サイクリング用アクションカメラとしてのinsta360 X3 レビュー 360度撮影は面白いし使い所あり

  • 2024年3月29日
  • 2024年3月29日
  • 未分類

 数ヶ月前にサイクリング用のアクションカメラとしてinsta360「X3」を購入しました。一般的なアクションカムの画角だけではなく、360度撮影ができるという製品です。使い始めておおよその部分は把握できたので、実際にサイクリングで使用してみてのレビューを書いていきます。なお、技術的な部分は詳しくないので、本記事で触れるのは「実際に撮れた映像」を見た上での気付いた部分や感想となります。

360度撮影は楽しい!!

 実際にX3で360度撮影機能を使った感想としては楽しいということ。一方の画角だけを映す一般的なアクションカメラとは違った面白さがあります。

 サイクリングをしていると前だけではなく、横に美しい景色が広がっているなんてことは多々あります。従来ならカメラの向きをグイッと変えたりして撮影していましたが、そういうことをしなくても360度の画角を映像として納めることが可能です。

 撮影した映像は専用アプリで前後、横、斜め上など好きな画角を切り出すことができます。同じシーンのアングル違いをそれぞれ書き出すこともできるわけです。

 ほかにもドライブレコーダーとしても役立ちます。カメラのマウント位置を工夫する必要がありますが、X3一台で後方の録画までカバーできます。後述の画質の部分で解像感があと一歩な印象ですが、それでも一般に流通する自動車用のドラレコよりは良いと思います。

 こんな感じで360度撮影機能は楽しいだけではなく実用的な機能もあり、サイクリングでも相性の良い機能だと思います。

画質はそこまで良くない

 単純な「画質」についての話をすると悪いわけではありませんがそこまで良くありません。これは360度レンズモード・シングルレンズモード共通でそう感じました。3万円未満の格安中華アクションカム群よりははるかに良いですが、GoProなど5万円以上のハイエンドアクションカムには若干劣るという感じです。言い過ぎかもしれませんが撮れた映像を見るとそういう印象を持ちました。

 求める画質や基準というのは各々で違うと思いますが、少なくともGoProの画質を知っている人には物足りないことは確か。私はGoProを持っていませんが、検討段階で実店舗で触ったり、録画した映像を何度も見たことがあるので画質の良さはよく知っています。それを知っている身としては単純な画質の比較をすれば比べるべくも無いレベル。まぁ、そのGoProもX3と同じinsta360から出ているAceProと比べると………な状況になっていますが。

 360度レンズモードは最高解像度設定で5.7K(30fps)で撮影が可能です。その解像度を使って文字通り360度の画角で撮影します。そこから専用アプリ「insta360 Studio」で任意の画角を指定して動画素材として切り出します。当然、書き出された動画素材は5.7Kあるわけではなく、フルHD相当の映像になるわけです。つまり、5.7K以下の解像度設定で撮影したら書き出し後の解像度設定はフルHD以下……。

 シングルレンズモードも最高解像度設定の4Kで撮影しても、一般的にイメージする4K映像感はありません。おそらくですが強力な手ブレ補正処理のために映像端の4辺を少し間引いていることが原因と思われます。そうなると純粋な4K解像度とはならないので、4Kを感じさせないのは順当なところだろうと推察できます。

木の枝やフェンスの網網などは特に画質の差を感じやすい部分です。

 細かい話になりますが「解像感」で言えば、2016年発売のSONY「HDR-AS300」に負けます。発売時期が離れており、技術進歩などの要素もあるのでトータルではX3ですが、見比べた時の映像のきめ細かさでは差を感じます。技術的な部分はわかりませんが、多くのカメラ・ビデオ製品を出しているSONYの技術力は伊達ではないということなのでしょう。

 それ以外にも「フレームレート(fps)」が足を引っ張っていると思っています。X3は最高解像度設定だとフレームレートが30fpsです。SONY「HDR-AS300」は最高解像度はフルHDですがフレームレートは倍の60fps。サイクリングをはじめとした動くものを録画する場合は映像の滑らかさにどうしても差が出てきます。

 両者の差を特に感じたのが交通標識や看板の文字です。サイクリングみたいに動いている映像だとこれらの判読性に大きく影響します。先に「360度撮影だとドライブレコーダー的に使える」と書きましたが、ドラレコ用途だと車のナンバープレートをしっかり録画して押さえられるかという点で不安を感じます。天候、環境光、相対速度など様々な要素が絡むので、カメラ性能のみに原因を帰すものではありませんが、必要な場面で必要な情報を捉えられないのは困ります。さらに解像度設定を落として60fpsで撮影しましたが、そこまでの差を感じなかったのも微妙なところでした。(後述する手ぶれ補正の仕組みも影響していると思います)

 解像度以外では「色調」にもクセを感じます。これはパッと見た時の画質にも影響しているので無視できない要素です。実際に撮れた映像を見るに高めの彩度と白黒付きすぎたコントラストが気になります。

彩度は高めで特に「青」が強めに出る傾向です。お空のスカイブルーがコバルトブルーになるくらいには強いです。コントラストも全体的にグレーのような中間色が飛び気味で白黒が強め。メリハリが付きすぎたベッタリ感があります。これは木々や山を写した時に目立ちます。X3本体のカラープロファイルが「鮮やか」になっていたのを「標準」に設定したところ、彩度は多少改善しました。まぁ、あくまで「多少」というレベルですが。

iMovieにおける色調補正バー

 シングルレンズモードだと彩度・コントラストの影響もあるのか全体的に暗めです。動画編集ソフトなどで彩度を下げて、明るさとグレーを上げるとだいぶ現実に近い見た目になります。

 360度レンズモードも彩度・コントラストのクセがありますが、こちらは逆に明るすぎる傾向です。

 白が強すぎるように感じたので色調補正では明るさを下げて調整しています。

 また、シングルレンズと360度レンズで色調が違いすぎるので両者の動画素材を混ぜて使用するとどうしても違和感があります。色調補正ではどうにもならないレベルなので使い分けるよりはどちらか一方で撮り切る方が良いかもしれません。個人的には色調補正前提ですが360度レンズモードの方が実際に見た色に近いと思っています。

 画質について気になる点を書きましたが、あくまでX3は「360度撮影」を売りにした製品です。一般的なアクションカメラと並べて評するのはフェアではないでしょう。どうしてもそのくらいの画質とアクションカメラとしてのスペックを求めるならGoProや同じinsuta360のAceProを選んでおくしか無いと思います。

最高解像度設定(5.7K・4K)で撮ることを推奨

 前項で触れた映像クオリティの問題から、余程の理由がない限り「最高解像度設定」での撮影をお勧めします。360度レンズなら5.7K、シングルレンズなら4Kということです。

2.7Kの解像度設定で撮ってもその数字を感じさせない写り。

 フルHDで書き出すからフルHD解像度設定で撮影する……ということをやるとガビガビでザラザラな残念な映像が出来上がります。それを防ぐには最高解像度設定で撮影して、動画編集後ににフルHDで書き出せば画質が担保されます。試しに4Kで撮影したものをフルHDで書き出しましたが、画質の劣化はほとんどわかりませんでした。おそらく何かしらの劣化はあるのかもしれませんが人の目で見る分にはわからないレベルです。

3.6Kだとそこまで劣化を感じさせない。

 どうしても解像度設定を落とす場合は360度レンズなら4K、シングルレンズなら3.6Kが限度だと思います。実際に撮れた映像を確認してそこまで差を感じなかったのはここまでです。これよりも設定を下げた2.7KやフルHDだと素人目でわかるくらいに画質が劣化します。

 最高解像度設定で撮影する場合の問題点としては「データ容量が大きくなる」ということ。X3のストレージを圧迫して録画可能時間が減りますし、動画編集時にはパソコン・スマホのストレージを圧迫します。ただ、X3の場合は後で触れますが、「insta360 Studio」という専用アプリで使用する箇所だけ書き出せば、直接パソコンに読み込むデータの量を減らすことは可能です。

画角は広角以上がオススメ

 撮影時の画角設定についてはまだ検証中です。各設定で試しましたが広角以上で使うのが前提な映りだと感じました。一般的にアクションカムをわざわざ使うのは手ぶれ補正と広角での撮影だと思います。そうでなければスマートフォンのカメラで十分です。

 各設定を見比べましたがシングルレンズモードでは画質にあまり差を感じませんでした。ただし、360度撮影モードだと話は別です。専用アプリでキーフレームとして切り出す映像の向きを指定しますが、そこでの画角設定はかなり重要です。

魚のアイコンで表現されている「デフォルト」は魚眼レンズで写したような絵になります。左右両端がわずかに引き伸ばされたような映りになります。例えるなら、ほっぺをグニ〜っと引っ張ったような感じです。私のように風景メインのライド動画なら問題ありませんが、人や動物をメインに撮る場合は大惨事になりそうです。特にレディのご尊顔を写そうものなら……。

 ナチュラルビューはおそらく人間の視野(180度~200度)に近い画角設定と思われます。デフォルトより拡大した見え方です。

超広角はそのまま設定項目の中で一番広い画角。広く映す関係から各対象が小さくなります。そのため画質の粗が目立ちにくいとも言えます。続く広角は一般的なアクションカメラに近い画角。

リニア+はナチュラルビューに近い画角ですが画質はこちらの方が良いと思います。リニア+よりさらに画角を狭めたリニアもありますが画質に目立つほどの問題はなさそうです。

一番狭い画角となる狭角はなかなか酷いものです。狭角になるように無理やりフルHD相当に引き伸ばした感じです。画質の酷さもありますが画角としてもわざわざ使うことはないでしょう。

 見比べると超広角・広角で使った方が画質の荒れが目立ちません。あとはナチュラルビューくらいでしょうか。解像度設定もですが、各種選択できる項目があっても実際に実用できるのはその中のほんの僅かという感想。

アクションカムとしての基本性能は高い

 画質について色々書きましたが、アクションカメラとしての性能は非常に高いものがあり、ハイエンド機種とほぼ同等です。色調など画質にクセはあるものの細かな陰影などをしっかり捉えています。

 こちらは同じ場面をSONYのアクションカムで撮影した映像の切り抜き。前の画像と比べると常念岳の冠雪と雲の白が同化したような写りです。

 また、手ぶれ補正については現行機種らしくしっかりと補正してくれます。手持ちのアクションカムの都合上、HDR-AS300との比較になりますが同じ場面で見比べると補正の効きが違います。縦揺れだとそこまで違いがありませんが、ハンドルを切ったり旋回した際の「横揺れ」で補正の差を感じます。これらの揺れはスマホサイズより大きな画面で見ると画面酔いに直結するので、アクションカムとしては大きな性能差だと言えます。

 ちなみにX3やGoProは「電子式」、SONYのアクションカムは「光学式」と手ぶれ補正の採用技術が異なります。私がアクションカムに手を出した当時は光学式が優れていると言われていましたが、技術的進歩なのか、その評価はすっかり過去のものなのだろうなと思わせる映像です。(SONYが最新機種を出さないので進歩が止まっているとも言えるのか?)

本体の取り扱いには気を遣う

 X3は365度の画角を撮影するためにカメラ本体の前後にドーム状のレンズが付いています。この形状のためにカメラの取り扱いには非常に気を使います。どこぞのテーブルにX3を置くにもレンズが接触しないように気をつける必要があります。少なくとも公式オプションにもあるレンズ保護用フィルムやカバーは必須です。私も公式のレンズ保護フィルムと本体保護用ケースを装着して使用しています。

「X3で撮った映像」がなかなか見つからない……

 X3購入にあたりYouTubeで主だったレビュー動画を見たのですが、驚くほど「X3で撮影した映像」を流している人が少なかったです。あったとしても動画の尺に比べたらほんの僅かです。レビュー動画と言いながら、X3本体を映して話しているだけだったり、走行シーンでハンドルにマウントしたX3をGoProで映しながらレビューしているなど、「X3で撮った映像」を流していないケースが多々見受けられました。

 レビュー動画で知りたいのは「実際に撮れた映像がどんな感じなのか?」だと思います。何か流せない事情でもあるのでしょうか? そして、なによりX3をGoProで撮影しているとか何かのギャグなのでしょうか?

(暗にGoProでも買っとけというメッセージなのか?)

X3本体の設定は今後検証

 購入からしばらく使い続けていますがX3本体の撮影設定はほぼ手付かずです。いじったのは先述のカラープロファイルを「鮮やか」から「標準」に変えただけです。購入時の設定のままでここまで使ってきました。アクティブHDRモードも使っていませんし、色温度など各種設定はまだ検証していないので今後検証していく予定です。もしかしたらここまで触れてきた微妙な点が改善するのかもしれません。

 あと、写真撮影機能もまだ使っていませんでした……。

第三者視点マウントは使う予定はありません

 第3者視点で撮れる「第三者視点自転車用ハンドルバーマウント」は使う予定はありません。私は自分が映像に映り込むのが好きではないので自撮りや背後から撮る画角を使いません。自分の影が映り込むのも嫌です。それ以外にもカメラと自撮り棒が突き出た状態で公道を走ることに抵抗があります。周囲への接触事故など考えたら危険ですし、実際に使える場所は限られるのではないでしょうか。

しばらく使って微妙ならAceProを買います

 買う前からある程度わかっていたとはいえ、シングルレンズモードと色調のクセにはガッカリしたのが正直な感想。X3は「360度撮影機能」がメインの製品です。360度撮影機能自体は使い所もあり、撮れた映像を見ても非常に楽しめるものです。単純な画質のみで評価するのは違うとは思いますが、それでも色調くらいはどうにかならなかったのかなと思います。とは言え、色調補正をかけたらだいぶ良くなったので当面はメイン機材として使い続ける予定です。

 個人的に一番重要なのがグリーンシーズンのサイクリングでの映りです。購入時期の関係で緑生い茂るグリーンシーズンでどんな映像で撮れるのか試せていません。サイクリング用として購入したのでグリーンシーズンでの撮れ高については期待と不安がほぼ同率で入り混じっています。そこまで使ってみて微妙な結果であれば、追加か買い替えで同じinsta360から出ている「AcePro」を買うことも検討することになるでしょう。360度撮影機能が無い一般的なタイプのアクションカムですが、良い映像が撮れるのはレビュー動画でも確認済み。

 ちなみにここまで頑なにGoProを購入していないのは発熱・バッテリーの問題です。SONYのアクションカムを買った当時から常にGoProも検討対象でした。しかし、当時から熱暴走での電源落ちなどバッテリー周りのトラブルがネックになっていました。サイクリングでの使用なので夏場の暑さに耐えられず、撮影もできないとなったら目も当てられませんし。(あと、専用アプリのサブスクってのが個人的に微妙)