4月から大学生・社会人になる人はあやしい勧誘や詐欺に気を付けましょう

 3月に入ると進学や就職など4月からの新生活の準備が本格化します。中には地元から東京など都市部に居を移す方も多いと思います。自分もそうでしたが田舎から都会に出ると色々な面で「こういう世界・人・モノがあるのかぁ」と世界が広がる場面に出くわします。それは良いこともあれば悪いことも含めてという話です。自分が上京して知った悪い意味での経験や見聞きしたことについて書いていこうと思います。

 なお、以下で触れるものの大半が「知らないとお金を騙し取られる」ようなものも含まれています。特に2022年4月より成人年齢が18歳に引き下げられる関係で18・19歳の大学生でもローンを組めるようになります。下手すると金融トラブルに巻き込まれる恐れもあります。一昔前以上に「こういうものがある」ということを知っておくことは自分の身を守る上で大事なことだと思います。

寸借詐欺

 「寸借詐欺」というのをご存知でしょうか? 人の善意につけ込んでお金を借りて騙し取る詐欺行為のことです。私はお恥ずかしながら学生時代のこれから書く一件で初めて知りました。世間知らずでしたね。

 大学生となってしばらく経った頃、ついに「オタクの街(*当時)」である秋葉原に乗り込みウロウロしていました。秋葉原駅から帰路に着こうというところでお爺さんが声をかけてきました。そのお爺さんは「急いで病気の親戚がいる静岡に行かないといけないが手持ちのお金が足りなくて電車に乗れない。申し訳ないんだけどお金を貸していただけないだろうか」みたいなことを言ってきたのです。

 これを言われた当時の私は困惑。まず貧乏学生なのでそもそも他人様に貸せるお金がありません。この時点で私に声をかけたお爺さんの「人(獲物)を見る目」は無かったと言えます。そして、なんとかしてあげたいと思った私は近くの交番までお爺さんの手を引いて連れて行ってあげたのです。お爺さんは「いやいや、そこまでしていただかなくても……」と恐縮?していましたが交番でお巡りさんに事情を話して事態が一変。そのあとは想像がつくと思いますがお爺さんはお縄にかかりました。その後具体的にどう処理されたかは不明。そして、私はお巡りさんから寸借詐欺なるものについて教えられるのでした。

 今思い出しても世間知らずゆえのお恥ずかしい話ですが下手にお金持っていたら騙されていたでしょう。この1件からちゃんと「人を疑う」ことを覚えたと思います。ちなみに社会人になってからも何回か寸借詐欺で声をかけられたことがあります。声をかけやすい、騙しやすい顔に見えるのでしょうか? どれも交番にお連れしております。

街頭募金 

 先ほど挙げた寸借詐欺は昔からある定番の詐欺ですが「人の善意」につけ込むというところが非常に質の悪い詐欺と言えます。それと同じようなものに「街頭募金」も挙げられます。おそらく何かの機会につけて寸借詐欺以上に出会すと思います。街を歩いていているだけで何度も出くわしますし声をかけられると思います。大変失礼ですが基本的に街頭募金や一企業・メディアなどが行う募金活動には寄付しない方が良いです。

 そう思うのは寄付したお金がちゃんと困っている人のもとに届いているかの確認手段がないため。。もっと突っ込んでいくと具体的に「困っている人・地域がどこを指すのか?」、「そのお金がどういう形で相手に渡るのか?」、「手数料でどの程度消えるのか?」など不明瞭な部分が多すぎます。日本○ニセフの手数料については有名です。あの立派な事務所の維持費はどこから来ているのでしょう? 寄付行為自体は悪いことではありませんが寄付をする窓口はちゃんと調べて見定めるべきだということです。

 先に挙げた寸借詐欺含めて公共交通機関がメインの交通手段であり人口のボリュームがとてつもなくデカい都市部だからこそ成立する詐欺なのだと思います。

エウリアン(絵画商法)?

 「エウリアン」で検索するとたくさん出てきますがいわゆる「絵画商法」というものです。常設ではなく「イベント会場」などで市場価格に比べて高額な絵を売りつけるという悪徳商法です。私の場合は厳密には詐欺ではないのですが似たようなものなので挙げることにします。

 私が遭遇したのは秋葉原のあるイラストレーターの作品展示会です(秋葉原多いなぁ……)。おそらくわかるオタクはわかると思います。ある会社が定期的に行っている個展のようなものです。そこでは大きく印刷された作品が展示されており購入することも可能です。10万円以上する価格帯だったと記憶しています。そのイラストレーターのファンだった私は作品を見に行ったのですがそこでセールスに捕まったわけです。

 会場でスタッフさんから声をかけられ展示会のパンフレット片手に作品の解説のような話を皮切りに展示作品のプリント技術(絵画ではなく版画処理とか言っていたような……)などの話、作品の価値に対してこの値段が安いことなど色々力説していました。そもそも貧乏学生の私に(以下略)……そのお話をされても困るわけですが。

 最終的にはスタッフさんが席を外した隙に帰りました。もしくは買う見込みなしと判断し席を外したのかもしれません。後からエウリアンの話を聞いてこれもその一種と見て良いだろうなと思いました。

 件の展示会はオタク界隈で超有名なイラストレーターが揃っていたのですが所謂「デジタルで買いたイラスト」で絵画商法が成立するのかと当時驚いた記憶があります。最近は「NFTアート」というものがありますし美術品の価値はピンキリなので今後はさらに判断が難しくなりそうです。

 最初に触れた通り私が遭遇したのは厳密には詐欺ではありませんが知らずに突っ込むとそのまま流れで購入に持っていかれる可能性はあります。実際にネットでググっただけでもこの会社の展示会絡みでトラブルは後を絶たないようです。私の頃は「お金無いんで……」で切り抜けましたが冒頭に挙げた成人年齢の引き下げでローン購入も可能なのでリスクは高まっています。有名イラストレーターが参加していると書きましたが本件に限らず「あの有名芸能人も……」みたいな売り文句は常套句です。そう言う世界もあるんだなと勉強にはなりました。ちなみにその会社は現在も絶賛活動中です。

*NFTアートがどういうものか説明しているページをいくつか読んだのですが未だにぼんやりした理解です。購入している方々は紐づいている仮想通貨に価値を見出しているのか作品に価値を見出しているのかがいまいちわからない。その両方か?

マルチ商法・宗教勧誘

 「マルチ商法」という言葉だけなら聞いたことがあると思います。当事者は悪名高いためか「ネットワークビジネス」と自称するケースが大半。この商法は商品の販売と並行して会員を増やすとその分リベートが得られるというもの。つまりは購入者をそのまま会員にして次々にネットワークを形成するという商法です。某ア○ウェイが有名です。

 私は直接勧誘されたことはないのですが知人でいくつかの勧誘ケースを聞いています。よくある典型的な例ですが「帰省したら地元の友人から飲みに誘われて勧誘された」、「職場の同僚から休日のお茶に誘われて勧誘された」などが多いようです。社会人になると学生の時以上に「将来的な生き方・キャリア」について真剣に考える機会が非常に多くなります。彼らはそういう部分をうまく突いて取り込もうとしてきます。特に新型コロナウイルス流行から副業ブームが加速しているのでこの手の勧誘に遭う機会が激増していると思われます。

 ちなみに勧誘の流れがほぼそのまま共通しているので「宗教勧誘」も含めました。こちらは社会人よりは大学生に多いと思います。カルト宗教の勧誘など大学側が把握できないところで勧誘活動をしているケースもあります。サークル活動を隠れ蓑にしているケースもあります。一気に低俗化しますがヤリサーとやらも似たような部類でしょうか。そういうものもあるという認識で人やモノを見るのが安全策です。

 この話で一番大事なことは「本当に美味しい話は他人に教えない」ということです。これに限らず儲け話が本当にあったとして他人に教えることはまずあり得ません。教えるとしても何か裏があるはずです。私だって自宅の庭から石油や埋蔵金が出たらそのまま独り占めにします。本項のネットワークビジネスも本当に儲かるなら皆やっています。友人だと誘いを断るのが難しいと思いますが「美味しい話は転がっているものではない」ということを肝に銘じておいた方が良いでしょう。もし友達に誘われて行ったのに知らない人が一緒にいる場合は適当な言い訳つけて速攻で逃げましょう。事前に詳しい説明も無いのにそんな人間がいたらまずクロです。

 最後に私も似たような勧誘をしている場面に出会した話も付け加えておきます。偏見ですが渋谷は割とこの手のものが多い印象。喫茶店やスタバなど隣のグループがこういうやりとりしている所に何回も出会しているので。覚えているだけでも「不労所得」、「10万円でも安すぎる情報」とか「必ず儲かる仕組みなんだよ」など中々香ばしいワードがボロボロ出てきていましたね。繰り返しになりますが「本当に美味しい話は他人に教えない」ものです。ビジネスでも何でも「必ず」もありません。あれらの勧誘されていた人たちどうなったんだろうなぁ……。

*色々な人から聞いて共通するのが喫茶店などで勧誘された際に必ず「割り勘」ということ。少なくとも奢ってもらったという話は聞きません。儲かると言う割には勧誘者・友人の羽振りが良い様子は見られないと口を揃えて言っています。「あなたは今幸せですか?」や「もっと稼ぎたいと思いませんか?」など全てのセリフが確実にブーメランになっています。

お上りさんは基本カモである

 東京に限らず都会は全国・世界各地から色々な人が集まってきます。そのため地元では決して遭遇することのないような人・モノ・価値観に出会うことになります。その中には「凄い人」や「尊敬できる人」、「生き方の指針になるもの」など良い意味での出会いもあるでしょう。しかし、それと同時に悪い方向での「ヤバイもの」にも遭遇します。

 そういったものの坩堝に進学や就職・転職などの機会でお上りさんがやってくれば今までに挙げた輩からすれば格好のカモがやってきたも同然です。何度も触れていますがこれに「成人年齢引き下げ」が悪い意味でマッチしてしまうのです。今回は勧誘・詐欺に絞りましたが家の戸締り、痴漢(男女関係なく)、居酒屋全般(ぼったくり)などなど気をつけるものはいくらでもあります。来年度から大学生や社会人になる人たちにはぜひ気を付けて頂きたいですね。

 高等学校の最終盤でこれらの注意点についての講座みたいなものが総合科目あたりで扱われていそうですがどうなんでしょう? 自分自身、社会人を何年もやってみて「お金」のことやこういったものをちゃんとした科目として教えるべきではと思います。