折り畳み自転車を試乗してきた話 ダホン「K1」・「K9X」・KHS「F20-R」、BROMPTON

 先日、ダホンの「Deftar TX」に試乗してきた話を投稿しました。それ以外の自転車にも試乗していたので自分が乗ってきたモデルについての感想なども本記事に投稿します。全て折り畳み自転車で過去に試乗経験があるモデルも混じっていますが、同じタイミングで乗り比べたことで各モデルの特徴がより体感できたと思います。

ダホン K9X

  K9Xはすでに所有・使用しているモデルですが、シュワルベ「Smart Sam(スマートサム)」を履いたモデルが置いてあったので試乗させていただきました。

 スマートサムはマウンテンバイク用タイヤとして従来から存在しているタイヤです。K9Xに装着している「20×1.85」のものは2025年の末ごろに取り扱い開始したばかりだそうです。SHIFTAサイトに記載の仕様は引用すると以下の通り。

最適化されたトレッドパターンによりハンドリング特性が向上し、快適にご使用いただけます。K9Xのカスタム用としてお試しください。
Size:16×1.85 ETRTO 47-305
Color:Black
Version:K-Guard
Type:Wired
Weight:335g
Pressure Max. Bar:4.5Bar(Max.65.0psi)

 なお、記事執筆時点ではオンライン在庫なしの状態になっています。

 このスマートサムは20×1.85というタイヤ幅ですがブロックが付いていることもありビリーボンカーズ(20×2.0)と並んでも同じ太さに見えます。

 ちなみにミニベロの20インチサイズでもすでに「20×2.35」の仕様が存在し、私のVergeP10もこのタイヤを使用しています。20インチサイズも後で調べたところ今回と同じ「20×1.85」のタイヤ幅が出ていました。しかも、なぜか値段が安い。

 P10に履かせている「20×2.35」を見るにほとんどの方は1.85で十分だと思います。重量も約430gと軽くできますし。あと、リトルジョー20×1.4あたりも検討対象に入るでしょうか。

 スマートサムの対応空気圧は共通して「3.5ber(50psi)」です。ビリーボンカーズなどと比較しても低めの空気圧帯です。また、タイヤの質感もビッグアップルよりもプニプニした風船のような質感なので柔らかい乗り味になります。その分、対パンク性能は若干心配になりますが、ブロックパターンで補うといったところでしょうか。

 スマートサムを履いたK9Xの乗り味は思った以上に快適でした。16インチの小径車と思えないくらいには走行安定性が向上しています。段差の乗り上げ時も衝撃がマイルドになっているので安心して街中・未舗装箇所も走れます。小径車のネガティブな乗り味の部分が緩和・改善された感じです。下手な20インチよりも乗りやすいと思います。

 また、ブロックパターンの見た目に反して走行時の抵抗はそこまで感じられません。自分がVergeP10で使用しているので既に把握していることですが、柔らかくも乾いたゴムの質感なので舗装路でも抵抗が少なく割と速度が出せます。比較するとビリーボンカーズは「ギュムギュム」と路面にへばり付くような抵抗感があるのですが、スマートサムは乾いた固めのゴムの質感なので路面抵抗が少ないのです。どちらも使用した経験から言わせてもらうと個人的にはスマートサムがオススメできます。16インチの小径車でMTBのように積極的にグラベルを走ることは無いでしょうから。あと、ビリーボンカーズはタイヤ重量が軽いこともあるのかゴム厚が薄めでパンクに弱い印象。実際、カットパンクを経験したことがありますし。

 K9Xの16インチサイズ(305)はタイヤの選択肢が少ないのが欠点でしたが、実用的かつ有用な選択肢がまた一つ増えたのでK9Xユーザーにはありがたいことだと思いました。

ダホン K1

 「K1」はダホンのKシリーズのうちの一つ。K3と同じく14インチホイールサイズですが、変速無しのシングルギアモデルです。シンプルに割り切った仕様なので車体重量も8.0kgと軽量です。

 乗った感想としては走行安定性の面で個人的には選べないモデルというのが率直なところ。K3試乗時と同じく14インチホイールサイズの小径ゆえのハンドリングのクイックさと安定性の乏しさが自分の身体能力では扱いきれないです。私の場合はわずかな道路の段差でも転ける自信があります。実際に試乗しいて思わず笑い(苦笑)が出ました。

 あと、K1に乗っている絵面が「サーカスのクマさん」そのもので自分でもキツイものがあります。私の場合は輪行した先がシングルギアが厳しいところばかりなので将来的に選択肢として入ることはないでしょう。

 あと、Kシリーズ共通の話でハンドルグリップが長時間の使用には耐えないスポンジグリップなので「エルゴングリップ」など別製品に交換した方が良いでしょう。固定式のグリップでしたがスポンジ部分だけグルグル回転します。

 K1は割り切った仕様の小径車ゆえに合う合わないがはっきり別れるモデルだと思いいます。最初から使い道が決まっている人でないと難しいモデルと言えます。

KHS F-20R

 KHS「F-20R」はブルホーンハンドルが特徴的なロングライドも可能な折り畳み自転車です。メーカーの意向で通販不可のモデルです。白馬村や木崎湖周辺で何度か県外の方と思われる方が乗っているのを見たことがあります。

 特徴的なブルホーンハンドルに目を奪われますが、それ以外のシマノ9速SORAのフロントダブルのギア構成、リムブレーキ、フレームのジオメトリなどロードバイクに準じた仕様です。ドロップハンドルではないので「準ミニベロロード」といった感じのモデル。

 本モデルの特徴はやはりバーエンドコントローラーを装備したいわゆる「KHS方式」のブルホーンハンドルでしょうか。STIを使用しないのでドロップハンドルよりコストダウンして仕上げることができる仕様です。

 さらにダホンなどの折り畳み方式と異なり、ハンドルポストを引っこ抜く方式なので、この部分においても費用を抑えつつ軽量にできます。ただし、引っこ抜いたハンドルポストをマウントするアダプター、さらには畳んだ時に必要なマグネットパーツが別売りという謎仕様ではあります。

 試乗した感想としてはミニベロ版ロードバイクというそのままな感想。それ以外の表現が無い。クロモリフレームとは思えない軽い走りです。100km以上のロングライドもこなせるというのも納得です。この走りで折り畳めてしまうというのがすごいところだと思います。輪行が面倒くさくなってきたロードバイクユーザーにもオススメできるモデルです。

 ロードバイクと同じ細めのタイヤを履いていますが段差での衝撃もそこまでではないです。クロモリフレームであることに加え、シートポストとシートステーの間にある「ソフトテール」というクッションが機能しているのでしょう。似たような構成ながら後述のブロンプトンG-Lineとは受ける印象が異なったのは興味深いところ。後述しますが上位モデルのF-20RCはカーボンフォーク採用なのでこのあたりはもっと良くなっていることでしょう。

 あと、直接の走りとは関係ないですが、ドロハンと異なりハンドルバー直握りなので長い時間だと手が痛くなると思います。バーテープは厚めのクッション性の高いものに交換しても良さそう。ブレーキレバーについても少し外側に向けて「ハの字」にした方が握りやすいと思います。

 このモデルは畳んだ際にシートポストではなくスタンドパーツで接地する構造です。このパーツはキックスタンド台座に付いているのですが、センタースタンドで代用可能ならその方が使いやすくなりそうです。(K9Xでたまにやる)

 お店の方が「一度乗ってもらえばその魅力が伝わる自転車」と言っていました。実際に試乗してみてその言葉がよく実感できる自転車でした。そういえば同じことを大阪の某サイクルショップの方がYouTubeで言っていたのを思い出しました。生産体制や販路も関係しているのでしょうがプロモーションの面で損してしまっている印象。もったいないと思います。

 ついでに触れておくと今回試乗したF-20Rの上位モデルとして「F-20RC」というモデルが存在しますが、実際に購入するならそちらがオススメです。車体価格がF-20Rが税込187,000円、RCが税込220,000円です。価格差は33,000円ですがRCはコンポがシマノ10速ティアグラ、カーボンフォーク、ホイールも良いものが採用されているなど価格差と釣り合っていないです。額面では22万円と高額ですが内容を見て比較してしまうとRCを買った方がお得と言えます。

 出ることは無いと思いますがF-20RCのディスクブレーキ版が出たら買ってしまうでしょう。そう思うくらいに良いモデルでした。

BROMPTON

 実は初めてブロンプトンに乗りました。今回乗ったモデルがどういうものなのかもよくわかっていない状態。実際に乗ってみて根強いファンがいることがよくわかる「気持ちの良い乗り味」でした。

 仕様としては「16インチホイールサイズのクロモリフレームの折り畳み自転車」なのですが、カタログスペックの数字では伝わらない乗り心地の良さがあります。細めのタイヤを履いた16インチの小径とは思えないラグジュアリーな乗り心地なのは何が要因なのか? クロモリフレーム?

 個人的に気になったのはキックスタンド類が無いこと。オプションで存在するらしいですが基本は後ろを畳んで駐輪するようです。ネットや外で見かけたことがあります。

値段はなかなかのものですし重さもあるのですが数字では決して測れない魅力がある。そういう自転車だということがわかりました。

BROMPTON 「G Line」

 上記と同じくブロンプトンが出したG Line」も試乗しました。「グラベル版BROMPTON」という表現がそのまましっくりくるモデル。

 ホイールサイズが20インチにインチアップし、タイヤもシュワルベ「G-One ALLROIND」というグラベルタイヤを履いた仕様です。

 上記の従来モデルよりホイールサイズ含めて全体的に少しサイズアップしています。並べるとホイールサイズの違いがよくわかります。

 ハンドルバーはマウンテンバイクのように長いものが使用されています。

 ブレーキも油圧式ディスクブレーキという徹底ぶりです。フロントフォークはスルーアクスルでした。

 舗装路での試乗でしたが走行安定性、段差でのクッション性が16インチモデルより向上していることがよくわかります。とは言え、それはブロンプトンの従来モデルと比較してという話です。乗り心地としては太いタイヤを履いた20インチミニベロそのものです。

 本モデルは「グラベルも走れるくらいの仕様で従来のブロンプトンとほぼ同サイズに折り畳める」というところが売りのモデルだと思います。お店の方も未舗装エリアまで車でトランポする層が買っていくと話していました。ブロンプトンの四角い形状に畳めるという機能性は車の後部スペースに積むにはうってつけです。車体重量が約14kgあるので少なくとも電車での輪行には不向き。あと、車体価格もオプション有無で変わりますが56万円ほどするのでおいそれと手が出せるものではありません。都市部や舗装路メインでサイクリングする層には不要です。従来モデルで十分。

 あと、乗っていて気になったのはシートポストとシートステイの間で若干の「ガタ」のようなものを感じたこと。畳む際にはここが離れるわけですが、走っているとカタカタ感のようなものが。これは試乗車ゆえなのか仕様なのか? 

 乗り味としても良いものだと思います。履いているタイヤの恩恵もあるので段差や荒れた舗装でも強みを発揮してくれると思います。しかしながら、その前に乗った従来型ブロンプトンに乗った時ほどの感動は無かったというのが正直な感想。これは自分がすでに20インチのミニベロ・折り畳み自転車に乗っていることも影響していると思います。ただ、それを抜きにしても価格のこともあるのでこういうモデルが欲しくなったら別モデル・別車種を選ぶと思います。言い方が悪いですが「ブランド料」が多分に含まれている気がするのです。はい。