所用で東京に行ったついでにダホンの2026年新型モデル「Deftar TX」に試乗してきました。ワイズロード上野本館で試乗会をやっていたので試乗させていただいた次第。試乗なのでレビューというほどではないですが特徴は感じ取れたので以下に特徴や乗った感想など書いていきます。
Deftar TXの特徴
今回試乗してきたDeftar TXは2026年モデルの新型として発表されたモデルです。すでに「Deftar」という軽量20インチ折り畳み自転車が存在しますが、各部の仕様が良い方向で変更されています。旧モデルと被るところがありますが簡単に特徴を挙げると以下の通り。
・20インチ折り畳み自転車としては軽量な約9.9kgの車体重量
・可変式のステムパーツ採用でポジション調整が容易
・前後輪ともに軽量で回転性能の高い「DAHON Proホイール」を採用
・安定安心なシマノ8速(クラリス)採用
・フレームの強度と耐久性に寄与するDeltecワイヤー採用
・上記の特徴を兼ね備えながら税込139,700円の破格な価格
堅実かつ嬉しいアップデート
ここからは個人的にDeftar TXの注目したい箇所を挙げていきます。まず車体の各パーツ変更で全体的に「乗りやすい折り畳み自転車」になりました。特に乗車ポジションの調整の幅が広がった点は注目です。

前項で挙げた約14万円という価格帯でありながら可変式のステムパーツを採用しています。従来のダホン(ternも)のラインナップだと20万円前後の価格帯で採用されているT型ハンドルポストが最初から付いています。単品で2万5千円ほどするので最初から採用されているのはありがたいところ。そこに可変式のステムパーツが付いているのでハンドルポジションの高さ・角度の調整が容易となります。

さらにこのステムパーツ「Adjastable stem 45mm」はクイックレバー式なので工具不要で調整できます。折り畳みの時に工具が不要になるアドバンテージは折り畳み自転車として非常に大きいものです。また、T型ハンドルポストなのでステムパーツ交換でブルホーンハンドルやドロップハンドル化のハードルも幾分下がります。
※固定力の関係からステムパーツは別途要交換

ハンドルポストに関連して併せて触れておくと、ハンドルポストの高さが長くなっています。上の画像は左からDeftar・スピードファルコ・Deftar TXですが、デフターのハンドルポストが短いことがわかるかと思います。これによりどうしても前傾姿勢が強くなり人によっては窮屈な乗車姿勢になります。対してTXの方はダホンのラインナップでは一般的な 323mm/8° のハンドルポストを採用したことでアップライトな乗車姿勢が取りやすいです。この点においても幅広い層に刺さると思います。

ホイールもDeftarと異なり前後輪ともに軽量で回転性能の高い「DAHON Proホイール」になりました。見た目のまとまりが良くなりましたし、何よりも回転性能も良くなったので走りにも大きく寄与します。別途、単体で交換すると良いお値段になるのでこの点もありがたいところ。

フレームについては「Deltecワイヤー」が採用されたことで耐久性が向上しています。ただの硬めのワイヤーが付いただけだと思うかもしれませんが、実際に乗ってみると折り畳み機構故の「ガタ」や漕いだ力が抜けていく感じが無くなります。また、気休め程度ながら路面からの振動も緩和してくれます。

ブレーキもキャリパーブレーキからVブレーキに変更されています。これにより太めのタイヤも履けるようになりました。前のキャリパーブレーキはどうしても細いタイヤしか履けず、さらにロングアーチだったので105やアルテグラのブレーキにアップグレードするのも難しかったので、この変更は英断と言えます。ディスクブレーキモデルほどではないにしろ、タイヤの選択肢が増えたことは嬉しいです。ただし、後述しますがVブレーキ本体は交換した方が良いかも……。

変速関係は安心安定のシマノ8速コンポ(クラリス)が採用されています。従来のT型ハンドルポスト・可変式ステム採用車はティアグラ以上のコンポを採用して20万円前後の価格になっていましたが、Deftar TXは8速コンポ(クラリス)を採用して価格のバランスをとっている印象。エントリーコンポとはいえ、シマノの8速は手頃かつ堅実な品質です。ギア比構成も「フロント53T × リア11-30T」というミニベロでは無難な構成なので、余程変わった使い方でもしない限りは不足を感じることは無いでしょう。
走った感想

肝心の試乗した感想ですが、非常に軽やかな走りで踏み込みから加速までがスムーズです。車体の軽さとホイールの回転性能の良さもあるのでしょう。ミニベロでは一般的な20インチホイールでハンドルも扱いやすいフラットバーなので極端にふらつきやすいなどのクセもなくて乗りやすいです。
また、体感での話ですがDeltecワイヤーのおかげなのか、漕いでいる時の折り畳みヒンジあたりのガタや力が抜けてる感じがないのも感想として挙げておきます。昔のDeltecワイヤー非採用モデルに長いこと乗っていたのでこの辺りの違い顕著に感じます。本モデルは20×1.35の細めのタイヤを履いていますが、段差での衝撃が思ったよりマイルドなのもこのワイヤーのおかげなのかもしれません。

坂道も何度か登りましたがフロント53T × リア11-30Tで十分対応できます。東京都心部や平坦基調のエリアで使うなら十分なギア構成です。(坂が多いエリアで走るならスプロケットを32Tや34Tのものに交換する、もしくはアセラ40Tにリアディレイラーごと交換しても良いかもしれません)

あと、試乗中に何度か可変式ステムでハンドル位置を変えながら走りましたがこれが非常に便利でした。折り畳み自転車は基本的にワンサイズしかないので乗車ポジションの調整ができる点は大いに魅力的です。また、走行場所や走行シーンに応じ、シートポストと合わせてポジションを変えることで活用の幅が広がります。
最後に直接の走りと関係しませんが、本体が軽量なので担いで行く時なども快適です。これは輪行に限らずで軽量さ故の取り回しの良さはあらゆる場面で助けになるでしょう。
気になった点
ベタ褒めできるくらいに素晴らしいモデルですが個人的に気になった点が2つあります。ハンドルグリップとブレーキです。

ハンドルグリップは軽量性のためかスポンジグリップが使われています。スポンジでもクッション性はほぼ皆無。円柱形状なので長時間握っていると手が痛くなってくるグリップです。さらにグリップ端がネジ留めされていますがスポンジ部分だけくるくる回ります。わずかな重量増になりますがエルゴングリップなど手に優しいグリップに交換することをオススメします。現在のラインナップだと「GT-1」は本当にオススメです。別格の快適さです。

ブレーキはテクトロのVブレーキが採用されていますが、実際に乗ってみてブレーキの効きの弱さに閉口しました。平地でこれでしたが下り坂はもうお察しです。試乗車ゆえに調整が不十分だった部分もあるのかもしれませんが、標準のものだと不安が拭えないのは事実。できればブレーキレバー含めてシマノの「T4000」あたりに交換した方が良さそうです。

あと、これは全くの蛇足ですが、さらに軽量にする意味合いでシートポスト交換も検討して良さそうです。標準採用されているのはK9Xと同じSuper Light Aluminumシートポスト。前に実測した時は425gでした。これを「DAHON Ultra Light Seatpost」(実測356gか)にするだけでわずかですが軽量化は可能です。Amazonに並行輸入品なるものがありますがおそらく同等品と思われます。
Deftar TXはオススメのダホンの折り畳み自転車です!!

Deftar TXに試乗してみての総合的な感想としては「超オススメな折り畳み自転車」です。おそらくダホンなど折り畳み自転車ユーザーが待ち望んだモデルと言って過言ではない内容の自転車です。
最初からポジション調整と拡張性を持たせることができるT型ハンドルポストと可変式ステム、前後輪ともに軽量で回転性能の良いDAHON Proホイールを採用。20インチ折り畳み自転車ながら約10kgという軽量な車体重量で軽快に走れる走行性能。これらを兼ね備えつつ車体価格が税込139,700円です。ディスクブレーキにこだわりがなければ間違いなく買いなモデルです。これから折り畳み自転車を買う人はこれを買いましょう!!