ミニベロで履ける太いタイヤ シュワルベ 「Smart Sam(スマートサム)」 レビュー tern Verge P10で再レビュー

 tern「Verge P10」の乗り心地を少しでも良くすべくシュワルベ「Smart Sam(スマートサム)」というタイヤを使用してみることにしました。スマートサムは前にライトウェイ「グレイシア」で使用したことがありますが、その時の評価はイマイチなものでした。漕ぎ出しと巡航時の重さが気になり、すぐに別のタイヤに戻しました。今回は乗り心地を改善すべくダメ元で再登用してVerge P10に装着。ところが実際に使用してみると前に使用した時の評価がひっくり返るくらいに快適でした。そこで改めて再レビューという形で本記事を投稿することにしました。

Verge P10の乗り心地を改善したい

納車当初のVerge P10

 Verge P10は全体的な走行性能は良いのですが乗り味が固めで路面からの衝撃が気になります。昔乗っていたダホンのMuフレームを思い出す乗り味です。20インチの451規格で細いタイヤを履いていること以外にも、剛性の高いアルミフレームが大きく影響していると思われます。ロードバイクでもアルミフレームでそういうモデルが存在するので、Verge P10もそういうものだと思えば納得いく話。剛性が高いことで折り畳み自転車で重要な耐久性が上がるほか、漕いだ力のロス軽減、反応性向上が望めるのでそれらとのトレードオフといったところでしょうか。

 私のVerge P10は購入時の451ホイールから406ホイールに交換し、タイヤも20×2.0以上の太いものに交換済み。451ホイール+細いタイヤの組み合わせよりは乗り心地は格段にマイルドになっていますが、それでも路面環境によっては路面からの振動・衝撃が気になることがあります。

 それに対して別で所有しているダホン「K9X」はVerge P10どころか下手な20インチミニベロと比べても乗り心地が良いです。本来なら16インチのホイール径のK9Xの方が乗り心地が悪くなるはずですが、タイヤとハンドルグリップを耐衝撃性に振ったものに交換しているので乗り心地が非常に良くなっています。タイヤは「VEE TireCROWN GEM for KIDS Natural Wall 16×2.25」というゴツゴツブロックの太いタイヤ、ハンドルグリップをエルゴン「GT-1」に交換しただけですが、ここまで変わるのかというレベルで乗り心地と走行安定性が向上しています。

K9Xで使っているVEE Tireのレビューは前に投稿しています。

 そういった具合にホイール径の小さいK9Xの方が乗り心地が良いという笑えない状況になってしまっているので、Verge P10もひとまずタイヤ交換でテコ入れすることにしたわけです。

「Smart Sam(スマートサム)」について

 長い前振りになりましたが改めて「Smart Sam(スマートサム)」について。スマートサムはマウンテンバイク用のタイヤで「オンロードでの転がりとオフロードでの使用を両立させたタイヤ」とのこと。

 MTBタイヤらしくゴツゴツしたブロックパターンが特徴。タイヤのセンターに密集した形でブロックを並べて配置することで舗装路での転がり抵抗を軽減させているようです。擬似的に平べったくしているということでしょうか。同社には似たようなタイヤで「リトルジョー」というMTBタイヤがあります。そちらもセンターラインにブロックを密集させることで舗装路での転がりを担保しています。舗装路も意識したタイヤ製品はそういうブロック配置にしているようです。

 タイヤ幅は20インチでは「20×1.85(ETRTO:47-406)」と「20×2.35(ETRTO:60-406)」の2種類ラインナップされています。どちらも20インチホイールサイズとしては太い部類のタイヤです。

 今回は前と同じく20×2.35を使用しています。ブロックパターンが付いているのでどこで測り出すか難しいところですがタイヤ幅は5.8〜6cmほどあります。

 チェーン・リアディレイラー(のプーリー部)とのクリアランスの兼ね合いから、フレームクリアランスが大きくとられているモデルでもスマートサムなど2.3〜2.4あたりが履けるタイヤ幅の限度だと思います。

 重量は公式では580gとなっていますが個体差があるのか実測530gでした。ちなみに1.85だと約430gらしいです。

 対応空気圧は「1.6-3.5 Bar (23-50 psi)」とミニベロで使用されるタイヤの中では低めの空気圧帯です。いかにもMTBタイヤだと感じさせる仕様。なお、今回は舗装路メインなので2.5~3Barの空気圧帯で使用しています。未舗装中心なら1.6〜2.0くらいで良いと思います。

転がりが良くて快適な乗り心地

 VergeP10に装着して何回か走りましたが事前の予想に反して快適な乗り心地です。太いタイヤに低めの空気圧設定なので振動吸収性が従来よりも良くなりました。荒れた舗装路や砂利敷などを走行する際に身体にかかる衝撃が柔らかいものになっています。

 また、ゴツゴツブロックの見た目に反して舗装路での転がりも抵抗を感じさせず良好です。タイヤのゴムの質感がビリーボンカーズと比べて路面にへばりつく感じではないのも影響しているのかもしれません。

 スリックタイヤと比べれば漕ぎ出しに若干の重さがあり、ブロックパターン特有の走行時のノイズはあります。しかし、ブロックパターンのタイヤであることを忘れさせるくらいに舗装路での転がりがスムーズです。むしろ、一度加速するとグイグイと回って進む感覚です。以前、グレイシアで使った時の微妙な評価を覆す使用感です。

 ただし、そのゴムの質感ゆえにグリップ感はそこまで強くないので、ウエットコンディションで使う場合は過信しない方が良さそう。砂利敷も石で滑る感じがあります。強くないグリップ感はブロックパターンで担保する設計なのかもしれません。あと、舗装路での転がりが良いと言ってもブロックパターンの付いた20×2.35幅の太いタイヤなので登坂はだいぶキツくなります。とにかく軽いギアでクルクル回すか潔く押して行くしかありません。

 グレイシアの時とここまで評価が変わった理由を自分なりに考えてみましたが、グレイシアよりワイドかつ軽いギア比構成にあるのではないかと推察。軽いギア比構成で初速の漕ぎ出しを含めてペダルを回す際の重さ(負担)が軽減できているのかもしれません。乗車ポジションなど他の要素も影響しているとは思いますが、Verge P10がMTBコンポのワイドなギア比を採用しているので、MTBタイヤのスマートサムと相性が良かったのかもしれません。舗装路の転がりが悪くなる想定だったので今回の結果は思わぬ収穫でした。

 前にレビューした記事は撤回しようかとも思いましたが、使用する自転車や走行エリアとの相性があるのかもしれないので保留。以上の評価もあくまで参考程度で見てもらえればと思います。

 最後にVerge P10の名誉(?)のためにも書いておくと、例えば荒川河川敷や都市部の道路などであれば標準のままで何も問題ないでしょう。車体価格相応に高品質な造りなので特にいじる必要もなく快適に走れると思います。私の場合は自身の身体能力やストレスな路面環境なこともあり、406ホイールやスマートサムなど乗り心地に振ったものに交換した次第。乗り心地を良くするにしてもスマートサムまで持ち出す必要はないと思いますがここまで極端なものに替えた方が違いを実感しやすいとも思うわけです。

おまけ:20インチのグラベルキングX1が発売!?

 以上のように乗り心地を良くしようとスマートサムを導入したわけですが、何とパナレーサーから20インチの「グラベルキング X1」が発表されました。しかも、ミニベロタイヤに珍しいチューブレス対応。とりあえずポチっていたので後日手元に到着!!

MAXの空気圧はスマートサムと同じ3.5bar(50psi)

 グラベルキングと言えば名前通りグラベル走行に特化したモデルで舗装路と未舗装路の割合ごとに複数モデルが出ています。今回発表されたX1はグラベルキングシリーズのフラッグシップの位置付けとのことで「舗装路4:未舗装路6」というグラベル多めな割合を想定したタイヤです。

 「20インチミニベロでグラベルを走るのか?」という問いが出てきそうですが、どうやらBROMPTONのグラベル向けモデルである「G Line」を想定してのタイヤみたいです。公式サイトを見るとG Lineがこのタイヤを履いた写真が掲載されていますし。

 ただ、このタイヤはグラベルだけに限ったものではなく、シティライドにおける荒れた舗装路や段差など含めてオールラウンドに使っていけると思います。むしろ20インチのミニベロ・折り畳み自転車ではそちらの用途の方で需要が多い気がします。スマートサムほどの太さもブロックも不要な方が大半だと思うので良い選択肢が出てきたのだと思います。

 で、ポチっておいてなんですが、興味深いタイヤながらP10に装着するか悩む部分もあります。付け外しが面倒そう……という部分以外にスマートサムで舗装路・未舗装路を問わずに快適に走れているのでわざわざ交換する必要性が薄いのです。あと、交換したは良いものの違いを実感できるのかという不安があります。タイヤ重量もグラベルキング X1が実測515g(公式サイトでは490g)で、スマートサムの実測530gとは誤差レベル。その意味でも違いを感じられるのかという疑問があります。

 個人的にはX1よりも無印やSS(セミスリック)の方が需要がある気がしますがいずれ出てくれるのでしょうか?(応援の意味でも買った部分がある)