透き通るようなサファイアブルーが美しい「阿寺渓谷」 長野県大桑村(木曽エリア)

今回はJRの青春18切符を利用して長野県木曽エリアの大桑村「阿寺渓谷」に行ってきました。阿寺渓谷は木曽エリアの名所の一つでです。川の色がとても青く美しいことから「阿寺ブルー」とも呼ばれています。阿寺渓谷の川沿いは「サファイアロード」という名前が付いた林道で久々に輪行してサイクリングしながら回ることにしました。

事前に交通情報は確認しておきましょう

 阿寺渓谷の最寄駅「野尻駅」から輪行解除し出発。ちなみに駅から阿寺渓谷入り口までは徒歩約20分、タクシー約7分の距離。記事の最後で触れますが平日は駅からのバスがないようなので阿寺渓谷入り口まで行くのが少し大変です。

 駅前と途中に阿寺渓谷までの地図や標識が立っているので迷うことはないでしょう。

 この遠くからでも見える阿寺橋を渡ると阿寺渓谷に入り口です。なお、阿寺渓谷は夏のハイシーズン(7月〜8月末)はマイカー規制が入ります。秋も所々で交通規制が入るようです。詳しくは公式サイトをチェックしておくのがおすすめ。今回は規制終了後なので自家用車の往来が多かったです。

サファイアロードをサイクリング

 阿寺渓谷沿いの道は「サファイアロード」という名称が付いた林道のようなものです。入り口からキャンプ場までは約6.3kmの道のりです。

 舗装されていますが全体的な道幅は狭く、舗装も所々で荒れている箇所があります。また、「渓谷」と名称が付いているだけあり、キャンプ場までのルートはそれなりの斜度があります。序盤などキツめの坂が所々にあるで自転車の場合は軽いギア比を備えているか、電動自転車でないと苦労すると思います。後述しますが山道を走り慣れていない人は自家用車はやめた方が良いでしょう。すれ違いで難儀している自家用車を何台も見かけました。

透き通るように美しい「阿寺ブルー」

 今回は阿寺渓谷の風景を楽しみながらサファイアロードを登ります。

 キャンプ場までのだるい登りも風景を眺めつつ、寄り道をしながら進めば楽しいものです。

 すでに入り口付近の阿寺橋の川の色からして美しいサファイアブルー。

 車や自転車など立ち寄りやすいかどうかの差はあれど、ルート上の川の色が全てサファイアブルーです。

 序盤ですぐに旧森林鉄道跡に遭遇。

 かつてミニSLで木材運搬していた時の遺構とのこと。1966年にモータリゼーションの波を受けて廃止されてそうです。

 橋の上はレールの面影はなく、立ち入り禁止となっています。橋を渡った先にはレールなど残っているのでしょうか?

 しばらく進んだ先にある「狸ケ渕」。全体を通してこちらと後述する遊歩道付近が川にアクセスしやくす眺めも美しいスポットでした。

 道路からこんなにも美しい眺めを見ることができます。

 この箇所はかなり川が深いのですが透明度の高さから川底がよく見えます。

 浅瀬からの眺め。川遊びしている人たちやコスプレ撮影している方がいました。

 insta360 X4の本体も防水だったことを思い出し水中撮影を試みました。撮影はできますが本体の熱(8K設定)と水の冷たさによる温度差でレンズが曇ってまともに撮れませんでした……。水と直接触れなければなんとかなるはずなので純正防水ケースをつけた方が良さそうです。

 こちらは「犬帰りの淵」という場所。あまりの断崖絶壁にワンちゃんが怖がって引き返したことからついた名前だそうです。時間と陽の向きが合えば水面に自分の影がきれに映り込みそう。

 さらにその先にある「赤彦吊り橋」からの遊歩道ゾーン。こちらは駐車場が用意されているので立ち寄りやすいスポットです。

 今回は自転車メインなので吊り橋を渡った先までの触りだけ歩きました。

 木の板が敷かれた遊歩道がありますがちゃんと歩ける靴で行った方が良いでしょう。森林浴には良いルートだと思います。しっかり歩くと約1時間かかるようです。

 駐車場があって立ち寄りやすいこともあり川遊びしている人たちがたくさんいました。川遊びはやらないので触る程度でしたが水は非常に冷たかったです。

 今回一番悩ましく感じたスポットがこの「熊ケ淵」。

 名前の通りのスポットのようで……。

 川に降りるための道もあるのですが、上の説明文を読んでこの道を降りる人がどれほどいるものなのか?

 降りた先は非常に美しい眺めでした。なお、切り立った岩の上なので足元は要注意。この足元の岩をはじめ、どことなく生坂村の「差切峡」の上位互換を思わせるような眺めです。

 おそらくこの辺でクマさんが泳いでいたのかな。

 あまりの美しさに魅入ってしまいますが念のため周囲の警戒は怠らないようにします。

 「牛ケ淵」と呼ばれるスポット。牛に似ているからとのことですがどのあたりが牛なのかわかりませんでした。

 阿寺渓谷で一番深いそうで一際濃いブルーです。

 ちなみに阿寺渓谷の川がなぜこんなにも透き通るように美しいのかと言えば、「濃飛流紋岩」という硬くて風化しにくい岩石によって形成されているためとのこと。水の流れなどで岩が擦れ合っても砂のように細かくならないため雨が降っても濁りにくいのだとか。たしかに川沿いをよく見てみると砂ではなく小さな小石ばかりです。渓谷を形作る岩も切り出したかのように角張っています。大桑村から少し北上したところにある「寝覚めの床」も似たような感じですね。

 今回のゴールであるキャンプ場の直前で謎の岩を発見。岩の上だけ綺麗に台座のようなものが整えられています。あとでキャンプ場で聞いたところでは橋がかかっていたそうでこの岩は橋脚の名残だそうです。

 立ち入り禁止のコーンが設置されていたのでここから対岸に橋がかかっていたのでしょう。

 キャンプ場に到着。到着したから何があるというわけではありませんがとりあえず散策。

 キャンプ場には「美顔水」なる湧水スポットがありました。

 尾張藩の役人の奥方たちがここの湧水で洗顔していたところ色白美人になって帰ってきたというのが由来だそうです。川の水同様に非常に冷たいので夏ならまだしも冬場は大変でしょうね。

 先日の台風で一時撤去しているそうですがサウナ施設もやっているようです。受付窓口でサウナハットの販売もしていました。

 帰りは阿寺渓谷入り口までほぼまっすぐダウンヒルして戻りました。

シャトルバス・自転車(レンタサイクル)がおすすめ

 今回、自分で行ってみた感想としてシャトルバスかレンタサイクルなどの自転車がおすすめです。歩いている人たちも多かったのですが単純に自転車のほうが楽です。あと、全体的に広い道ではないので規制期間外でも自家用車は避けた方が良いと思います。実際にすれ違いに難儀する県外車を多数見ました。個人的には下手くそな運転で難儀するマイカーや自然保護の観点からすれば、乗鞍のように通年でマイカー規制をかけた方が良いと思います。

目の前ですれ違いに難儀するシーン見て「お前が(後ろの退避ゾーンまで)下がるんだよ!!」と思った場面が2回ほどありました。

 あと、熊鈴とクマスプレーは必須装備な気がします。いたるところでクマ注意の看板が目につきましたし、万が一、出くわしてしまったケースを想定するなら保険として持っていた方が良さそうです。

交通の便が良くないのが欠点

 ここに限った話ではありませんが公共交通機関の弱さが欠点と言えます。最寄駅の野尻駅からのバスは平日のみの運行。さらにJR東海の便数の少なさもありアクセスが良いとは言えません。野尻駅から阿寺渓谷の入り口まで徒歩だと約20分、タクシーは約7分です。特別遠くはありませんが観光として行くには遠いかな。

 ほかにも帰りに乗ったJR東海で運用されている車両の仕様も非常に困りました。今ではなかなか珍しいボックスシート主体の内装。さらにワンマン運転なので車両の前方・後方に移動できず、混雑もあり周囲にもご迷惑をかけてしまいました。また、ボックスシート主体の内装だと輪行に関係なく、通常利用においても圧迫感や移動のしにくさなどが気になります。

 旅行客のキャリーくらいならまだしも輪行袋サイズだと占有面積は大きくて迷惑になります。こうなると折り畳み自転車が良いのかもしれません。

 車で行くにしても入り口駐車場までそれなりの行程です。総じて交通の便を考えると気軽に行ける場所ではないというのが正直なところです。ただ、阿寺渓谷自体はとても素晴らしい景勝地ですし、その手間をかけて見に行く価値はあると思います。