年々見るものが無くなっているサイクルモードですが試乗したいモデルがあったので行くことにしました。フレーム素材や販路の関係で自分で購入することは無さそうなモデルもありますが「体験」はしてみたいということです。今回のサイクルモードの試乗コースは従来の舗装路メインの「オンロードコース」と凸凹の路面やパンプトラックが設けられた「オフロードコース」がありました。オフロードコースには上の写真のような黄色の札がついた自転車しか入れません。従来の試乗と異なりオフロードでの段差の衝撃や乗り心地を試すことができる構成でした。試乗して特に印象に残ったものをいくつか。
キャノンデール TOPSTONE CARBON
キャノンデールのトップストーンのカーボンフレーム版です。キャノンデールは今回のイベントでこの機種のみで出展していました。試乗したのは約60万円ほどするモデルの「TOPSTONE CARBON FORCE ETAP AXS」。スラムの電動コンポ搭載機です。トップストーンについては春先だったかTwitterのプロモーションツイートがしつこく流れていたので嫌でも擦り込まれました。
シートポストとリアフレーム接合部にサスペンションが設けられているのが特徴です。公式サイトにもありますがオンロードの快適性を犠牲にすることなくグラベルも走れます。オフロードコースとオンロードコース両方走りましたがまさに「オールロード」といった乗り心地でした。
こちらのメーカーはグラベル用途でスレートというモデルがありましたがディスコンなので選ぶとしたら本シリーズから選択となる状況。欲を言えばスレートのようにフロントサスペンションが欲しいところですがオンロードでの快適性とトレードオフになるのでこういった構成なのでしょう。個人的にはグラベルを走るということを突き詰めるとスレートのようなフロントサスペンションは必要だと思います。私は車体価格と整備コスト、バイクパッキングの面で導入を見送りましたが舗装路の走行性能を確保しつつグラベルを走るのであればスレートが最適解だと考えています。それだけにスレートのディスコンは残念な気もします。
話が逸れましたが今回は後述のグレイル 試乗が目的でしたがトップで紹介するくらいに良かったと思うモデルでした。ただ、「カーボンフレーム」・「700Cホイール」という点は気になりました。どうしてもスレートと比較してしまうのですがグラベル走行でカーボンは跳ね石や転倒での破損が心配になります。また、ホイールについては700Cより小さい650bホイールの方がエアボリュームたっぷりのタイヤが履けるので舗装路含めた汎用性に振ったのかなと推察します。
フレームカラーは試乗モデルが好みですがコンポはこんなに高級じゃなくても良いので組み合わせを選べると良いなと思いました。お金があったら帰りに注文してしまったかもしれない。そんなモデルでした。
*2020年5月追記:キャノンデールから「Topstone Carbon Lefty(トップストーンカーボンレフティ)」が発表されました。これが出た今となるとレフティ付きモデルがオススメだと思います。お金がある人はぜひこちらを買って欲しい。インプレよろしくお願いします!!
CANYON グレイル
今回の試乗に来た目的がキャニオンのグレイル 。ドイツメーカーのグラベルロードで「ホバーバー」という二階建てハンドルで注目を集めたモデルです。カーボンフレームや販路・整備の部分で購入することは無さそうですがハンドルを含めどんなものか体験してみたかったモデルです。キャニオンは通販のみの取り扱いなのでサイクルモードといったイベントぐらいしか試乗機会がありません。人気や注目度からかキャニオンブースは試乗するまでに20分ほど並びました。
メニュー表を配布され試乗希望車とサイズをあらかじめ決めます。私の身長では微妙な部分ですがSサイズを選択。結果としては正解でした。Mでも行けそうですが前傾がさらにつくのでグラベル用途も考えるとSサイズが良い感じでした。またSサイズ以下はホイールサイズがグラベルロードに多い650Bになるのもポイントです。
このモデルも独自のエアロハンドルを採用しているので試乗して実際のサイズを確認しないとパーツ交換で調整不可なのが怖いところ。コンポや素材云々よりも「サイズ」が重要です。先日のジェイミス のレネゲートS3フレームカラーと同じく実物確認は大事だと思います。
実際にコースを走ったわけですがロードバイクとあまり変わらないと感じました。ピナレロのグラベルロードと同じくグラベルレース向けというかロードバイク寄りの印象は拭えないところ。褒め言葉ですが「走りが良すぎる」感触で細めのスリックタイヤに変えたらロードバイクと判別がつかない気がします。
ホバーバーについては短い試乗だったこともありどこまで走りに影響するかはわからなかったのが正直なところ。段差の衝撃はロードバイクよりも緩和されていますがホバーバーによるものかタイヤやカーボンフレームによるものか判別はつきません。それよりも独自規格なので「修理やパーツ交換が大変そうだな」という気持ちが先に来ます。グレイル はトップストーンやTREKのチェックポイントと同じく「最初の1台」、「初めてのロードバイク」として買うなら有りだと思いますがグラベル用途としては物足りないように感じます。少なくともキャンプツーリングは辛そう。すでにロードバイクを持っている場合だと「ただのロードバイクの買い増し」になりかねないう気がします。
KONA のROVE とマウンテンバイク
ここだけ括りが雑ですがいくつかKONAのグラベルロードとマウンテンバイクに乗りました。
バッテリー付きのEバイクのマウンテンバイクにも乗っています。同じメーカーのグラベルロードに乗っているので違いが分かりやすいかな思いました。Eバイクなので登りで性能を発揮するタイプですが元々のギア比は軽いのでそうそう使う場面がなさそうな気がしました。
「ROVE NRB DL」はアルミフレーム+カーボンフロントフォークという構成。ROVE STとは車体重量にハッキリとした差を感じます。こうして比較するとフルクロモリフレームのSTはやはり重いですね…。
オフロードコースを走りましたが走りは軽快で地面の凹凸による衝撃も緩和してくれます。やはりROVEシリーズの汎用性の高さと扱いやすさは特筆すべきものがあります。
マウンテンバイクはオフロード専門だけあってグラベルロードも足元には及ばない走破性。試乗コース上のパンプトラック程度は快適に楽しむことができます。しかし、「自転車を漕いでる感」が乏しいことと舗装路の快適性はロードバイクに数段劣るので車に積んでトランポでもするでもしない限り自前で調達する必要性は感じないと思います。マウンテンバイクについてはオフロードコースがある施設に行ってレンタルで楽しむ流れが定着しているイメージがあります。
今回のサイクルモードでは「オフロードコース」が設けられるなどグラベルロードが流行するかのような印象を受けますが、実際は「オールロードバイク」が求められているのではと思っています。実際に頻繁にグラベルを走りに行く人はごくわずかだと思います。しかしながら普段の街中を含めた舗装の荒れや段差を快適に走行することにも向いている乗り物だと思います。レース機材であるロードバイク よりも高い汎用性があるのでレースに出ないのであれば純粋なロードバイクよりもこういうモデルの方が快適に楽しめると思います。