近年、心拍数・睡眠・消費カロリーetcを管理できるウェアラブル端末・活動量計がお手頃価格で普及しています。日々の健康管理だけではなくスポーツやダイエットでもデータで管理ができモチベーションも維持できる非常に有効なアイテムといえます。私は「POLAR A370」という活動量計を使用しています。
活動量計ではApple Watch・Garmin・Fitbitあたりが有名どころです。私がA370を選んだのは既に同社サイクルコンピューター「V650」を持っていたこと。
V650でサイクリング時の速度・距離・ケイデンス・斜度といったデータが取れるのですが消費カロリーについては別で「心拍数が計測できるセンサー」が必要になります。
心拍数データを取るセンサーとして同社から胸に巻く「H10心拍センサー」、腕に巻く「POLAR OH1 — 光学式心拍センサー」が発売されていますがセンサーとしての利用しかできないことや胸に巻いてサイクルジャージを着用すると浮き上がって珍妙な見た目になると言った問題があります。
同じような価格帯ならマルチに使える「A370」にしようと購入したわけです。1年以上使い続けて大体のところは把握できたので使用感について残したいと思います。
本体について
デザインは写真の通りの細身で液晶も縦長です。バンドは色違いが別売でも用意されてます。用途によりますが私は普段使いからブラックを選びました。本体横にボタンが一つ付いており操作はボタンと液晶のタッチ操作で行います。
液晶はカラー液晶で心拍数表示も心拍ゾーンに応じて色分けされているのでとても見やすいです。運動しながらまじまじと液晶を見るのは大変なのでチラッと見てカラーで心拍ゾーンを把握できるのは非常に便利です。
充電はマイクロUSBです。本体裏にポートが付いており通常はカバーで覆われています。A370は30m防水なので本体を丸洗いして入浴時に充電・データ同期というサイクルで使用しています。
活動量計として
活動量計というとスポーツのイメージがありますが写真のように歩数・消費カロリー・心拍数といった「1日のアクティビティ」を把握できます。「Polar Flow」という管理アプリで普段の生活スタイルから1日の目標値レベルを選択し、それに基づいて運動不足を防ごうということです。また、座りっぱなしでいると「動きましょう!!」とヴァイブレーションで通知が来ます。
スポーツアクティビティ
運動時には「トレーニング」項目からランニング・ウォーキング・サイクリングなどの各アクティビティを選択するだけで記録が取れます。上の写真は同社「Polar Flow」という管理アプリのものですが各アクティビティ時で把握できるデータはこんな感じです。
後述しますがA370自体は「GPS機能」が無いためサイコン使用時のように「マップデータ表示」ができません。また、ランニングではランニングケイデンスやルートインポート、サイクリングではスピード・ケイデンスセンサーでサイコン的に使用する等の機能がありません。あくまで心拍数ベースおよび他デバイス連携によるGPSベースのデータしか取れません。写真ではGPSの表示が確認できますがスマートフォンとBluetooth接続していることを示しています。
スポーツ・トレーニング用機種と比較すると機能数が少なくカスタマイズ性は皆無ですが機能としてはとてもシンプルです。難しいことを考えずにスポーツで気軽に簡易的なデータを把握したいという需要には応えられると思います。
サイクリング使用時
サイクリングでの使用が本来の購入目的です。サイクルコンピューター「V650」と同期して使用しています。サイクリング中の心拍数と消費カロリーが把握できるのでペース配分や栄養補給の参考になります。このあたりは他のスポーツ同様慣れれば肌感覚で管理できますが、私のようにこれまでスポーツと無縁な生活をしていた人間にはこれが一番大変です。オーバーペースを防ぎ、適切に補給を行う上でも必要な機能だと感じます。気になった点としてはスピード・ケイデンスセンサー同様Bluetooth接続が遅いことです。
睡眠
A370には「Sleep Plus」という睡眠トラッキング機能があります。心拍数と加速度センサーを使用して分析しているようです。ただし、この機能についてはオマケ程度と私は捉えています。「起きているけどゴロゴロしている時間」も睡眠していることになっている等実際の時間とは明らかに差異があります。おそらく加速度センサーを利用して判断しているためだと思います。また、「睡眠分析」と「あなたの評価」という自分の感じ方を選択するわけですがこの方式は粗いと感じます。自分の体感ではあてにならないから活動量計を導入しているのに自己評価で選択させるのは矛盾を感じます。
GPS機能は非搭載
A370の一番の欠点は「GPS機能非搭載」という点です。
本体自体にGPS機能が無いためスマートフォンやサイコンと連携して補う運用になります。ただし、ランニング等のスポーツアクティビティではPolar Flowに同期してもマップ表示ができません。
サイコンとの連携時はサイコンのGPS機能を使用してマップ表示ができますが精度はイマイチです。写真のマップは長野県白馬村でのサイクリングのものですが山間部はルートログが酷いことになっています。Polarの活動量計にはGPS機能搭載製品もありますが、現状で準天頂衛星システム「みちびき」に対応していないためだと思われます。
GPS精度に強いこだわりがあるならGarmin等別メーカーを考えた方が良いと思います。先の「Sleep Plus」同様技術的にアップデートで「みちびき」に対応できるのか不明ですが可能なら対応して欲しいところです。
A370は日常の活動量を把握しスポーツ時の簡単なログを取る用途として機能と価格のバランスは悪くないと思います。機能の不足や粗さを感じる部分はありますがもっと細かく追い込みたい人は各メーカーのトレーニング用の上位機種を狙うべきです。ただし、価格も相応に跳ね上がります。
実際に使用して強く感じたことは端末自体の性能以上に「データを管理するソフトの方が大事」だということです。UIが使いにくく見辛いとせっかく収集したデータを活用することができません。Polar については先に述べた「Polar Flow」でデータを管理しますが、私のように趣味でやる分には十分すぎる機能だと思います。この「Polar Flow」についてはいずれ詳しく触れたいと思います。
私自身、この手のウェアラブル端末に造詣が深いわけではなく、入り口も「サイコンで使いたい」というものでした。しかし、実際に使ってみたら身体状況の把握のために日常生活で手放せない存在となりました。
今や多種多様な製品が溢れていますが、あまりに安すぎると長持ちしなかったりデータ管理で不安が残るということになりかねません。A370は「信用できるメーカーで手軽に日常生活やスポーツのデータを計測したい」という人には手が出しやすく、使いやすい製品だと思います。
追記:使用による経年劣化からA370のリストバンドを交換しました。