ミニベロ「グレイシア」の劣化した部品の交換など補修作業を実施しました

 かれこれ2年以上使用しているミニベロのグレイシア。各所が傷んできていたので必要最低限のパーツ交換や仕様変更を実施しました。今回の作業はカスタムではなく、どちらかといえば「補修」と言える内容です。

 作業内容は汚れと劣化がひどいチェーンなどのパーツ交換、タイヤの変更、ホイールハブのメンテナンス(グリス交換)くらいに留めました。前に別記事でも触れましたがグレイシアの今後の運用をどうするか検討しているところでもあります。そのため手をつけるところも交換パーツも必要最低限かつコストをかけすぎないことを意識。やり出すとキリがないので。

汚れと劣化がひどい各パーツを交換

 各パーツを取り外しましたが汚れも劣化具合も酷いものでした。定期的に掃除をしていてもある時期から汚れの落ちが急に悪くなっていました。画像のこびりついたような油汚れが洗浄液に浸けておいても落ちなくなっていました。ギトギトに見えますが触ってみるとカチコチになっており硬いものでこすっても削れないような汚れです。ここまで来ると丸々パーツ交換するしか術がありません。

 チェーンやスプロケなど交換するパーツを取り外します。外したチェーンについてはかなり伸びていたことが新品チェーンと並べた時にわかりました。チェーンリングの歯もだいぶ削れていましたがいつまでも伸びだしていたチェーンを使い続けたことも原因だと思われます。

 スプロケの着脱は前にもDAHONの折りたたみ自転車でやったことがあるのでスムーズ。

 新品パーツの取り付け作業ですがまずはチェーンリング。今回使用したのはミニベロ界隈では御用達な感のあるLitepro のチェーンリングです。クランク付きも売っていますが 必要最低限に留めるのとクランク自体は問題ないためチェーンリングのみの交換です。

 グレイシアのクランクセットはクランクにチェーンリングとチェーンリングガードを挟み込んで固定しています。

 一方のLiteproのチェーンリングはチェーンリングとガードが一体形成です。取り外した元のチェーンリングの画像と見比べると歯の形状がだいぶ違います。こちらはちゃんとした台形です。それだけ削れていたということでしょうか。また、元のチェーンリング+ガードが144gでしたがLiteproのものは98gでした。まぁ、あまり意味はないですが僅かな軽量化も達成したわけです。剛性については今後走って検証です。(DAHONのDash Altenaのクランクはたわんだりしましたね……)

 元のチェーンリングは歯数が48TでしたがLiteproは47Tと1T減りました。これで前よりもギア比がほんの僅かに軽くできました。坂道でペダルを回した際にペダルが軽くなるかもしれませんが、体感できるほどの効果があるのかは……謎です。

左がおそらくダブル用と思われるボルト、右がシングル用ボルト。わずかに幅が違います。

 元から付いていたチェーンリングボルトは2パーツを固定するためか寸法から「ダブル用」と思われるものが使用されていました。今回は1パーツを固定するので別途、シングルギア用のボルトを使用しました。実際に試したところダブル用でも問題なく留められましたがボルトもベトベトになっていたのでこれを機に交換。元々使用されているボルトはスチール製のようですが、交換したボルトはアルミ製です。これも剛性など違いが出てくるのかは今後の運用で判明するでしょう。

 ちなみに取り付け作業時には「ペグスパナ」が必要ということで新規に購入しました。ただ、実際に使ってみるとマイナスドライバー的な他のもので代用できそうだなと思ったり……。

 続いてスプロケットも交換。元から付いているアルタス8速と互換性があるシマノ(SHIMANO) カセットスプロケット CS-HG41 8S ACERA(アセラ) 11-34T」を使用しました。同じアセラの40Tのスプロケにしてみたかったのですがリアディレイラーも交換することになるので今回は見送り。ギア構成は前と同じですがスプロケのカラーがシルバーに変わっています。シルバーの方が汚れ具合が把握しやすいので個人的にはこっちの方が好きです。

 チェーンは特筆すべきこともなくシマノ8速用チェーンを使用。ギア比も大きく変わらないので基本は前と同じ長さにして装着すれば良いだけの話です。ただ、今回は前より2リンク分を短くして装着しました。フロントが1T減ったこともありますが、前の時は若干チェーンがたるんでいる感じがしたので短くしてみることにしました。一般的な長さの決め方から照らし合わせてもさらに1〜2リンク分削っても良さそうでしたが様子見。

 あと、これは賛否別れますがチェーンは油をきれいに落としてから改めて注油しています。本来は必要ないそうですが自転車に取り付ける前で作業もしやすかったので注油しなおした次第。

ホイールハブのメンテナンスも実施

 やるかやらないか迷いましたが色々パーツを外す機会なのでホイールハブのメンテナンスも実施。初めてやる作業だったのでサイクルベースあさひのメンテナンスページなどを見ながら進めました。動画付きの解説だったので非常に分かりやすかったです。

 ハブを開けてみるとグリスまみれのベアリングが出てきます。なんのグリスを使用しているのか不明ですがグリーンだったりグレーだったりと複数種類使用しているように見えました。でも、劣化して色が変わっている可能性もあるのか?

 ほかにも分解した際に湧いて出てきた疑問点が「ベアリングの個数」です。フロントハブは片側にそれぞれ10個ベアリングが入っていましたがもう1つ入るくらいの隙間がありました。入れ忘れなのかそういうものなのか……。

 とりあえず取り出したベアリングや軸を洗浄。原理や部品構成はかつて玉あたり調整をしたことのあるビンディングペダルの軸と同じですね。

 ハブのベアリングが収まる箇所にグリスを補充していきます。特にこだわりは無いのでシマノのプレミアムグリスを使用。注射器的なものがあると便利なのかもしれませんがチューブからそのまま補充しました。

 ベアリングもグリスを絡ませておくとビンセットから落ちにくくなり作業がしやすくなります。(ピンセットも先が丸い形状のビーズ用だとさらに便利です)

これは入れすぎ。玉おさえナットからはみ出て拭うのが大変でした。

 両側にベアリングを入れたら同じくハブ軸や玉受け部分にもグリスを塗ってハブに通します。玉あたり調整用のナットを良い感じのところまで締めてからロックナットで固定します。この作業が非常に厄介で何度も何度もホイールを回して確認。ハブ軸にガタが出ないことが前提ですが、ベアリングのゴリゴリ感を極力感じない位置で固定しないといけません。今回の作業で一番時間がかかったのはこのハブの調整です。本当に大変だった……。

ブレーキパッドも交換しました

上が新品のシマノのブレーキパッド、下が取り外したブレーキパッド

 交換が必要かわからなかったのですがついでに交換しました。リムブレーキと違いディスクブレーキパッドは摩耗具合が確認しにくいのが難点。外してみると交換するほどすり減っていませんでした。これは無駄な作業だったかもしれないと若干後悔。でも、使用期間やこれまでの運用状況を考えたら新品にしても良いタイミングだったのかもと自分を納得させます。

 ちなみに使用したのはシマノの「ディスクブレーキパッド B05S-RX レジンパッド 」なる製品です。グレイシアのブレーキキャリパーはテクトロの「 MD-M280 メカニカルキャリパー」というものですが、シマノの当該ブレーキパッドと互換性があるとのことから使用。画像の通り形状もほぼ同じで固定する方法・固定ピンもほぼ同じなので問題なく交換できました。

タイヤも「シュワルベ マラソン」に交換

 作業のついでにタイヤをサーファス「トラッカー」からシュワルベのシュワルベ マラソン 20×1.75 タイヤに交換しました。シュワルベのマラソンシリーズはミニベロ界隈では割と定番と言えるタイヤです。(そもそもミニベロだと選択肢が限られ……)

 街乗り用途の短距離や未舗装路であればトラッカーは大変優秀です。ただ、なぜか長い距離を走ることも多い状況だったので試しにシュワルベタイヤに交換することにしました。「トラッカーと比較してどのくらい走りに違いが出るのか?」という個人的興味も大部分を占めてはいます。実際に運用してイマイチならトラッカーに戻すつもりです。

 ちなみにトラッカーもシュワルベ マラソンも同じ20インチ(406)サイズですが並べてみるとかなり違って見えます。タイヤ装着時の直径を測ってみましたがトラッカーは約52cm、シュワルベ マラソンは約50cmでした。ミニベロに多い20インチホイールには「406」と「451」の2サイズが存在しています。トラッカーは406サイズでありながら451サイズとほぼ同サイズくらいの直径になります。太いタイヤでオフロード寄りなトラッカーでもそこまで巡航性能が落ちていなかったのはおそらくこのサイズ差が影響していたと思われます。

 タイヤの太さもトラッカーの2.3に対してシュワルベ マラソンは1.75で並べると違いがよくわかります。シュワルベの方は割とミニベロで見かけるタイヤ幅に近く、です。

 まったくの余談ですが451サイズはタイヤの選択肢が少ない上に太いタイヤというものがほぼありません。どちらかと言えばミニベロロード向けのレーシーな感じのタイヤが主流です。トラッカーは「451サイズに近いサイズかつ太いタイヤを使いたい」というニーズをある程度満たせるのかなと思います

「調整」作業が難しい

 実施すべき作業にシフト・ブレーキのワイヤー交換もありましたが見送りました。交換までならなんとかなりそうですが、変速やブレーキレバーの引き代などの調整作業はできる気がしませんでした。これに限らず先ほどのホイールハブの弾あたり調整もですが「調整」作業が一番難しいと思いました。パーツの交換は規格が合って工具があればだいたいはなんとかなります。しかし、玉あたり調整など微調整しながら進める作業はベストな部分を探り当てるのが難しく経験を要すると思った次第。ワイヤーの交換はおとなしく後日ショップに依頼するつもりです。

「別の自転車」というくらいには変化する

 一通りの作業が終わり街中を試走しましたがだいぶ変化を感じました。ただ、この変化はついでに交換したタイヤによるものが大半を占めます。チェーンなどの駆動部については動きが滑らかになったような、変わらないような……という具合にはっきりと体感できるレベルではありません。

 タイヤについてはトラッカーとの比較で触れたようにタイヤ幅もタイヤボリュームも変わったので当然の結果ではあります。大雑把な比較ですが同じ20インチの406と451くらいの違いと言えばわかりやすいでしょうか。

 ダホンなどのミニベロで採用されるものに近い(ほぼ同等)仕様なので乗り味についてもそれらと変わらないものになりました。前の「ミニベロらしからぬ……」から「いかにもミニベロっぽい……」という乗り味です。個人的には懐かしいというか帰ってきた感があります。トラッカーのようなクッション性・快適性をスポイルする形になりますが、路面での転がり抵抗は大幅に軽減されているので単純な長距離巡航性能はアップしているのだと思います。そのほかチェーンリング、スプロケ、ホイールの回りなどのいじった部分についても追々走り込んで確認したいと思います。