パナレーサーから20インチサイズの「GRAVELKING X1」が発売されたのでVergeP10に装着して何度か走ってみました。先日投稿した記事の通り、シュワルベ「スマートサム」を使っていたので違いが実感できるのか疑問ではあったのですが、興味深い存在であることは間違い無かったので物は試しで購入した次第。使用期間が短いので耐久性については触れませんがミニベロ用としては使い勝手が良く、オールラウンダーに使っていけるタイヤだと思います。
「GRAVELKING X1(20×2.1)」について

「グラベルキング」シリーズはその名の通り、砂利道などのライトな未舗装路向けにパナレーサーが販売しているタイヤです。舗装路と未舗装路の割合で何種類か製品が出ています。今回のX1は「舗装路4:未舗装路6」の割合だそうです。さらにこのシリーズはそれぞれノーマル、耐パンク性、軽量性と3種類存在するようですが今回の20インチは1種類のみ。おそらくはノーマル準拠と思われます。また、20インチサイズながら「チューブレス対応」となっています。20インチでチューブレス対応ホイールがどれほどあるのか謎ですが、この辺りの手抜きやダウングレードが無いところに好感が持てます。

タイヤのパターンはグラベルタイヤらしく特徴的なブロックパターンが付いています。タイヤのセンターラインにブロックが密集しているのはシュワルベのリトルジョーやスマートサムと似ています。これで舗装路における転がりを担保しているのでしょう。

とは言え、ブロックの大きさ(高さ)は直前まで使用していたスマートサムと比較するとおとなしめです。舗装路での転がりも考慮するとこのくらいに抑えないとバランスが取れないのでしょう。
タイヤ表面のゴムの質感はサラッとした硬めの引っ掛かりを感じさせないタイプです。シュワルベの「ビリーボンカーズ」のようにグニグニと吸い付く感じはありません。ただ、後述しますが空気圧を下げると吸い付くようなグリップ感になります。

タイヤ幅は「20×2.1(54-406)」とミニベロタイヤとしては太めのタイヤです。タイヤのサイドカラー違いで黒とアンバーの2種類があります。今回はアンバーを選択。グラベルキングX1の商品ページ掲載の断面図を見るに、誤差レベルでしょうがアンバーの方がサイドスキンが柔らかそうです。また、タイヤの裏側を見るとタイヤ接地面とサイドで色と質感が異なります。
あと、チューブレス対応なためかビードは硬めです。かつてグラベルロードにグラベルキングをはめた時に比べれば楽でしたが、硬いことには違いないので一般タイヤよりビード上げに苦戦するかもしれません。この辺りはホイールとの相性もあるので各々で感想が変わるかもしれません。

サイドのタンカラーとブロックの大きさでわかりにくいですが、スマートサム(20×2.35)と並べるとしっかり「20×2.1」を思わせる太さとボリューム感があります。画像の左がX1、右側がスマートサムです。無理やり横から実測した感じでは3mmほどタイヤボリュームに差があります。

タイヤボリュームの話ついでにタイヤの装着可否の話もしておきます。太いタイヤを履く場合はフレームクリアランスやホイールのリム幅がタイヤに適合するかという問題が出てきます。ディスクブレーキ採用モデルは最初からこのあたりは余裕を持った設計になっていますが、リムブレーキモデルはブレーキキャリパーの関係でVブレーキ採用車でギリギリ装着可能と思われます。タイヤの性格からも基本はディスクブレーキを想定していると思います。また、ホイールのリム内幅が2.0の太さを許容しているかも確認しておいた方が良いでしょう。最低でも1.9mmは必要でしょうか。
あと、意外に見落としがちなのがリアディレイラーとチェーンとのクリアランス。一番軽いギアに変速したらチェーン、リアディレイラー(プーリー部)がタイヤと接触するなんてケースもあります。これまでグレイシア、VergeP10に太いタイヤを履かせたり、他モデルを見てきての感覚として、X1の「20×2.1」というタイヤ幅はかなり絶妙かつ現実的な設定に思えます。

グラベルキング X1の対応空気圧は「MAX 350kpa(3.5bar 50psi)」となっています。最大空気圧はスマートサムと同様の低めの空気圧帯です。ただ、「最低空気圧」が公式サイトを見ても記載がありません。チューブレスか否かでも変わるはずですが、どこまで下げて大丈夫な設計なのでしょう?
最後にタイヤ重量は公式だと490gです。実測値は個体差があるのか515g前後でした。それでも未舗装路対応のタイヤとしては十分軽いと思います。
舗装路も未舗装路もオールマイティに走れる

VergeP10に装着して舗装路と未舗装路を何度か走ってみました。舗装路では見た目に反して転がり抵抗を感じない軽やかな走行感です。ブロックパターンによる「ザァァーーー」っという走行ノイズはあるのですが体感レベルで転がり抵抗というのは感じられません。何も知らずに乗れば舗装路用タイヤで走っていると思うことでしょう。(乗り手がただ鈍いだけかもしれませんが)

石畳など段差がある箇所も走りましたが低めの空気圧設定とタイヤボリュームから路面からの振動もだいぶマイルドに抑えられています。少なくとも20×1.3〜1.8のタイヤよりは耐衝撃・走行安定性が向上しています。

未舗装路は砂利道をメインに走りましたが特に気になる部分もなく舗装路と同じ感覚で走れました。舗装路と同じ2.8〜3Barの空気圧で走りましたが砂利道程度なら特に問題なく走り切れるでしょう。表現が難しいのですが「舗装路から気にせず未舗装路に突っ込める」と言った具合に安心感と安定感があります。もちろん、MTBタイヤと比べたら未舗装区間の走破性は劣るのですが、ビクビクしながら走らずに済むのは大きな差だと思います。
以上のように舗装路と未舗装路の両方を走りましたが、どちらも走っていて気になる部分はなく無難に走ることができました。パナレーサーのグラベルキングという基準内では「舗装路4:未舗装路6」となっていますが、個人的には逆で「舗装路6:未舗装路4」という感想。どうしても直前まで使用していたMTB用タイヤであるシュワルベ「スマートサム」が頭の中に残っているのもそう評価する要因ですが、そう評価するくらいに舗装路走行で足を引っ張ることはないということです。他メーカーのタイヤも混ぜるとタイヤ表面のブロックパターンが大人しめなこともあり、私以外のユーザーの評価もパナレーサーの基準からは変わる気がしますで。
本格的に運用するなら空気圧管理できる装備は必須
他タイヤにも同じことが言えますが空気圧設定で転がり抵抗がはっきり変わってきます。上記の評価は2.8〜3Barの空気圧設定のもの。2.0Barあたりまで下げると舗装路では使い物にならないくらいにグリップ力が増します。ビリーボンカーズ以上に路面にへばり付く感じです。砂利道というには大きめの小石が転がっているような場面では空気圧を下げると走破性に違いが出るでしょう。
もし、グラベルロードと同じように本格的な運用をするなら出先で使える「空気圧計」と「携帯ポンプ」は必須になると思います。出先での利便性・実用性を考えと現在なら「CYCPLUS」などの電動携帯ポンプ製品がオススメです。こういう装備があると「舗装路から未舗装路に入るタイミングで空気を抜いてグリップ力を上げた状態でグラベル走行し、帰る時に再び空気を追加注入して舗装路を走る」という運用ができます。
ミニベロ界隈に現れた貴重な「グラベルタイヤ」という選択肢

グラベルキング X1は未舗装路における走行安定性と振動吸収性を持ちながら、絶妙なバランスで舗装路での転がりの軽快さも担保しています。グラベル用タイヤらしく舗装路と未舗装路のどちらにも特化していない中途半端さがありますが、それが良い意味で使い勝手を良くしてくれています。また、グラベルを走らないミニベロユーザーでも走行安定性・振動吸収性の向上という面で導入する価値はあると思います。数あるミニベロ用タイヤを探してもグラベルキング X1 のようなタイヤは少ないのでまた一つ面白い選択肢が増えたと言って良いでしょう。