カスタマイズのカテゴリをつけていますが雑記のようなものです。自転車の速度や漕ぐ時の軽さを決める要素に「ギア比」というものがあります。チェーンリング、つまりペダル側の歯数とリアディレイラーが付いているスプロケットの歯数の比率です。これによって自転車が出せる速度やペダルを回す時の重さというものが変わってきます。
過去にミニベロ「グレイシア」のフロントチェーンリングを48Tから47Tに変えましたが、1Tの変化だけでも登坂や使用する段数など大きな違いを実感しました。さらにこのギア比を変更することを考えているのですが、他のミニベロやグラベルロードとの数字上の違いに興味が湧いたので調べてみることにしました。あくまで体感での感覚を基準にしないとわかりにくいものですが、簡単に調べただけもわかることが多いなと思いました。
自転車の速度は最初から決まっている
ここでわざわざ書くこともでもないのですが、シティサイクルをはじめとする自転車は「ギア比」によって最初から出せる最高速度が決まります。ギア比はチェーンリング、つまり「ペダル側の歯数」とリアディレイラーが付いている「後ろのスプロケットの歯数」の比率です。この前後の歯数の比率が大きいと「ペダル一回転で進む距離」も多くなります。厳密に言えば、ケイデンスやタイヤ周長も絡みますが、物理的な制約として前後の歯車の比率「ギア比」という制約から逃れることはできません。以上のことから、その自転車の前後の歯数構成を見れば出せる速度や登坂のしやすさなどもおおまかに決まります。
とは言え、「ギア比が2.0で……」と言われても理解できるものではありません。何かしらの自転車で走りやすい、登りやすいと感じた時に前後の歯数を控えてギア比を出すなど基準になるものがないとピンと来ないでしょう。
ギア比構成のパターンサンプルと感想
冒頭に書いたようにギア比の変更を検討する一環で自分で使用したことがある構成、よく見かける構成から実際に計算してみることにしました。
ギア比の計算式は「フロント歯数÷リア歯数=ギア比」です。さらに「ギア比×タイヤ周長×ケイデンス=分速」→「分速×60=時速」といった感じで計算。
自分が理解する用に表計算ソフトで計算したものをいくつかスクショで抜粋。表の上段が段数とリアスプロケの歯数、左端はフロントチェーンリングの歯数、赤字はギア比、ホイールサイズ(タイヤ周長)における時速です。650bは参考値。ケイデンスは80としています。時速の数字がおかしいですが、先頭2桁で読んでもらえばと(例:12044250→約12km)。
それにしても今回の計算はMacのNumbersを使用しましたがExcelに慣れているのもあって大変だった……。UIがな……。
まずは現在使用しているライトウェイ「グレイシア」のギア比構成。フロントを購入時の48Tから47Tに変更しています。時速は451ホイール化も検討しているので406と451の両方を算出しています。
自分がよく使用するのは3段・4段あたり。街中だと信号や交差点で止まる機会が多いのも関係しています。速度を上げ切る前に止まるという感じです。平坦路ベースで信号も無いようなところだと6段目くらいで走行。実際はトップギアまで上げられますが、速度を出さないようにしているので使う機会はほとんどありません。それでも長距離を走るなら8段を満遍なく使用できていると言えるでしょう。
グレイシアだけ見てもよくわからないので比較用にダホンなど8段変速ミニベロでよく見る構成も計算。見比べてみるとフロント端数が顕著ですがだいぶ違いがあります。出せる速度についてはグレイシアが圧倒的に不利ですが、代わりに軽いギア比構成となっています。
ちなみにロードバイクではフロント50Tが多いですが、ホイール径が小さいミニベロはホイールサイズ差で出せる速度が劣ります。それを補うために53Tなどロードより大きい数字を採用する傾向があります。
以前、グレイシアで長野県安曇野市明科「長峰山」を脚付なしで登坂しました。あとは小熊山や高瀬渓谷も登っています。序盤から一番軽いギア比「1.38」で登りましたが「ギリギリ登れた……」といったところでした。これが一般的な8段変速ミニベロだと一番軽いギア比でも「1.66」です。おそらくこのギア比だと登れないでしょう。自転車を押していくことになります。
車種が違いますが「グラベルロード」でも計算してみました。ギア構成はフロントシングルの11段変速です。ホイールサイズも700Cと650Bの両方で算出。
「フロント40T×リア42T」はギア比が1を切るので相当軽いと言えます。サイクルショップのブログなどで商品紹介の際に「ギア比を1切るので坂道が楽になる」という文言を見かけますが、この辺りは一つの指標になると思います。実際に自分が扱ったことがある構成でもあるのでよくよく体感していますが650Bなどタイヤボリュームと太さが増えると漕ぎ出しも重くなります。ホイールサイズや太さが増せば、その分より軽いギア比が無いと相当大変です。
ちなみにミニベロで挙げた長峰山、小熊山をグラベルロードでも登っていますが1段(0.95)、2段(1.11)で登っています。あくまで体感での話になりますが、グレイシアの「1.38」がグラベルロードのこの数字と同等なのかなといったところ。ロードバイクよりもホイールサイズが小さいミニベロはトルクがかかりやすいので1.38のギア比でもそれなりに登れるわけです。なお、楽ではない。
フロントシングルのグラベルロードに近い構成なMARIN「ニカシオSE」も計算してみました。8段変速、650Bホイールというモデルでフラットバーグラベルみたいなクロスバイクです。段数の関係もありますが一番軽いギア比は「1.31」です。上のグラベルロードの軽いギア比と比べると3段と4段の中間、さらにミニベロのグレイシアの一番軽いギア比「1.38」と変わりません。これに650Bホイールという構成なので斜度のきつい坂道は相当の覚悟がいるでしょう。下手すると膝壊しそう……。街乗りでもそこそこの距離も走れますが、きつい斜度に挑むなら何かしら対策が必要かも。
検討しているギア比構成は相当軽いけど……
これはグレイシアで検討しているギア比構成。シマノ「アセラ」の40Tスプロケに交換する案です。シマノの8段変速コンポにおける脅威の40Tです。ミニベロでもクロスバイクでもこれに変えればグラベルロードに近いギア比を得ることができるという代物です。
ちなみにこれに変えるには他にもリアディレイラーとチェーン(チェーン長が変わるため)を交換する必要があります。レースグレードほどではありませんが、それなりにコストと手間はかかります。
もう一度、現在のグレイシアのギア比構成を載せますが、見比べてみると相当ギア比が軽くなっていることがわかります。軽くなると言ってもインナー側5段までが軽くなるだけで、トップ側3段の端数は変化なし。
この案の懸念点としてはミニベロ故にリアディレイラーのプーリーが地面に近くなるので、今まで以上に砂埃など汚れがつきやすくなるということ。今でも割と近い方なのでこれ以上近くなるとチェーン掃除の頻度も増えます。
もう少しお手軽なパターンがないものか検討したのが「チェーンリングだけを交換する案」です。この場合はチェーンリングの歯数をどのくらい少なくするかによりますが、チェーンリングの交換だけで済みます(場合によってチェーンも)。リアディレイラーとスプロケをいじらない分、ワイヤーや変速調整が不要です。
表を見ればわかりますがこの方法でも軽いギア比設定にすることが可能です。ただし、この方法だとトップギアまで全てのギア比が一律で変わります。全体的に出せる速度域がガクンと落ちます。匙加減が難しいですが、歯数を落としすぎると一昔前にホームセンターで見かけたような「濃いでも漕いでも全然進まない自転車」が爆誕するリスクが発生します。
ギア比も考え出すと沼になる
自分が理解する用に簡易的な表を作って見比べてみましたが、これだけでもかなり奥深いものだと改めて認識しました。自分の使用する環境や用途、体力などで最適なものが変わってくるわけですが、考えすぎるとドツボにハマりそうです。今回はフロントシングルしか作っていませんが、フロントダブルも考え出したら頭が混乱しそうです。あと、シングルギアの自転車だと1段しかないのでギア比の選択は非常に重要になりそうです。