クロスバイク・ミニベロ界隈で採用モデルが多いシマノの8速コンポ。エントリーグレードながらコストや耐久性の面で一定の評価がされている存在です。そのシマノの8速リアのスプロケットに「CS-HG400-8 (11-40T)」というスプロケットがあり、11Tから40Tとワイドレンジなギアに対応しています。実際にミニベロに導入して使ってきたのでそのレビューとなります。あと、最近シマノ8速対応で「ESSA」というコンポシリーズが出ていますが、そちらは記事の最後の方で少し触れます。
坂を登る機会が多いならオススメ
先に「CS-HG400-8 (11-40T)」の40Tというワイドレンジなギア比を使ってみた感想です。その人の脚力による話ですが、私としては前よりも格段に坂道が楽になり快適に使えています。
私の場合は平坦基調、もしくは緩やかな傾斜のついた舗装路がメインですが、地域柄でどうしても急な坂道を登る機会があります。そういった場所を走る際に非常に恩恵があります。前のギア比で山道を登った時はだいぶ消耗しましたが、40Tまで軽くできるとなるとその消耗を軽減することができます。とは言え、急な坂と言ってもあまりに斜度が高いところは押して行ったりするので、実際に40Tを使用する機会は中々ありません。使うとしても一段前の33Tまで。それでもあると無いとでは大違いですが。
また、後述しますがロー側が軽くなりつつも、トップ側のスプロケ歯数は他と変わらないので平坦路を走る際の速度域も死守できます。チェーンリング交換で対応するとトップ側含めて速度域が落ちますがリア側だけの交換なので高速域のギア比を変えずに済むわけです。各段数の歯数差が大きくなるのが欠点ですが、走る場所の幅を広げられる点は大いに評価できると思います。
参考までに長野県安曇野市明科にある長峰山を登った時を例に挙げると、交換前の「フロント48T-リア34T(ギア比1.41)」で息も絶え絶えながら何とか脚付きなしで登ったレベル。これが交換後の「フロント50T-リア40T(ギア比1.25)」だと大変は大変ですが格段に楽です。
ただし、「漕いでも漕いでも進まない」というリスクも孕んでおり、登り切る前に心肺機能の方で息が上がる可能性もあります。筋力が先か、心配が先か……という問題。
お手軽にワイドレンジのギア比が手に入る
シマノ「CS-HG400-8 (11-40T)」の特筆すべき点として、8速コンポながらリアスプロケットで「40T」という軽い歯数が使えること。クロスバイク、ミニベロの完成車ではシマノ8速が採用されているケースが多いです。そのほとんどがフロントシングルでリアスプロケット「11T -32T」という構成です。街乗りや平坦路ベースなら不足のないギア比構成ですが、坂道が多い使用環境だともう少し軽いギアが欲しいと思う場面があります。そういう時に今回取り上げるシマノ8速の40Tスプロケットが検討対象となるわけです。
さらにこのスプロケはトップ側が11T-13T-15Tと元の歯数と変わらないので従来の最高速度域もキープできます。変速段数は8速なので各段数の落差が大きくはなりますが、ワイドレンジでギア比が確保できるのは特筆すべき点と言えます。
ちなみにフロントダブルにしてクロスレシオ運用する方法も考えられるわけですが、後からカスタムするとなると費用と調整の面で難しいケースが多々あります。特にミニベロについてはチェーンラインがうまく出ないなどフロントダブル化が難しいことで有名。最初からフロントダブルのミニベロでもシマノのクランクセット非採用なのはコストの他にこのチェーンラインが原因ということもあります。また、8速のフロントダブルに対応するクランクセットを探すとなると選択肢があまりありません。
今回の「CS-HG400-8 (11-40T)」による8速リア40Tだとフロントダブル化よりは導入ハードルが格段に低いです。後述しますがスプロケット・リアディレイラー・チェーンの3点の交換で済みます。コスト的にも大変お手軽です。
交換するパーツは3点
前項の続きで具体的な導入についての話。交換するパーツはスプロケット「CS-HG400-8 (11-40T)」・リアディレイラー「RD-M3020 8S/7S SGS」・チェーン「CN-HG40 6/7/8S」(もしくは「CN-HG71 8S/7S/6S」)の3点です。チェーンは大した違いはありませんがお好みで。シフターは8速対応ならそのまま使い回せます。
スプロケットは先ほどから紹介しているシマノ「ACERA」グレードの「 CS-HG400-8(11-40T)」 です。このスプロケットの40Tに対応できるリアディレイラーが「RD-M3020 8S/7S SGS」なのでこちらも交換します。スプロケットの歯数が増えるとチェーン長が足りなくなるのでチェーンも交換となります。
シマノの8速は元々の値段も安いのでこの3点を交換してもパーツ代だけでも9,000円行くか行かないかといったところ。通販サイトも活用すればもう少し安くなるかもしれません。お店に依頼するなら工賃が入るわけですがそれでもコンポ全取っ替えよりも安く済みます。
ミニベロでリア40Tを導入した際のギア比
私は主にミニベロに乗っているので、この項ではミニベロのスプロケを「CS-HG400-8 11-40T」に交換した想定で紹介していきます。
注:ミニベロのホイールサイズは20インチサイズが多いです。ロードバイクのギア比を見慣れた方からすると違和感を感じると思いますがご了承ください。
下のギア比はシマノ8速を採用したミニベロや折り畳み自転車によく見られるギア比構成です。ほかにも32Tのパターンもありますね。ミニベロ界隈ではこれが一般的なギア比構成と言えます。
↓そこから40Tスプロケを採用すると以下のギア比構成に変わります。
トップ側をそのままに軽いギアがさらに軽くなっていることがわかります。かつて標準のギア比構成で長野県大町市、白馬村エリア、AACRなどサイクルイベントを走っていますが40Tともなればかなり甘えを許されたライドができることでしょう。
ついでに今現在、私がメインで使用しているミニベロ「グレイシア」のケースも紹介しておきます。スプロケットを標準から交換してみると以下のようにギア比が変わります。
↓
グレイシアはミニベロの中でも最初から割と軽いギア比構成です。元のフロント48T、リア11T-14Tから11T-40Tに変わるだけでギア比の数字がかなり変わってきます。トップ側3段(11T-15T)はそのままなので出せる最高速度域は変わりません。ただ、ホイールサイズの関係から最小の1.2は軽すぎるかもしれません。
私のグレイシアはそこからフロントのチェーンリングを50Tに交換しているので以下のギア比構成となっています。個人的には平坦路での走行も考えるとこのくらいが限度だと思っています。
これ以上軽くすると漕いでも漕いでも進まないなんてことになります。
安価に8速グラベルバイク的な構成を導入可能
ミニベロで導入した際の例を紹介しましたが、クロスバイクもワイドレンジを活かして8速グラベルバイク的なモデルにすることが可能です。最近、シマノが8速で「ESSA」というコンポを出していますが、おそらくその辺りも意識していると思われます。
一例としてMARIN「ニカシオSE」というクロスバイクを取り上げてみます。ニカシオSEはクロモリフレーム、650B×47mmの太いタイヤ、シマノ8速「Altus」を採用しており、見た目そのままフラットバーグラベルバイクという出立ちです。さらに値段も8万円後半と手が出しやすい価格設定のモデルです。
このモデルのギア比がフロント42Tにリア11T-32Tという構成。街乗りや平坦路なら問題ありませんが650Bの太いタイヤを履いたモデルなので登坂は大変な場面が予想されます。ここにスプロケとリアディレイラー、チェーンを交換して40Tを導入すると下記のような軽いギア比構成が使えるようになります。
↓
一番軽いギア比がほぼ1となりグラベルロードで見かける「フロント40T-リア42T」に近づけています。先述の通り、トップギアの3段は従来と変わらないので極端な速度ダウンを防げます。さらに軽くする方を優先するならチェーンリングを40Tに変えてしまっても良いかもしれません。あと、お金があるなら後述するESSAでさらに軽いギア比導入も手ではあります。
ロードバイクは非対応
今回のリア8速40Tですがロードバイクコンポのクラリスには対応していません。厳密に言うとACERAがマウンテンバイク用のコンポなので、ロードバイクコンポのクラリスのSTIレバーでは変速ができません。どうしてもロードバイク、もしくはドロップハンドルで8速ワイドレンジを使いたい場合はESSAのSTIレバーに交換するしかありません。ESSAにする場合はフロントダブルが無いので必然的にフロントシングルとなります。
ロードバイク(ドロップハンドル)でそこまでするなら上のコンポである「CUES」も視野に入ってきそうですが………。
シマノ「ESSA」の45Tもあるけど……
冒頭から何度か名前が出ている「ESSA」というコンポがあります。シマノが最近出した8速コンポシリーズで従来のシマノ8速(ALTUS、ACERAなど)と互換性があります。マウンテンバイク、クロスバイク、シティサイクルなど幅広いカジュアルスポーツ車に対応しているということで価格も抑えたエントリーグレードと言えるコンポです。製品構成としてはフラットバー用のシフター・ブレーキレバーだけではなく、ドロップハンドル対応のSTIも出ています。また、今回扱っているACERAのスプロケとリアディレイラーもESSAの中に組み込まれています。
そのESSAの製品で「CS-HG400-8(11−45T)」、「CS-HG300-8(11−45T)」というスプロケットがあります。このスプロケットだとさらに歯数が大きい45Tとなります。リアディレイラー「RD-U2000」とセットで使う必要がありますがさらにワイドなギア比を安価に導入することが可能です。クロスバイクの場合はドロップハンドル化も含めて導入を検討する価値が大いにあると思います。(クランクは「絶対」FC-U2000-1を使用」というわけではなさそう?)
ただし、ミニベロでの導入は難しそうです。私も検討したのですが、それよりも先に他の方が実際にやってダメだったという動画が上げられていました。ミニベロの20インチホイールに45Tともなるとリアディレイラーのプーリーが地面やタイヤに接触するようです。
他のMTBコンポでもやりようはあると思いますが、ホイールサイズとの兼ね合いから40Tが限度だと思います。ギリギリを攻めればいけるかもしれませんが、実用と安全マージンを取る方を優先すべきだと思います。あと、軽くなりすぎてもそれそれで大変です。漕いでも進まず、先に乗り手の息が切れてしまうなんてことも。
あくまでもこれはミニベロでの話なので先述のニカシオSEなどクロスバイク系ならドロップハンドル化を含めてお手軽にグラベルバイク、オールロード化するのは面白そうです。今のところESSAにはフロントダブル構成がありません。フロントダブル(クロスレシオ)はクラリス、フロントシングルのワイドレンジはESSAと棲み分けるのでしょうか? CUESの絡みからも各種コンポを統合・整理する流れになりそうですが今後の展開が楽しみではあります。
個人的には堅実な構成で好印象なコンポなのですが、ESSAという名前はなんとかならなかったのかなぁという感想。名前はコンセプトである「Essence of Active」から取られたそうですが、なんと言いますか自分が日本人なこともあり「エッサ!! ホイサ!! エッサ!! ホイサ!!」の掛け声が浮かんでくるネーミングです……。
おまけ:パーツの重量
交換時にパーツ重量を確認しているので下記に残しておきます。
スプロケット「CS-HG400-8 (11-40T)」・・・414g
リエディレイラー「RD-M3020 8S/7S SGS」・・・285g
交換前のグレイシアに付いていたAltusのリアディレイラーが325g、スプロケ「CS-HG41(11−34T)」が310g。気にするレベルでは無いですが重量増ですね。