令和の世に「綺羅鋼」再臨!! SDW HEROES 「78代目武者頑駄無」レビュー

 『SDW HEROES外伝 輝羅鋼物語』の最新キット「78代目武者頑駄無」を入手。作品からわかる通り、かつての新SD戦国伝『超機動大将軍編』や『武神綺羅鋼編』のキットに採用されていた美しい装飾が施されたメッキパーツ「綺羅鋼」がクローズアップされています。諸々の事情で姿を消した綺羅鋼ですが、今回のキットでついに復活を遂げたわけです。

 ちなみに同時発売の隠密エアリアルにも採用されていますが、「78代目武者頑駄無」しか入手できませんでした……。同日発売のブラックナイトスコード シヴァがいるし大丈夫だろうと油断してたらダメだった。無念。

復活の綺羅鋼

 組み立てる前にランナー状態の綺羅鋼を観察。綺羅鋼はインモールド成形技術を使用して凹凸面に彩色を施したパーツ。見たままで言えばメッキ印刷と言っても良さそう。かつての綺羅鋼と同じようにクリアーパーツに複数色のメッキ加工が施されています。昔のものは端っこのメッキが剥離しやすかったり、印刷がずれていることがありましたが今回はそういうものが見られません。(それによる歩留まりの多さも消えた理由っぽい)

 強いて言えば本キットの兜の吹き返しパーツの端っこでメッキがはみ出ていたことくらいです。裏から見るとこうなっています。昔のものは金色の粉が指に付着したものです。あとで慎重にはみ出部分は切り取れば問題なし。

 他にも違いとしてはゴールド部分の色でしょうか。前はもっと薄めのゴールドでしたが、今回のものは一般的な金メッキで見られるオレンジゴールド寄りの色合いです。装飾のグリーンの部分は下地クリアーパーツをそのまま活かしているので「抜け感」があります。

 刀の裏側はメッキ印刷されていないものの、装飾のディテールはしっかり掘り込まれています。

 SDWシリーズのキットは価格帯が700〜1,300円くらいの幅ですが、今回の78代目武者と隠密エアリアルは1,500円を超えています。もちろん、綺羅鋼採用が理由ですがそれだけの価値が間違いなくあると言えます。

組み立て

 綺羅鋼を観察し終えたので組み立てです。SDガンダムらしくパーツ数は少なめで説明書をちゃんと見れば組み立てはそこまで難しくはありません。

 特徴的な形状ばかりなので先にランナーからパーツを取り出してしまっても大丈夫でしょう。(関節部やジョイント部分は見た方が良いかも) ボディの可動域やパーツ分割構成は従来のものとほぼ変わりません。素体はデザインなどが変わっていました。

 ボディ部分におけるトピックとしては「肘関節」にボールジョイントが採用されたこと。前から一部キットでも肘関節は採用されていましたが、膝関節と同じような機構だったので曲げることしかできませんでした。それが今回のボールジョイント化によって「捻る」動きも加えられるようになりました。従来の肩(二の腕)、拳の可動と合わせてアクションの幅が広がります。

 何気に感動したのが肩アーマーの可動。従来のキットなら肩鎧は逆L字で一体成形。それが本キットでは肩鎧本体(金色部分)、大袖(赤色部分)、肩(黒部分)が別パーツ化され稼働するようになっています。

 腕前面の板がデザインの都合で干渉してしまいますが腕を広げることができます。

 頭部はかつてのBB戦士のような軽装形態は無く、兜とフェイス部分が分割される仕様です。今回買えなかった隠密エアリアルとの着せ替えも可能です。こういう仕様なので前に買ったF9ノ1改やBB戦士との互換性はありません。

 兜の裏側には隠密エアリアルの眼帯パーツをつけるための穴があります。 

シールが貼りやすい

 SDWシリーズのキットで貼りにくいと感じていたシールが貼りやすくなっていました。国内製造の影響なのか他ガンプラ同様に剥がしやすく貼りやすい絶妙な粘着度合い。そもそも紙部分の柔らかさや手触りも違います。先に触れた通り目のシールしか貼っていませんがこれを貼るだけでも如実に違いを実感。製造場所の違いだけでも差が出てしまうものなんですね。

綺羅鋼の切り出しに神経使う……

 先に触れた綺羅鋼ですがランナーからの切り出しに気を使います。SDWシリーズのキットはニッパーを使わなくても手でもぎ取ることができる「タッチゲート」を採用しています。ところが製作の都合なのか綺羅鋼のみ通常のランナー仕様です。つまりニッパーで切り出す必要があります。

 ところがこのランナーとパーツを繋いでいる部分が太めです。刃を当てるところを間違えるとパーツも切ってしまったり、切った時の衝撃でメッキ部分が剥離しないかと冷や冷やします。かなり気を使って「2度切り」で切り離しました。

 目立つ箇所ではありませんがゲート後で少し白くなっています。もしニッパーを使わせるにしてもタッチゲートにしてほしかったところです。(アンダーゲートだと裏側が白くなるのでタッチゲートの方が良いですね)

 刀を組みましたが煌びやかで美しいです。クリアパーツ下地にメッキなので気を使うことに変わりません。特に鞘に収めるときは擦らないように注意。

完成!!

 目のシールだけ貼った素組み状態ですが完成しました。シールを貼っていないので当然ですが、全然色が足りませんね。

 後ろ姿。

 遅ればせながらパッケージがこれです。すごい色数ですね。

 それと比べてしまうと綺羅鋼が高密度・高精細な分、余計に色の足りなさが目立つ……。

 SDWシリーズキット全般に言えることですが金色を補うだけでも格段に見違えるはずです。特に本キットは鞘を含めて金色が多用されているのでガンダムマーカーなりで塗れば効果絶大。

 フェイス部分のアップ。あらやだ、イケメン!!

 顎からのフェイスラインがシュッとしているのでもう少し肉をつけると昔の武者ガンダムっぽくなりそう。

肘関節のおかげで刀を構えた際のポーズも決まります。

本キットの可動における売りである抜刀のポーズ。これも肘関節の恩恵で見栄えが良くなっています。欲を言えば鞘に手を添える左手として「平手パーツ」も欲しかったところ。まぁ、これは他キットから拝借してくれということでしょう。

 稼働に関しては肩パーツを筆頭にあらゆる箇所が干渉するので、バラしてからポーズを組むようにしたほうが良いです。下手すると兜の吹き返しパーツなど綺羅鋼にこすってメッキ部分に傷が付く恐れがあります。

懐古ではなく正当な進化を遂げたキット

 今回の綺羅鋼復活や3月発売予定「天下無双大将軍」の三代目大将軍リスペクトなデザインは懐古厨・アナクロなど退化イメージも想起させます。ただ、本キットを見ればパーツ分割・可動域のアップデート、バンダイ自前での綺羅鋼生産など正当な進化を遂げていると言えますし、当時を知る身としては綺羅鋼の復活は純粋に嬉しいものです。天下無双大将軍以降のキット展開が不明ですが何かしら続いてくれると嬉しいです。あと、レジェンドBB戦士で天零頑駄無や輝神大将軍獅龍凰を出していただければと……。