購入したのも別に「レイノルズ631」だからではなく他の仕様・カラー・デザインによるものです。それよりも乗車姿勢や自分の使い方とマッチするかの方が大事なのではないでしょうか。

油圧式ディスクブレーキと機械式ディスクブレーキには超えられない壁がある

 ROVE STに乗って油圧式ディスクブレーキと機械式ディスクブレーキには「制動力に大きな差がある」と強く実感しました。パーツやメーカーの違い、レバーの引きしろのことを考慮しても「超えられない壁」があります。油圧式を使用したあとだと同じディスクブレーキなのかという驚きもあります。

 ROVE STはTRP対向ピストンの機械式ディスクブレーキです。しかし、ブレーキの効きはロードのリムブレーキと殆ど変わりません。これは納車したときにも感じたことですが一般的に言われるディスクブレーキの評価を期待していると肩透かしをくらうレベルです。さらに言ってしまうと同じ機械式ディスクブレーキのグレイシアと比べても制動力に不安を感じさせます。これはグレイシアの方がフラットバーハンドルでレバーをガッツリと握り込みやすいのも影響していると思います。そう考えると「ドロップハンドル+機械式ディスクブレーキ 」の相性はあまりよろしくないと言えます。

 そういえばKONAの2022年モデルが本国サイトで発表されていますがROVE STにあたる「ROVE DL」は機械式から「TRP機械式油圧ディスクブレーキ」にアップデートされるようです。キャリパー内部は油圧式というものだそうで機械式よりは制動力が向上するようです。油圧式とどれほどの違いがあるのかわかりませんがこういったものに交換することも考えた方が良いかもしれません。

どちらも乗ってみたら楽しいよ!!

 久々にROVE STに乗ってみて感じたことを否定的なことも含めて書きましたがどちらも違った面白さがあると思いました。どちらも「アドベンチャーバイク」、「オールロード」、「グラベルロード」といったカテゴリで括られていますが場面場面で向き不向きが分かれると思った次第。比較の上での話ですがROVE STはロードのような速さを求めず色々な道や場所をのんびり回ってみたいという人には楽しい自転車だと思います。今後は移動距離や遊び方によって使い分けていくことになると思います。

*昨今のコロナ禍も関係しているのかROVE STに相当する2022年モデル「ROVE DL」は予約段階で完売の可能性もあるようです。個人的には2022年モデルから油圧式ディスクブレーキになったのがうらやましいなぁと思っています。うん、本当にうらやましい。興味のある人は早く予約した方が良いかも・・・とサイクルショップの動画やブログ書き込みを見て思った次第。

 あと、非常に紛らわしいのですが日本では「ROVE ST」の名前で別製品が販売されるようです。本国サイトでは「ROVE」という名前。似ているけどシマノ9速のフロントダブル、機械式ディスクで別製品ですね。まぁ、予算と好み、入手可能かどうかで選べば良いのでは。