秋の「旧国鉄篠ノ井線廃線敷遊歩道」を歩く 「安曇野APPLE HALLOWEEN2025」に行ってきた話

 明科駅と近くの旧国鉄篠ノ井線廃線敷遊歩道前で「安曇野APPLE HALLOWEEN2025」が開催されるということで行ってきました。個人的には廃線敷遊歩道がメインで歩くにはちょうど良い季節だったこともあります。

 「安曇野APPLE HALLOWEEN2025」はほぼ毎年実施されているハロウィンイベントです。土日の2日間開催です。私が行った土曜日は旧国鉄篠ノ井線廃線敷の潮神明宮前から三五山トンネルまでの区間を会場にイベントブースが出ていました。日曜日は明科駅前からデリシア前までの区間を会場にするようです。ただ、日曜日の天気予報が雨マークだったので土曜日に行ってきた次第。

 子どもが主役な出し物が日曜日に多いこともあるのか以前行ったときに比べて人は少なめ。時間帯の関係かもしれませんが。それでも子ども達が楽しそうにしていました。本記事では人が写り込んでいない写真を掲載しているので伝わらないのが残念。

 ドンキホーテもブースを出しておりハロウィンにちなんだ仮装グッズを販売していました。さらにSNSで見かけるようになった安曇野市ご当地アイドルユニット「つにてんてん」のTシャツも販売されていました。今後、本格的にグッズ展開もしていくのでしょう。

 帰りに安曇野エリアの飲食店が出している「安曇野林檎ナポリタン」のお弁当などを買いました。各店で内容が微妙に異なるのですが、今回は今年から新規参入したという「食彩かなで庵」さんのナポリタンをチョイス。他のお店でも林檎ナポリタンをいただいたことがありますが、トマトケチャップとリンゴの甘さの相性が良くて美味しいです。

 イベント会場を見てから「旧国鉄篠ノ井線廃線敷遊歩道」ウォーキングスタート。この遊歩道は名前の通り、JR東日本の篠ノ井線(明科駅〜西条駅)の旧線を整備したコースです。

 篠ノ井線は1902年(明治35年)に開通しましたが、開通当初から地滑りで不通になるなど難儀な区間でした。……って大糸線の南小谷駅以北といい長野県はそんなところばかりですね。

 1988年(昭和63年)に現在運用されている新線に切り替わったことで廃線となりましたが、安曇野市明科側から途中の旧第2白坂トンネルまでは遊歩道として整備されています。

 片道約5kmの遊歩道は特に難所というものはなく、トンネルや鉄道遺構が残るほか、ベンチやお手洗いがあるので歩きやすいコースです。

 ちなみに筑北村の西条駅側からの区間もトンネルや遺構が残っていますが、こちらは遊歩道として整備する動きがありますがまだ未整備です。上の画像は過去に筑北村側の小仁熊トンネルに行った際のもの。

 ただ、西条駅から一番近い小仁熊トンネル前はソーラーパネルが敷設されており、当時のコースそのままとは行かなそうです。

 さて、話を戻しますが遊歩道ウォーキングのスタート。スタート地点から熊注意看板がデカデカと立っています。遊歩道の各ポイントに同様の看板が設置されています。ちなみにイベントで人が多い方が熊リスクを下げられるかと思ったのもこの日を選んだ理由です。

 トンネルの手前には展望案内が設置されています。

 ……が、この日もあいにくの曇り空だったので山は見えず。今年はこのパターンが多くて困ります。

 三五山トンネル前とトンネル内には地元の子どもたちが制作したジャックオランタンが並んでいます。

 トンネル内もハロウィン仕様です。

 トンネルを抜けるとかつての線路敷を利用したウォーキングコースが約5km続きます。

 小さな子供を連れたファミリー層はトンネルを抜けた付近を少し歩いて引き返してくといった様子。

 いかにもなハイキングの格好をした人たちがゴール地点「旧第2白坂トンネル前」までを目指して歩いていきます。私もその1人ですが。

 遊歩道には架線用柱以外にも「キロポスト表示」など当時の遺構も多く残置されています。キロポストの数字は塩尻からの距離らしいです。 

 この遊歩道は歩行者優先が前提ですが自転車走行も可能ではあります。私も過去にグラベルロードでここを走ったことがあります。この日もグラベルロードやマウンテンバイクで走って行く人を見かけました。

 ただし、区間によっては拳大の大きめな石がゴロゴロ敷かれていたり、かつての鉄道関係の部材が転がっているのでそれ相応の自転車かつスピードを出しすぎないように気をつけた方が良いです。ハイキングの人も歩いているので。

 新線切り替えから遊歩道整備までの間がそこまで空いていないこと、山中で宅地開発・農地利用がないことから鉄道設備は割と綺麗に残っています。

 遊歩道を歩いている途中で堰堤の補修工事をやっている箇所に遭遇。

 地滑りが多い区間なので堰堤以外にも地下水を排出する設備が目立たないながらも埋設されています。

 「けやきの森自然園」には踏切設備が残っています(整備に合わせて設置?)。トイレや休憩用のベンチもあります。

 ゴールまで行かないにしてもここまで来て引き返すのも良いでしょう。

 ゴールまで行っても明科側に引き返す必要があるので、国道403号が並走するので各ポイントを車で行って付近を散策もあり。引き返すことを考慮する必要があるのがこの遊歩道の最大のネックといえます。

 私もですが路行く人たちはみんな熊鈴を鳴らしながら歩いていました。どこまで効果があるか不明ですができる対策は必要です。時間が経った鹿の糞は見かけましたが熊の痕跡は見なかったのでそのまま粛々と進みます。

 「漆久保トンネル」の踏切跡に到着。国道403号線からこの踏切跡を通過して進んでいくと松本市の四賀地区に出ます。細い道に廃屋が残っており、いかにも熊や鹿に遭遇しそうな区間です。

 この遊歩道の見どころでもある「漆久保トンネル」に到着。トンネルは明治  年の制作で当時のままの姿を残しています。

 煉瓦造りのトンネル内は蒸気機関車の煤で黒くなっている箇所があります。

 トンネルに使用されているレンガは現在の明科高等学校付近で造られたものだそうです。

 また、このトンネルの上には「覚明・普寛の像」があります。覚明・普寛はそれぞれ木曽御嶽山の表参道と裏参道を開いた人物です。

 このトンネル上の細いルートは大昔の善光寺道とのことで旅人の安全を願って祀られたもののようです。

 本当かどうかわかりませんが解説文を見ると国鉄の技師の所業に驚かされます。まぁ、やっても不思議に思わないところがあります。

 行くたびに気になる廃屋はお堂のようです。

 中は使用されていないこともあり荒れ果てています。

 トンネルの東側の斜面を降りて行くと「小沢川橋梁」があります。

 以前、同じことを書いていますが木の固定に使用されている金具が飛び出ている箇所があります。います。躓かないように注意が必要です。

 さらに進んで「潮沢信号場跡」に到着。後ろの擁壁がまさに線路だった当時を偲ばせます。

 「潮沢信号場」は電車行き違いのためのスイッチバック式の信号場とのこと。イメージとしては姨捨山駅のスイッチバックですね。

 すぐ近くの信号場管理棟跡には物見台と管理棟があったことを窺わせるスペースがあります。画像の左側の少し開けたスペースに管理棟があったようです。

 物見台はほぼそのまま残っています。

現地に置いてある当時の写真と見比べるとイメージが付きやすいです。

 信号場を通過してしばらく歩くと赤字の目立つ案内板。

 東京スカイツリーと同じ標高との案内板です。現地がもともと標高あるのでさもありなんな感じ。

 遊歩道のゴール地点「旧第2白坂トンネル前」の駐車場に到着。駐車場にはツアーバスが停まっていました。緩やかな登り基調ながら険しい箇所は無いので、足元の石にさえ気をつければ完歩できます。

 「旧第2白坂トンネル」は駐車場の西条・長野市方面にあります。トンネル左側では国道403号の橋梁工事が行われていますがトンネル前まで行けるようになっています。

 トンネル手前には「旧第2白坂トンネル前」の看板が立っています

 トンネルの真上には国道403号が通っています。

 トンネルの入り口は封鎖されており中には入れませんが、上部の窓は開いていました。

 頑張って中の様子を撮影しましたが割とすっきりと整理された感じです。現在、トンネルの向こう側、筑北村でも旧廃線敷を遊歩道に整備する動きが進んでいます。いずれ筑北村の西条駅まで通しで歩けるようになるのかもしれません。そうすると西条駅まで行って電車で明科に戻ってくる(その逆も)なんてことも可能になるので期待したいところです。

 先ほど触れた隣の工事箇所は短い区間ですがカーブをショートカット化するためのものらしいです。 

 白い車がいるカーブ区間は脇道扱にでもなるのでしょう。なお、廃道化は無いはず。工事は国道のショートカット

 「旧第2白坂トンネル」から来た道を戻ります。帰りは下りなのでスイスイと戻れました。

 明科側に戻る際にも北アルプスの山々が見える箇所があるのですが曇り空なのでそれも望めず。

 三五山トンネルまで戻ってきました。ここまで戻って来ると遊歩道に比べて人の多さを感じます。

 トンネルを抜けて無事帰還。下り基調なのであっという間に感じました。

 ハロウィンイベントに合わせて久々に廃線敷を歩きました。気温的にも一番歩きやすく快適でした。ただし、ニュースでも報じられている通り、熊への警戒と対策は必須となりますので無理のない範囲で行くのがよろしいかと思います。